Seasons Letter
#22
森の小屋暮らし
(春編)
築30年の山荘をリノベーションした森の小屋「My Window」から、毎回、四季折々の日常風景をお施主さん自らがレターにしたためた連載シリーズ。今回のテーマは“アートへと誘う春”です。
今年の春は桜の開花がいつもより2週間くらい早かったのにも関わらず、
そのあとがずっと寒かったですので、お米や畑の成長が気になるくらいでした。
GWもずっと寒くて、テラスでBBQと思っていたのにそんな気にもならず、
6月まで薄手のダウンが必須でした。
この春からアートの勉強を始めたため楽しくて
またもやあまり外出することもなく居心地のいい我が家で過ごしておりました。
最近気になるのは軽井沢の中心地というより小諸や東御市のほう。
それらのエリアは多くの歴史が残されており、それを紐解くのも楽しみ。
そして、ずっと行きたくて行っていなかった布引観音様と
その近くの草如庵という和食屋さんへいくことが出来ました。
布引観音は断崖絶壁に埋め込まれるように存在する観音様です。
その周辺は二百万年前から数十年前まで存在したという古小諸湖の堆積物による地層が露出し
千曲川の両岸は絶壁のような岩岩がそそり立っているという景観。
布引観音の場所には長さが16mの布岩があります。
長野県内にある巡礼地「信濃三十三霊場」の29番隷書です。
観音堂の中にある宮殿は鎌倉時代に建てられた貴重なもので国重要文化財です。
この観音様は何度も戦火にあいながらも再建されています。
しかし、岩屋の奥深くにある観音堂も宮殿も焼けずに残ったのだとか。
とにかくきつい坂道を登った後に拝む観音様は感動的です。
だいたい30分くらいは登ります。
まるで「ここは屋久島か?」と思うほど、原生林の方な森の中、大きな岩や渓流を眺めて登り続けます。
先代の人々がこのような岩にくいこむ観音様をつくったのにも驚いてしまうほど。
そして、その近くの『草如庵』は、京都の摘み草料理の名店『美山荘』で修行し、軽井沢へきたという。
磁場の野菜や食材を生かした和食が眼福、舌福のお店でした。
この辺りはお蚕さんが産業だったこともありお店は築二百年を越える古い民家を改装したもの。
お庭もよろしく長いアプローチを抜けて庭を歩き、室内へ。
軽井沢にはなかなか古民家のレストランが少ないため、こちらはとても静かにお食事をすることが出来ます。
この二箇所は是非セットで行くことをお勧めします。
あとは刻々と夏へと向かう自宅の庭からの風景を眺めながら
本を読んだり、絵を描いたり……、と好きな時間を過ごしておりました。
大好きな御影用水の散歩も欠かさずに。
家路に戻り、そして庭の方から家に向かうとガラス越しにオレンジ色にぼんやり浮かぶ我が家のリビング。
蛍光灯も室内灯もなく、フロアランプだけの照明に浮かび上がる
この空間が何よりも美しいと感じる昨今。
これから自分の作品をどんどん制作する予定ですので、
新しく棚も作って自分の作品や大好きなアートや家具に囲まれて暮らしたいと思っています。
spring.2023
過去のレターはこちらから。
森の小屋暮らし #21
森の小屋暮らし #20
森の小屋暮らし #19
森の小屋暮らし #18
森の小屋暮らし #17
森の小屋暮らし #16
森の小屋暮らし #15
森の小屋暮らし #14
森の小屋暮らし #13
森の小屋暮らし #12
森の小屋暮らし #11
森の小屋暮らし #10
森の小屋暮らし #09
森の小屋暮らし #08
森の小屋暮らし #07
森の小屋暮らし #06
森の小屋暮らし #05
森の小屋暮らし #04
森の小屋暮らし #03
森の小屋暮らし #02
森の小屋暮らし #01
竣工時の模様は、こちらよりご覧いただけます。