update

オンデザイン論
#03オノマトペから考える。

text :mayu takahashi
photo:mayu kawakami

変化点を許容する言葉

高橋 私は今までの経歴がオンデザインの中だと少し特異で…中学を卒業して高専で土木専攻、大学の3年次編入で家具専攻、修士で建築専攻で。建築というか、まち全体を眺めるように学んできました。どのフェーズでも、「変化点」みたいなものを無意識に探していたように思います。このオンデザイン論でも、建築とその利用者の考え方に対する変化点って何? というところから、建築ごとのオノマトペの変化だったりを無意識にやっていたなと感じました。

学生時代から今までの制作物を見ながら振り返る

梁井 オノマトペが人によって変化するっていう話は、建築が使われ始めたときの使い方の変化に対応する言葉なのかな。

松井 その考え方は、事務所内の打合せの方法としても使えそうですね。プロジェクトの打合せって、打合せの度に考え方が変わって、それをうまく他の人に共有することが大切だと思うんです。対話を重要視してるオンデザインの場合は特に。そういった時にオノマトペは、ニュアンスを伝える共通の言語として使えると思うんですよね。
例えば萬玉さんが言う「ふわふわ」という表現は、神大(神奈川国際学生寮)でいうあの時の空間のことか!とか。

梁井 それはすでにあると思うよ。ほかの事務所と一緒に仕事をするとき、たまに話が噛み合わないことがあるもん。(笑)
例えば、建築的に「ひらく」ことって、ある事務所では開口が大きいことを指すけれど、オンデザインの場合は道路活用をしいているのもあって、建物内に入り込んできたり、まちに対してひらくこと事を思い浮かべるでしょ?

昨年夏に竣工したオンデザインイッカイの様子。まちに“ひらかれた”実験の場としている。

宮下 それって、それぞれの事務所によって違いがあるんですかね…?

梁井  あると思います。『新建築』の論考とかも、読みにくい人と読みやすい人がいて、西田さんの思考に近い人たちだと読みやすいですね。やっぱり事務所内で使う言葉には、その事務所ごとの文化があると思います。

宮下 事務所の中で体感できているような言葉が…

梁井 オンデザインの中でも知らないうちに使っているうオノマトペと使わないオノマトペってあるんじゃないかな?
この前ある事務所の方と話していた時、「賑わい」のことを「にぎにぎ」と表現していました。「オンデザインって、”にぎにぎ” している空間をつくっているけど……」って。この表現はあまり使わないですよね。

松井 オンデザインはそれを「わいわい」と言うのかな。きっとその場の空気感の違いでも変わりますよね。

宮下 同じ賑わいでも「うじゃうじゃ」って少し古く感じるよね。オノマトペにも鮮度があるのかも。

梁井 コロナ禍ということもあって人がせめぎあうような、嫌な空間に聞こえます…

松井 嫌な空間…たしかに(笑)。髙橋さんの作品を10年後に見た時、また違う見え方になるのかもしれないですね。

高橋 そう思うと、オノマトペは文化と鮮度を表せる言葉なのかもしれないですね!