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オンデザイン論
#番外編
オンデザイン論とは?

text :hanako yashiro
photo:mayu kawakami

 

ンターン生がオンデザインを考える…⁈

「オンデザイン論」とは、新人スタッフがオンデザインを速読・解体・再構築し、
オンデザインが持つ価値の再発見やこれからのオンデザインの在り方を探究するプログラム。

本連載では、2022年度入社した新人スタッフにより
提出された「オンデザイン論」
後日談とともに随時公開しています!

入社当時、外から見ていたオンデザインは
入社して1年経ち、どう変わってきたか?
それぞれの作品から浮き彫りにしていきます。

今回は、「番外編:オンデザイン論とは?」をお届けします。


「番外編:オンデザイン論とは?」

 

俯瞰的にオンデザインを見る

矢代 これまで3回、2022年度に入社したスタッフの「オンデザイン論」を順番に掲載してきました。今日は、このプログラムを考えた横山さんと、その目的や当時考えていたことをお話しできればと思っています!よろしくお願いします!

横山 よろしくお願いします。

(2022年度入社した新人スタッフにより提出された7つの「オンデザイン論」を見ながら、当時を振り返る。)

矢代 オンデザイン論は、入社初日に「自分の好きな分野からオンデザインを論じてください」と言われて始まったのですが……。「今日初めて出社したのにいきなりオンデザインを論じるなんて、一体どうやって手をつけようか?」と悩みました。

横山 そうだよね(笑)。僕が入社した当時も同じように新人スタッフへ「自分の好きなプロジェクトを通してオンデザインを見る」という課題が与えられて、すごく悩んだ。結局、ひとつのプロジェクトだけではオンデザインという組織はわからないだろうと思い、少し視野を広げていろいろなスタッフにヒアリングして「オンデザインを見える化する」というのをやってみたんだよね。そうした経験もあって、「オンデザインはよくわからない組織だけど俯瞰的に見たら新人スタッフの最初の3ヶ月が有意義になるかなも」と思って。

矢代 なるほど。「オンデザイン論」は横山さんのインターンプログラムがきっかけだったんですね。

横山 そう。ひとつのプロジェクトだけじゃなくて複数のプロジェクトからオンデザインを見てほしかったんだよね。

矢代 横山さんはこの課題を通して、私たち新人スタッフをどう見ていたんですか?

横山 オンデザイン論には「新人スタッフへの課題」と「組織論」と大きく分けてふたつの切り口があって。「新人スタッフへの課題」だと、主にアウトプット能力とコミュニケーション能力を見ていた。でも、両方優れている必要はないと思っていて、アウトプット能力に優れているならアウトプット一本で行けば良いし、アウトプットが苦手ならコミュニケーションに頼れば良いし。

矢代 なるほど。どちらかでも良いという考え方はオンデザインらしいですね。

横山 難しい話だけど、分子生物学の中に相補性的っていう関係性がある。例えば、アウトプットは得意だけど、コミュニケーションは苦手な人がいても、それを補強するコミュニケーションが得意な別の人がいる。そういう関係性があるから両方が生かされる。オンデザインで働いてると、補ってくれる人が確実にいるから働きやすいのかも。

高橋 私はコミュニケーションが苦手で、伝えるためのアウトプット能力に特化したタイプだと思うんです。自分に置き換えて考えると、アウトプット能力とコミュニケーション能力が、相補性的っていうのはしっくりきます。

 

オンデザインの「ミッション・ビジョン・バリュー」

横山 「組織論」としての視点で話すと、これは僕なりに考えたことなんだけど、オンデザインって「解釈」の中にあるんじゃないかなと思っていて。
すごくいろいろな人がいて、いろいろなプロジェクトがあって……。その中で、スタッフやクライアント、複数の目が勝手に解釈して、ぼやっと浮かんでる像が今のオンデザインなんじゃないかな。今回のオンデザイン論も同じで、「(オンデザインは)私にはこう見えてますよ」っていう1年目の解釈に依存してた。

矢代 解釈がたくさんあることは、オンデザイン論を通して体感しました! スタッフにお話を少し聞いただけで、たくさん情報をもらえるんです。それをまとめたり、その中から自分が欲しい情報を選ぶのに苦労しました(笑)。

横山 これは裏話だけど、去年このプログラムが始まる前に、西田さんに「オンデザインの『ミッション・ビジョン・バリュー』を決めていいよ」って言われて、「僕でいいの?」と思いながら.…..。その時は「今度『オンデザイン論』をやるので、そこで探します」って言ったけど、今回、こうして(オンデザイン論を)やってもらって、オンデザインの場合、「ミッション・ビジョン・バリュー」が個人個人の中にあるんだなと思った。

 

弱くて柔らかい組織

高橋 私たちの同期がとくにそうですけど、オンデザインに「建築設計だけをやりたい!」みたいな人って、少ないですよね。何かと何かが好きで、ぼんやり設計もしたいみたいな。そういう人たちが柔らかさを求めて集まってきているのかなって思うんです。

横山 うん。すごく強い関係ではなくて、むしろ弱くて柔らかい組織なんじゃないかなと思うね。それをただ「弱い」とか「ぼやぼやしている」だけで終わりにせず、どこからその弱さがくるんだろうと考えるんだけど、難しいんだよね……。

高橋 偶然ですが今日、西田さんとも「オンデザインは輪郭がぼやぼやしていて、掴みどころがあるのかないのかよくわからない場所だよね」っていう話をしました。

横山 こういう話をする時に思うのは、 何かの分野で専門性を持ってる人って他の分野とつながるのがあまり得意ではないような気がするんですよ。でも、人と人がつながる時って、ジョイント部が絶対必要で、オンデサインのスタッフは、いくつかの得意分野を横断して持っているから、相手を理解しやすいのかなと思っていて。

矢代 なるほど。たしかにオンデザインには、柔軟な人が多いですよね。みんな、いろいろな分野に興味があるように思います。

 

オンデザインで働く原点

横山 今回「オンデザイン論」をやってもらったのは、自分の興味と他人の話を解釈するのをうまく融合してほしいなって思っていて。人の話を聞くだけでも、逆に自分がやりたいことばかりでも良いものはできないから、それを練習するって意味もあった。

矢代 なるほど、これから仕事をしていくうえでの練習だったんですね。横山さんが、建築意匠とか、シェアとか作品の方向性を決めてくださったのがすごくありがたかったです。

横山 みんなのポートフォリオを読み込んで、少しくらいテーマを与えてないとさすがにかわいそうだよなって……。余談だけど、 最初の1ヶ月で、「オンデザイン論がわからない」って言って自分だけで悩んでる人と、いろんな人に「あれは何ですか?」って聞いている人と分かれてたのが面白かった。

高橋 そこでも私たち8人の性格が出ていますね!

横山 「ひとりの天才よりも、100人の頭で面白いものを生成します。」というコンセプトを掲げている会社があるんだけど、コミュニケーションを密にとっていく中で、まだ見ぬ世界を見るみたいなことをやっていて、オンデザインもそれに近いだろうなと。50人の別々の頭を使って、ひとりの優れた建築家よりもいい作品をつくっていくような。

高橋 私、共同設計があまり得意ではなくて、克服しようと思ってオンデザインに来ました。業務やオンデザイン論をやりながら使用期間の3ヶ月が経って、いつのまにか誰かと一緒でないと設計できないようになっていました(笑)。自分でもすごく驚いているんですけど、人に頼るとか、誰かと同じものを違う視点から見るって面白いんだなって。

横山 それは良かった。僕が今日何について話すかを最初に言わなかったのは、型が見えたら面白くなくなると思ったから。やっぱり死ぬほど悩んで自分なりに発見した「オンデザイン論」でないと意味がないし、それがこれからオンデザインで働くうえでも原点にもなると思う。そして読んでいる人にも疑似的ではるけど、1年目と同じような「オンデザイン論って何だ?」っていう気持ちを持って見てもらえるといいですね。

矢代 そこから、オンデザインが持つ価値についても気づいてもらえたらうれしいです!

横山 建築家を他人が勝手に解釈する論考本は何冊も出ているけど、内側から解釈するというのがあってもいいのかなって、このプログラムを通して思った。

矢代 今回、好きなことをテーマに調査できましたし、たくさんのスタッフと関われましたし、貴重な時間でした。

高橋 うん、社会人になる前の時期に、オンデザインを考える時間を与えられたというのがありがたかったなと思います。

横山 それなら良かった!

 

次回の「オンデザイン論」もお楽しみに!

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過去の「オンデザイン論」はこちらから
#00 ○○からオンデザインを考える。
#01 シェアハウスから考える。
#02組織論から考える。

#03オノマトペから考える。
#04ワークショップから考える。