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往復書簡
#14
引っ越しは、
モノと向き合う時間

text & photo : naoko mangyoku

建築家ふたりの「往復書簡」シリーズ。新築の自邸での暮らしの中で、様々なトピックをプライベートな視点を織り交ぜながら綴ってもらいます。今回は、萬玉(まんぎょく)さんから梁井(やない)さんへの手紙です。

萬玉邸にて。(右)梁井さん、(左)萬玉さん。photo:akemi kurosaka


mangyoku>>  yanai 📨 

 

やないさんへ

こんにちは。

ようやく梅雨明けしましたね。

今年は、長い梅雨とコロナによる不安定な状況からか、例年以上に眩しい太陽が待ち遠しかったです。

我が家は、先日完成したバルコニーのDIYデッキが大活躍で、早速プールやテントを出して、水浴びやナイトピクニックをたのしんでいます。あまりアウトドアスキルが無いのですが気軽に活用できてるので外空間のありがたさを感じてます。

DIYデッキできたよ!

やないさん家の庭も夏の過ごし方に発見を与えてくれそうですね!

さて、お手紙ありがとうございました。

収納の課題、共感しかなかったです(笑)。

食器は食洗機OKなものが第一軍ですし、何なら食器棚に行く前に食洗機を往復してることもありますよ……。あとキッチン横にあるストック部屋はすごくいいですね。うらやましい。

わたしのなかではやないさんはとにかくチャキチャキして効率的で気持ちいいイメージなので、ストック部屋の充実度はとてもやないさんらしい場所だな~と思います。あとラベリングしてるのもいいですね。

夫婦あるあるだと思うのですが、旦那さんが「あれどこにある?」と聞いて、奥さんが面倒くさそうに差し出す、みたいな光景がごく稀に我が家でも起こるのですが、ラベリングしていると家族みんなで収納のアドレスが共有できますよね。さっそく真似させてもらいます(笑)。

思い返せば、自邸を設計監理しながらも、「引越し」というキーワードがつねに頭の中にありました。

越しってもちろん作業自体の大変さもあるのですが、「モノと向き合う」きっかけでもあると思うんです。新居に持っていくかどうかという取捨選択や、新居ではどこに置こうかという収納計画や、新たな暮らしをきっかけに購入してみたり……、とてもエネルギーを要する作業です。

以前住んでいたところは昔ながらの団地っぽい間取りで、押入れ収納が充実していたうえ、外にトランクルームもあったので、とにかく困ったら放り込む状態でした。なので今回の引越しを機にかなりの断捨離を実行し、本当に必要なモノやお気に入りのモノを厳選して新居に持ってきました。

しかし、いくら厳選したとは言え、家族単位になるとそれなりにモノの量はあるので、一番悩ましかったのはやっぱり収納ですね。やない邸もそうでしたが、我が家も扉付き収納はゼロです。まさかのクローゼットも無いですし、キッチンもフレームタイプなのでオープン。(これはやないさんも書いてましたがコストによる理由が大半を占めています……)

我が家の収納計画は超ざっくり分けると、

・日常生活に必要なモノ→A面

・本やおもちゃや趣味のモノ→B面

とゾーニングしています。

B面は先日のお手紙でも紹介したように棚に収納したり、部屋の隅にバサっと置いておいたり、割とおおらかに使えています。

一方でA面は、毎日使うモノや家事と密接に関係してるモノなので、動線の効率性や掃除のしやすさなど、かなり現実的な理由を優先して設計時からシミュレーションしていました。朝起きてから家を出るまでのことや帰宅してから寝かしつけまでのこと、その中に含まれる食事の準備や掃除や洗濯など……、いかにラクして(笑)、簡単にできるかをイメージしてました。

使いはじめてみて、まだまだしっくりきてない部分もありますが、今日は一部ご紹介できれば。

まずキッチンです。引き出し式収納のあるキッチンに憧れがあったのですが、それ以上に使ってみたかったステンレスバイブレーションキッチンを優先した結果、コストの関係で収納がオープンなデザインになりました。なので収納をどうしようかと悩みに悩んだ結果、業務用の収納コンテナを大量使いしています。

キッチン収納(キッチン下)

調理器具や調味料など、カテゴリーごとにざっと入れてます。棚板が高さ調整できるので、収納コンテナの高さに合わせられるのはよかった点ですね。(ちなみにこの収納コンテナは息子のおもちゃ入れにも使っていて、多様なサイズ展開と重ね使いができるという優れものです)

食器類はキッチン背面の奥まったスペースに可動棚を取り付けて、こちらもオープンに置いてます。

キッチン収納と同じコンテナはおもちゃ収納としても活躍

キッチン収納(食器)

次は水回りです。洗面とトイレと浴室が扉なしで一体空間なので広々としてるのですが、水回りなのでそれなりにモノが多い空間です。

「どうやって隠そうか?」と考えた結果、ストック類や掃除関係のものが詰まっている洗濯機の上の棚はロールスクリーンでもう洗濯機ごと隠しちゃいまいした。洗面用具や家族みんなの下着やタオル類などを置きたい洗面カウンターの下は、無印のボックスに統一して並べてます。

水回り収納(カーテンクローズ)

ちなみに洗面カウンターの棚の高さもこのボックスに合わせて現場で設定。幅が2mあるカウンターも使い勝手が良くて洗濯乾燥機から取り出した洗濯物をバサっと置いて、そのままカウンター下のボックスに収納していくスタイルです。また、水回りが玄関入ってすぐなので、息子が保育園から帰宅後はそのまま洗濯物を洗濯機へインする(たまにそのままシャワーへ誘導……)という具合に、極力家事動線を短くしました。

水回り収納(カーテンオープン)

今回は、なんだか収納レポートになってしまいました(笑)。

ただ、「生活をする」ということは、どうしても億劫になりがちな毎日のルーティンをストレス無く、いかに心地よくできるかということでもあるのだと思います。子育てや仕事をしていると、とくに平日は本当にルーティンですよね。なので空間だけでなく、時間との付き合い方も暮らしの中で発見していけるといいなと思います。今、リモートベースの働き方になり、朝の時間に少しゆとりができたので平日でもパパッと掃除できるようになったことも個人的にはよかった点です。

新しい自邸での生活がスタートして早い物で5ヶ月目に突入しましたね。リモートやステイホームに背中を押される形で家で過ごす時間が以前よりもグッと増えました。やないさんにとって、一人で過ごす時間、家族で過ごす時間など、お気に入りの過ごし方やそこから気づいた自宅の魅力などあれば教えてください。

では、今回はこの辺りで!

 

次回は、8月21日の投函予定です。 📪

profile
萬玉直子  naoko mangyoku

1985年大阪府生まれ。2007年武庫川女子大学生活環境学科卒業。2010年神奈川大学大学院修了。2010年〜オンデザイン。2016年〜オンデザインにてチーフ就任。2019年〜個人活動としてB-side studioを共同設立。主な作品は、「大きなすきまのある生活」「隠岐國学習センター」「神奈川大学新国際学生寮」など。共著書に「子育てしながら建築を仕事にする」(学芸出版社)。趣味は朝ドラ。最近はアレクサに話しかけるのが密かな楽しみ。