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往復書簡
#15
数年単位で変わる
住宅の使い方

text&photo:rie yanai

自ら設計した家での新たな暮らしを伝えあう建築家の「往復書簡」シリーズ。今回は、梁井(やない)さんから、萬玉(まんぎょく)さんへの手紙です。

梁井邸にて。(右)梁井さん、(左)萬玉さん。photo:akemi kurosaka


yanai>>  mangyoku 📨 

 

まんちゃんへ

こんにちはー。
今年は梅雨長かったですね。
梅雨時期はコロナのこともあって、家を出るのは週に2回の現場監理のみ。本当に気が滅入りそうでした。。

バルコニーのデッキテラス、素敵ですね!
とても立派ですが、結構つくるの大変だったんじゃないですか? 旦那さん、さすがです。
こんなデッキがあれば梅雨明け満喫できますね。ナイトピクニックなんて、非日常的な体験で聞いただけでワクワクしちゃいます。

さて、お手紙に書いてくださった「モノと向き合う」について。我が家も通った道なので、とても共感しました。
特にA面での「日常に必要なモノ」は、生活の中で本当に必要なものを選抜されていたようですが、モノの厳選とルーティンの心地よさは相関関係があるなーと、私も常々感じます。
当たり前ですが、モノも使えば片付けなければならないですし、余計なモノがルーティンを邪魔しないように、できるだけ厳選して所有したいと思っています。

と、モノの話が白熱しましたが、今日は人の話を書きたいと思います。
まんちゃんからのお手紙でいただいた、家族や自分の自宅での過ごし方についてお返事しますね。

我が家は、
近ごろはリモートワークのため自宅勤務している私、
平日朝7時くらいに家を出て、比較的早めの夜に帰宅する都内勤務の夫、
保育園児の娘と息子、
というメンバーで構成されています。

そんなメンバーの一日は、いたってシンプル。
6時半の起床から保育園送りの8時半まで大騒ぎ。
保育園迎えの17時半から就寝の21時まで、これまた大騒ぎ。
以上! という感じです(笑)。
(ちなみに子どもとは対照的に、37歳の体力のない母は元気な乳幼児についていけず……。ご飯を食べさせている時以外、立つこともなく、目は死んでおります……。)

そんな大騒ぎの時間帯を過ごしているのが、主に2階の子ども部屋なのですが、我が家の子ども部屋はまだ完成していません。
上の子でも、まだ寝るときにひとりになりたくないようで、個室が必要になるのは先のようです。というか、この先、個室が必要になるのかすらわかりません。

何年も使わない部屋は、延べ床面積の小さい我が家ではもったいないので、子ども部屋になる予定の壁はまだつくらず、多目的な場所として使っているというわけです。
まんちゃんの言葉をお借りすると、期間限定のB面といったところでしょうか。

ただ、期間限定とはいえ、結構便利な場所になっています。
吹き抜けと連続してるため、1階にいても子どもと(大声で)会話ができるので、子どもの状況確認ができますし、テレビやソファ、おもちゃが置いてあるのですが、少し散らかしてもしばらく放置できたり、子どもがぐずるとテレビをつけてお茶を濁したりしています。

これは片付いていた状態です! いつもはヒドい……。

私もリモートワーク中で、子どもたちがいない平日昼間の時間帯も、2階につくった造作カウンターで仕事をしているんですが、こちらも書籍や図面、パソコンをがさっと出しておいても大丈夫なので、重宝しています。

この建物のメイン空間は1階のはずなのですが、今は結局ここで過ごす時間が一番長くなっています。

2階の造作カウンター。iPadを導入して施工図が紙で散乱することはなくなりました。

景色は抜群。晴れた日は横を覗き込むと富士山が見えます。

子どもが過ごしやすいがゆえに、壁や床に落書きをされたり、おもちゃが一瞬で散らばるなど、怒鳴りたくなることも多々ありますが、この場所も子どもの成長とともになくなるかもしれないと思うと、少ししんみりした気分になります。

おわかりいただけただろうか。壁に青い落書きが(ガーン)。

なんだかんだで1階は子どもが頭をぶつけたりする場所が多いのかも。

それとは対照的な場所が、1階です。
2階はある程度ものを放置できるので、1階はものを少なくし、ルンバが縦横無尽に動いています。食事の場所になっているため、清潔を保ちやすいのは助かります。

今は自分のための時間が少ないのですが、寝かしつけで寝落ちしなくて済んだ奇跡の夜は、1階で静かに好きな本を読んだり、絵を書いたりすることもあります。
片付いた場所でやりたいことをやっているのは、唯一のストレスフリーな時間かもしれません。

なんだか我が家のしょうもない日常を発表してしまった感じもありますが、これがリアルな暮らしです。

でも、きっと数年単位で生活の仕方も変わっていくんだろうな、と思っています。

漠然と考えている子ども部屋の個室も、その時になれば普通にふたつに割った個室じゃなくなる可能性もあるだろうし、寝室だってLDKだって、極端な話、しばらくしたら全然違うものになっていることだって考えられる。
この先の使い方が予測できないのは、住宅ならでは。とても面白いです!

まんちゃんは家族との生活や自宅での仕事など、今の使い方や将来の使い方についてどう考えていますか??

B面がこれからどんな風に変わっていくのか、何か思い描いているものがあれば教えて欲しいです。

では、今日はこのへんでー。

 

次回は、9月7日の投函予定です。 📪

profile
梁井理恵 rie yanai

1983年生まれ。神奈川県出身。2002年、恵泉女学園高等学校卒業。2009年、首都大学東京修了。同年、オンデザイン所属。これまで、「FIKA」「軒下と小屋裏の家」などを担当。