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自分ごと化のススメ
#02
コミュニケーションと
教育の交差

text:satoshi miyashita photo:akemi kurosaka illustration:awako hori

スマイルズ代表・遠山正道さんをゲストに迎えたケンチクウンチク第2回目。突然、遠山さんから飛び出したサプライズな企画に興味津々の西田さんです。

 

これまでのラインナップ
第1回 はじまりは世の中への疑問や苛立ち(07.23)
第2回 コミュニケーションと教育の交差(07.29)
第3回 発意のバトン、どう届けるか?(08.02)
第4回 心の中にエンジン、ありますか?(08.06)
第5回 プロジェクトを仕掛ける側になれ(08.10)
第6回 夢はヴェネツィア・ビエンナーレ!(08.15)

 

 

@smiles(東京・中目黒)

 

 

 [もうひとつの家」という提案 

 

遠山 じつは、今日、ちょうど、

ここに来る間に考えていたことがあって……。

新ネタなんだけど、

話しちゃってもいいですか(笑)。

 

西田 できる範囲で、ぜひ! 

 

遠山 “半寮制家族”という業態で、

名前は「もうひとつの家」っていうのを妄想していました。

 

西田 「もうひとつの家」? 

興味のあるワードですね。

 

遠山 ようは、人生100年時代になれば、

会社側も社員側も在り方自体が多様に変容していくわけで、

それに対して、家族や結婚という制度ってどうなのか。

“夫婦の在り方”は多様化しているけれど、

“親子の在り方“にもさらに選択肢ができるかもしれない。

例えば、結婚して赤ちゃんが生まれると

そこから親は「子」という存在と、長い付き合いがはじまります。

子育てにつきっきりで、自分の時間がつくりづらくなったりして。

だとしたら、長い目で見た時に、

親と子の関係性にもうすこし選択肢をつくれたらと。

 

西田 なるほど。

 

遠山 例えば、映画『ハリーポッター』に

出てくるような、イギリスの全寮制の学校のように。

中学生ぐらいから寮に入れば、

3年間はお母さんも少し自由になれる。

現状、日本にはそういう全寮制の中学校が少ないので、

ならば学校にはひも付かない、

寮そのものを単体でつくったらいいんじゃないかなって。

 

西田 ああ、それは楽しそうですね。

 

遠山 その際、全寮制じゃなくて“半寮制”ぐらいがいいなと。

そこでは、ときに恋愛があったり、

ちょっと悪いことも覚えたり、

大きなお風呂やシアタールームもあって、

いろんなコミュニティも生まれたらいいですよね。

西田 なにより自立心が芽生えそうですね。

 

遠山 子供が朝、学校行くときに、

「今日は『もうひと
つの家』に行くから!」とか。

駒沢と根津と軽井沢、

どこの「もうひとつの家」に行ってもよくて、

週末は親御さんも利用できて。

定員30人ぐらいで、

10歳から高校、大学生ぐらいが7割。

3割ぐらいは60代ぐらいのシニア。

入寮するのに面接とか試験とかがあって入寮費のハードルも、

例えば年100万円とかで150日分の使用権という、

多少高めの設定にしてね。

将来は、「『もうひとつの家』に行ってたんだ?」、

「はい、『半寮』を出てるんですけど」みたいに言われたり(笑)。

 

西田 慶応の幼稚舎みたいな?

 

遠山 そういう感じですかね(笑)。

食堂も「もうひとつの食堂」と呼んで、

地元の人たちも訪れることができるといいですね。

ようするに
コミュニケーションと教育みたいなことが

交差する「体験の場」。

キャッチフレーズも「みんなで行ける、半寮!」ってどうでしょう?

 

西田 面白そう。やってみたいですね。

 

遠山 いいですよね、これ(笑)。
-つづく-


(ま だ ま だ つ づ き ま す)

 

profile
遠山正道 masamichi toyama

株式会社スマイルズ 代表取締役社長。1962年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、85年三菱商事株式会社入社。2000年株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。現在、「Soup Stock Tokyo」のほか、ネクタイ専門店「giraffe」、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」、コンテンポラリーフード&リカー「PAVILION」、海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」を展開。「生活価値の拡充」を企業理念に掲げ、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案している。近著に『成功することを決めた』(新潮文庫)、『やりたいことをやるというビジネスモデル-PASS THE BATONの軌跡』(弘文堂)がある。

profile
西田 司 osamu nishida

オンデザインパートナーズ代表。1976年、神奈川県生まれ。横浜国立大学卒後、スピードスタジオ設立。2002年東京都立大大学院助手(-07年)。2004年オンデザインパートナーズ設立。2006年横浜国立大学大学院(Y-GSA)助手(-09年)。現在、東京理科大学准教授、明治大学特別招聘教授、大阪工業大学客員教授。近著に『オンデザインの実験 -人が集まる場の観察を続けて-』(TOTO出版)がある。