オンデザイン論
#03オノマトペから考える。
建築表現でオノマトペを使わない理由
髙橋 ここまで話していて、こんなに可能性のある言葉なのに建築表現に使われないのって不思議じゃないですか?
梁井 たとえば誰かの内覧会に行った時の感想って、オノマトペだとあくまでも形容詞だから、もっと建築的な言葉で語ってほしいって思われそうじゃないですか?
髙橋 でも、オノマトペのほうが、建築に対して感じた「空気感」がわかる素直な感想が出てきそうです。
「ヨコハマアパートメント」の竣工写真 photo:Koichi Torimura
「ヨコハマアパートメント」のアンケート結果
松井 たとえば『新建築』の論考は、建築に精通している人にはよく理解されるし、好んで読まれていると思いますが、一般の方には少し難しい表現が多いようにも感じます。利用者の多くは、建築にそれまで精通していない一般の方がほとんどなのに、建築的な言葉や表現でしか発信できていないもどかしさを感じることがあります。オノマトペのような抽象的な言葉で発信することも可能性としては考えられるのかなと思います。
梁井 この高橋さんの作品(オンデザイン論)は、建築論に少し近いアウトプットなんだろうな。写真ではなくて、リアルに見てもらって評価した方がオンデザインらしい建築の見方なのかなと思います。
「オノマトペを用いたオンデザイン建築の再解釈とその表現-6つの建築をめぐる物語集-」よりヨコハマアパートメントの表現
高橋 内覧会とかで引き続き集積したいですね。
「感想どうですか?」と聞かれてもドキッとしてしまうけど、「オノマトペで言うとなんですか?」の方が気楽ですし。
梁井 建築はその場に行った時の体感だと思うんです。
松井 気温とか人の数とか、その時の環境によって空間の感じ方も変わってきますしね。
梁井 つまり誰が写真を撮ったかで見え方が変わってしまうのは、評価の方法としてはどうなのだろうか? と思いますよね。写真の評価ではなくて、来てもらった時の体感での評価を残したいです。
高橋 オンデザインのアーカイブとしては、その場の空気を残す…その形の方が良いのかもしれないですね。
松井 今度、オンデザインの物件内覧会で試してみてもいいかもしれないですね!
高橋 そうですね!これからは、オンデザインのオノマトペ収集隊長として活動していきたいと思います!(笑)
次回もお楽しみに!
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過去の「オンデザイン論」はこちらから
#00 ○○からオンデザインを考える。
#01 シェアハウスから考える。
#02組織論から考える。