Seasons Letter
#28
森の小屋暮らし
(秋編)
築30年の山荘をリノベーションした森の小屋「My Window」から、毎回、四季折々の日常風景をお施主さん自らがレターにしたためた連載シリーズ。今回のテーマは“紅葉が誘う心豊かな軽井沢時間”です。
@長野・軽井沢

秋もずっと庭で絵を描く日々
この夏はサマースクール通いでほとんど東京や埼玉におりましたが
秋はここ軽井沢の小屋で宿題をしている時間が増えました。
川面に輝く光を時々眺めながら作品制作に向かう時間は本当に地球と繋がっているような感覚ですし
周囲の自然の変化にも敏感になります。

山栗がここかしこに
今年の秋で印象に残っていることといえば、山栗とキノコ類の豊作ということかもしれません。
これまで栗はツルヤ(スーパーマーケット)で
ある時期だけ店頭に並ぶ小布施の立派な栗と決まっておりましたが
今年は我が家はじめ、近所の庭の栗が大豊作。
多くの人が同じようなことをおっしゃってました。
せっかくですので、たくさん拾って友人などへもお裾分け。
人生初のシリーズとしては渋皮煮を作りました。
小さな栗の皮を剥くのは大変でしたが、なんとか30粒くらいは作りました。
隣家の奥様は栗ペーストにしたということでお裾分けくださいました。

生まれて初めて渋皮煮を作る
そして、キノコも大豊作でした。
庭にムクムクと立ち上がるキノコたちは、すぐに形を変えてしまうのですが
あるキノコなどは苔を破って立ち上がり、ものすごい生命力を感じます。

数え切れないほどのキノコが庭に。

お尻のようなキノコはいと可愛らしい
私はあまりキノコに詳しくありませんので食べることはしませんけれど、
その中でも素晴らしく綺麗なキノコを見つけました。
それはベニテングダケという種類のもので、キノコマニアの間では
大変希少なものだそうで「一度はお目にかかりたいキノコなんです。羨ましい」などという
コメントをキノコに詳しい義妹からもらったほどで、うちの前を通る人々も皆さん写真をとっていました。
丸い形と真っ赤な色に白い点々模様はまるで絵のような美しさでした。

ベニテングダケという種類の珍しいキノコ
数日で傘の部分が広がり茶色くなっていく様を観察。
以前ですとテラスでずっとパソコンに向かって仕事をしておりましたので
庭の端っこにあるキノコの成長など気がつかなかったかもしれません。
9月は栗拾い、10月はキノコの観察……という感じでしょうか。
紅葉に関しては例年通り11月初旬から一気にはじまりました。
しかし、暖かな日が多かったため、紅葉がなかなか赤くなりません。
我が家には7本くらいの紅葉がありますが、ほとんどが黄金色になったあと葉が落ちてしまいました。
その中で一本だけ真っ赤に染まってくれたものがありました。

我が家の庭でいつも最後に赤く染まる1本
私が学校通いや所用でなかなか戻れなかった1週間があり
その間に他の木々はほとんど葉を落としたのに、その子だけは
真っ赤に染まって私の帰りを待っていてくれました。
キッチンからもテラスからも……、窓いっぱいに染まる紅葉はいまも目に焼き付いています。

キッチンからも大きな紅葉が開口部いっぱいに
紅葉からたった3週間でもう雪が降る昨今、
夏から冬に急発進するここ数年の流れは秋を短くしている気がして
なんだか少し寂しい気もいたしますが、そのぶん秋の景色の尊さも感じますね。
この秋も雨が多かったのであまり外出はしませんでしたが
これまで知らなかった佐久市の近代美術館へは足を運びました。
紅葉も美しかったですし、その周辺は農場があるエリアで
軽井沢とは全く違う景色を楽しむことができ、新鮮でした。
もう終わってしまいましたが『牧野一泉 日本画展』はとてもよかったです。
佐久市立近代美術館ての「牧野一泉 日本画展」
日本画専攻なのにミックスメディアの力強い作品群はとても参考になりました。
年末に向かって数日前も朝起きるとあたり一面雪景色だったりする日も増えました。
我が家の「My Window」から現在見える景色は目の前の川面のきらめき。
季節ごとに刻々と変わる景色はいつもいつも私の心を穏やかに変え寿命を延ばしてくれています。

庭から見る我が家の開口部の美しさ
これから本格的な冬を迎えます。
万平ホテルもリニューアルオープンしましたので、アップルパイを
食べに行こうと思います。
今年はどれくらい雪が降るのかしら?
雪景色の軽井沢の景色も大好きなので楽しみです。

御影用水の黄金色の景色
autumn.2024
過去のレターはこちらから。
森の小屋暮らし #27
森の小屋暮らし #26
森の小屋暮らし #25
森の小屋暮らし #24
森の小屋暮らし #23
森の小屋暮らし #22
森の小屋暮らし #21
森の小屋暮らし #20
森の小屋暮らし #19
森の小屋暮らし #18
森の小屋暮らし #17
森の小屋暮らし #16
森の小屋暮らし #15
森の小屋暮らし #14
森の小屋暮らし #13
森の小屋暮らし #12
森の小屋暮らし #11
森の小屋暮らし #10
森の小屋暮らし #09
森の小屋暮らし #08
森の小屋暮らし #07
森の小屋暮らし #06
森の小屋暮らし #05
森の小屋暮らし #04
森の小屋暮らし #03
森の小屋暮らし #02
森の小屋暮らし #01
竣工時の模様は、こちらよりご覧いただけます。