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Seasons Letter
#29
森の小屋暮らし
(冬編)

築30年の山荘をリノベーションした森の小屋「My Window」から、毎回、四季折々の日常風景をお施主さん自らがレターにしたためた連載シリーズ。今回のテーマは“雪かきとアップルパイ”です。

@長野・軽井沢

雪景色の中で際立つシンプルな山小屋。近所でいちばん素敵だと自負している

2024年から2025年へと橋渡しをする冬。
軽井沢はいつもと変わらないようで、しかしながらとても暖かった。
3月までほとんど雪も降らず、雪かきをしなくてよいものの、少し寂しい気もいたしました。

車が出せなくなるので朝から雪かき。もう必要ないかしらと思ってしまった長靴を出して

3月になって2回、雪かきをする程度でした。
そして春めいてからの雪はすぐに溶けてしまいます。

車も埋もれそうな雪日の朝

11月から恒例の軽井沢プリンススキー場のオープンで、家族はスキー三昧でしたが
私は変わらず学校の宿題に追われていた日々。
秋から陶芸窯小屋に着手しましたが、寒さゆえに手が止まり続きは春からの楽しみに、となりました。

元旦は朝からお酒を飲んでもよい日。こちらも自作のグラスで

自作の新作器でお正月を祝う。少しずつ自作の器が増えてきた

2024年は大学の油絵の学校通いで心身共に疲れたので(楽しかった)、お正月は元旦から自作の器で
乾杯をするとともに御節を堪能いたしました。
家中の食器やアートをすべて自分たちのもので制覇しようとしており
少しずつ、あれこれ完成しつつあり、日々が充実しております。

一輪挿しも自作で

そして、家事や雑用に追われていても、ふと窓の外を見ると風に揺れる木々と風の音と
鳥たちの羽ばたきが目にとまり、軽井沢に長い時間いられる幸せを痛感しております。
とくに冬は星がとてもよく見えます。

1月、2月は少しのんびりしようと、自宅でゴロゴロ(いつもながら)。
とはいえ、「たまには新しい場所にも!」と、2024年秋にリニューアルオープンした「万平ホテル」へ。

2024年の秋に改装オープンした万平ホテルの外観

久しぶりにカフェでアップルパイと紅茶をいただきました。
万平ホテルは、1764年(昭和元年です)に前身となる「亀屋」を開業したと言います。
1894年、軽井沢をリゾート地にすべく宣教師アキレサンダー・クロフト・ショー氏とともに新しい「亀屋ホテル」となり、
1902年、軽井沢銀座から現在の桜沢に移転。

万平ホテルのエントランス付近

1936年、現在のアルプス館の佇まいのホテルになったそう。2018年にアルプス館が登録無形文化財となり、現在に至ります。
森ビルが改装に入っている話もあり、どのようになるか心配しておりましたが、
修繕を経て、ほぼ昔のままの姿で蘇り安心いたしました。
じつは森ビルのご子息も子ども時代から通っていらしたということで肝いりの修繕だと聞いております。

昔からのゲストが今もその懐かしい空間やインテリアを求めている……、
海外から来る人たちがこのホテルをつくりあげる発端になったとはいえ、そんな場所があることを同じ軽井沢在住として誇りに思えます。

久しぶりにいただくカフェのアップルパイは美味

カフェもあえて同様の雰囲気で(私は2度くらいしか行ったことがありませんので細かいことは記憶にございませんけれど)
定番のアップルパイをいただきながら、ほっこりいたしました。

御影用水付近を散歩すると、あたり一面真っ白。しかし、翌日には茶色の世界に

そして、3月も末になり何度か雪が。
3月19日の雪が今年の積雪いちばんに。老夫婦の多いご近所のこともあり市道を一刻も早く雪かきしないと大変!と
朝から久しぶりにスコップと長靴で汗かきかきの雪かき時間でしたが、それも山暮らしならではの楽しい労働。

雪が降ると外出が大変だけれど、外が一変して山らしい景色が最高に美しい

約20cmほど積もり慌てましたが、2日後にはほとんど溶けて、
春の雪の名残惜しさと儚さをあらためて感じたのでした。
本当に一夜にして雪景色に一変するさまは、自然の恵みとしかいいようがありませんが。
季節ごとの変化は地球の時間軸を感じ、ビルの中にいては気がつかない森羅万象を体全体で受け止める喜びがあります。

翌日になると木々から雪が舞い降りるというワンダフルな一瞬を楽しめる

今はもう4月ですので、ガレージの雪よけシートを外したりダウンをしまったりと春支度をはじめていますが
夜に寒いこともあるのでGWまではまだまだストーブはしまえません。

夕方になると夕陽が雪景色に色を添える楽しみがある。ワインがうまい!

当たり前のように過ぎていく日常を丁寧に過ごすことのありがたさを感じながら、
家族の喜ぶアップルパイやスキー時間を大切にして行きたいと思っています。

今年も冬になると恒例のアップルパイを作ってシナモンティーと

ミャンマーの大地震も遠くから拝見しつつ、ご冥福をお祈りしながら
日々、「当たり前の時間」がいつ失われるかわからない……、
そんなことを思いつつ冬を振り返る今日このごろでした。

そろそろ陶芸窯小屋のDIYもスタートしようかしら……。
我が家の主の老猫にお伺いと立てながら、春支度をはじめようと思っています。

我が家の主。元旦に19歳になった老猫はどっしりとストーブのまえに

winter.2025

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竣工時の模様は、こちらよりご覧いただけます。