Seasons Letter
#25
森の小屋暮らし
(冬編)
築30年の山荘をリノベーションした森の小屋「My Window」から、毎回、四季折々の日常風景をお施主さん自らがレターにしたためた連載シリーズ。今回のテーマは“雨氷と小鳥たち”です。
2024年を迎えた冬、能登半島は大きな震災に見舞われ、どなたにとっも心震わせる記憶となりました。
その一方で日本全国は暖冬で、スキー場はどこも雪不足に悩まされているような状況でした。
軽井沢もときどき雪が降るものの、1〜2日程度で溶けてしまいます。
それでも、朝起きて雪が積もっていると、白い世界の光と影が生み出す森のシルエットに心が穏やかになったものです。
10年以上ここで冬を過ごしていても今年初めての景色がありました。
それは「雨氷(うひょう)」という現象です。
雨氷は、雨粒が過冷却状態にある雨水のことを指すらしい。
その日は朝方まで大雨で気温は0度にはならなかった。
でも、それから急に寒冷前線がこのエリアを襲い、気温はマイナスに。
枝についた雨水が冷却されて、あるいは氷に近い雨水が枝に付着してこのような現象になったようです。
どの木々の枝もまるでアイスキャンディのような、氷に固められたオブジェのような美しさ。
昔、よく蔵王の樹氷の中をスキーで滑ったことがありましたが、このようなキャンディの森は初めてです。
車からも、郵便ポストからも、松ぼっくりも……氷柱が下がり、
すべてが氷漬けの世界は数時間だけ、ここに暮らす住民だけがたまたま見られる景色です。
そして、最近興味がわいているのが鳥です。
お恥ずかしながら、これまでカラスやスズメ、ハト、ダック以外の鳥は見分けがつきませんでした。
ところが、鳥の餌を買ってきて庭においてみるといろいろな鳥がやってきて
ヤマガラやシジュウカラはやっと認識できるようになりました。
野鳥の本を買ってきて眺めていても、茶色の野鳥は山ほどいて今だに区別がつきません……。
最近は鳥の姿や鳴き声が気になって仕方ありません。
「ヒヒヒヒ」と鳴くと「鷹がきたから逃げろ」という意味と知り、確かにそのような声がすると、小鳥たちはアワアワ右往左往して飛び立っていきます。
餌場に少しだけ体が大きなヒヨドリがやってきて、
小鳥たちを蹴散らして餌場を独占することもあります。
ヒヨドリの縄張り意識はとても強く、意地悪なんです(笑)。
話は少し変わりますが、ここ追分エリアは数年前から別荘建築ラッシュ。
我が家の周辺も数百メートルのところで森の丸刈り伐採がよく見られます。
しかも数千坪という大規模伐採。そこに17軒も建売別荘がたつという看板もありました。
森の生態系や木のプロに寿命などを見てもらっているようには思えない根こそぎ伐採で更地に。
不動産屋さんに聞いても「そのほうが売れるからね」とバッサリ言われて終わりです。
あちらこちらに見られる「丸ごと大規模伐採」を食い止める法律や条例ができることを祈りつつ
まだまだ桜の開花も見られない軽井沢の春先に心配事も絶えない日々が続きます。
でも、少しずつ水仙の花を見たり、と木の芽時のワクワク感も楽しみたいと思っています。
winter.2024
過去のレターはこちらから。
森の小屋暮らし #24
森の小屋暮らし #23
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森の小屋暮らし #02
森の小屋暮らし #01
竣工時の模様は、こちらよりご覧いただけます。