往復書簡
#13
アイディア次第で
家事を最小限に⁉️
建築家ふたりの「往復書簡」シリーズは、引き続き自邸での日々の暮らしの中で、様々なトピックをプライベートな視点を織り交ぜながら綴ってもらいます。今回は、梁井(やない)さんから、萬玉(まんぎょく)さんへの手紙です。
yanai>> mangyoku 📨
まんちゃんへ
お手紙ありがとうございます。
久々にまんちゃんの近況が聞けてなんだかほっこりした気持ちになりました。
写真からも家族全員が自宅を満喫している感じが伝わってきます。自粛自粛と言われたけれど、息子さんにとっては良い期間だったのかもしれませんね。(親は大変ですが……)
B面の使い方、本当に多様ですね! 将来どういう風に使い方が変わっていくかもすごく気になります。
このB面、一番大きな役割を果たしているのは「収納」なのではないでしょうか。
所有しているものがおしゃれなものばかりという理由もあるかもしれませんが(笑)、実際に拝見した時も、物が入っている状態がすごく魅力的でした。
壁一面がすべて均一に収納なわけだけど、なんとなく置いてある物が場所ごとに切り替わっていて、家族それぞれのエリアができているようでした。
こういう場所は誰かひとりの書斎になりがちだけど、ちゃんと棚のレベルも変えられて、「みんなの場所」になっているのはこの優秀な棚のおかげなのかなと思いました。
住宅の収納は、中が見えないように扉をつけたいとおっしゃる方は多いですが、扉がないことで、逆にこんな使い方ができるんだな、と興味深かったです。
家と収納は切っても切り離せないもの。そんなわけで今回は我が家の収納についてもご紹介しようかなと思います。
じつは我が家の造作収納も、靴棚以外すべて扉はついていません。
扉がないのは、コスト削減も理由ですが、収納に入れたものを忘れしまうというのが大きな理由です。
なんせこの私、忘れっぽい(お恥ずかしい……)。
昨晩は子どもの塗り薬の蓋をなくし、しばらく探していました。数秒前まであったのに……。携帯も、鍵も、いっつもなんか探しています。
家の各所にラベルを貼ったりしているので、友人からは「整理整頓好きだよね」とか、「きちんとしているね」と言われるんですが、それは私が探すという無駄な時間をなくしたいから(几帳面というわけじゃないんです・涙)。
いつもはキッチン上部を吊り棚にすることが多いのですが、自宅では扉なしの棚にして、一軍の食器を置いています。
悲しいかな日常はこれだけで事足りるんですよね。
結局同じ食器が食洗機と食卓だけの往復になるので、見やすい、取り出しやすいこの収納方法は重宝しています。収納というより仮置きに近いかもしれません。
扉をなくす以外にも、無駄な時間をなくす作戦として、できるだけ物を一か所に集約して、物の出入りをシンプルにするということも実践しています。
仕事で平日はほとんど買い物にいけないので、この家に引っ越す前から消耗品のストックが非常に多かったんです(子供がまだ乳幼児だからというのもありますが)。
設計中に収納計画で一番やりたかったことが、そんなストックの部屋をつくること(人間様は個室ないのに!)。
キッチン横にパントリーがあるのですが、ここに業務用の詰め替え用洗剤類、シャンプーやリンス、紙もの、家中のすべてのストックを収納しています。
家の各所の消耗品がなくなるとここに来て取り出したり、詰め替えたりします。
ストックが少なくなっているのもわかりやすく、「買ったはずなんだけどこに入れたっけー?」というのもなくなりました。
さらにパントリーには洗濯機と乾燥機、掃除機が壁掛収納してあって、ここに立てば大概の家事はできる! というズボラ主婦にはうってつけの空間なんです!(声を大にしてしていうことではない・笑)
これがあるおかげで家事はできるだけ最小限で済んでいるような気がしています。
あまり目立たないのですが、じつは我が家の中枢部はここなのかもしれません。
この往復書簡で「ワーママ建築家」とずっと謳っていたものの、「ワー」のところはちゃんとやっているけど、「ママ」のところはちゃんとやれないタイプなので、なんとか家の工夫でギリギリ「ワーママ」になっているのかな。
まんちゃんも仕事で忙しい日々かと思いますが、日常の家事での工夫があれば教えて欲しいです。
ではー。
次回は、8月6日の投函予定です。 📪
profile |
梁井理恵 rie yanai1983年生まれ。神奈川県出身。2002年、恵泉女学園高等学校卒業。2009年、首都大学東京修了。同年、オンデザイン所属。これまで、「FIKA」「軒下と小屋裏の家」などを担当。 |
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往復書簡 #02
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