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往復書簡
#05
公園みたいな
おウチにしたい!?

text&photo(letter):rie yanai

 

梁井(やない)さんと萬玉(まんぎょく)さんによる軽快なやりとりが続く、家づくりの往復書簡。前回の萬玉さんの手紙を受けて、今回は梁井さんからの返信です。

どんなことをしたためようか、と思案中の梁井さん (photo:akemi kurosaka)


yanai  >>  mangyoku 📨 

 

まんちゃんへ

 

こんにちはー。

今年は暖かかったり、急に寒くなったりを繰り返すから体調を崩しやすいですよね。我が家も昨年末から2人の子供が交互に病気を繰り返すので、年末年始は参ってしまいました……。それも現在進行形ですが、最後は私がダウンするのかなぁと恐怖で怯えております。。

お返事ありがとう! 私が何気なく書いた「住みながらつくり続ける」ことについて再解釈してもらって、モヤモヤとまとまらない頭がすっきりしました。(さすが!)

そしてまんちゃんのキーワード、「B面」という表現はすごくおもしろいですね!!

家って、かならずしも機能が決まりきっているわけではいのに、どうしても必要なものから埋めていこうとする、私もよくやりがちです。

よっぽど敷地が広大だったり、求められている建築の面積が大きかったりすれば別ですが、「余白」を残しておく設計って難しいですよね。

まんちゃんの家のように既存建物の与条件から「余白」を導き出すのは、とっても興味深いです。そしてその余白がさまざまなことへのポテンシャルをもっていて、これからの家族の将来を受け止めてくれる場所になりそうですね。

夢が広がるなぁ。音楽もB面の方がいい曲だったりすることもあるもんね。

「住みながらつくり続ける」という私の関心ごととも通じるところがありそうで、これからどんな場所になるのか気になります!

私はというと、「シンプル」というキーワードを決めたものの、どんな設計にしていこうか明確なビジョンはありませんでした。そこで施主である家族にヒアリングすることにしました。

まずは旦那さん、

私「どんな家がいいかな?」

旦那「子供がリビングで勉強する家かなー。」

私「…」

もっと概念的なことを聞きたかったんだけど、まぁこれはこれでいいかと……。

続いて娘、

私「お母さん、これからおウチつくるんだけど、どんなおウチがいいかな?」

娘「公園みたいなおウチー!」

私「!?(公園みたいなおウチ!? こちらは概念的すぎる!)」

これが結構な衝撃で、「“公園みたいなおウチ”ってどんなのかなー??」と聞いたものの、もう娘は会話に飽きて遊びの方に戻っていました(笑)。

よく考えると当時4歳の娘の日常って、家、保育園、公園くらいしかなくて、それらを組み合わせるとそうなるのかと。

にしても、家のような保育園、保育園のような公園とかいろいろ組み合わせはあるけど、「公園のような家」は結構難易度高めなのではないか……。家の中が公園みたいなのか、庭を含めた全体が公園みたいなのか……。

一瞬でいろいろなことが頭をめぐったけれど、「私も庭の大きな家を切望していたし、娘と要望が合致しているのでは!」、そして「子供の考えることはかわいい!」と安易な気持ちで採用することにしました。

子供が思いついたただの言葉だったんですが、幸いにも「公園のような家」という言葉のおかげで庭という言葉の捉え方が少し変わりました。

もともと緑が好きで庭は充実させるつもりだったんですが、家を建てて余った部分が庭という認識をしていました。つまり家ファースト。

ただ「公園のような家」をイメージした時に、家が庭の影響をすごく受けているような空間が浮かんで来たんです。庭ありきで成立しているような家。庭に頼るなんてまたもや職能放棄かもしれないけど(笑)。そんな家があってもおもしろいんじゃないかと。

そこで、広い土地のちょうどど真ん中に1階をなるべく細く、小さくした家を配置することにしました。南北の庭がくっつくくらいに、平面形状がうすーい家(土地を購入したので金額的に大きな家が建てられなかったのも理由です!)。

配置の工夫に加えて、南北に同じように大きめの開口部を開けてみたり、点対称のプランにしたりと、あまり方位を感じないような、庭に包括されたかのような室内空間ができないかなと色々と試行錯誤してみました。

ここにきて「シンプル」というキーワードも忘れていたんですが(思いついた時だけ盛り上がってすぐ忘れてしまう・笑)、庭に溶け込むことを考えた結果、ずいぶんとすっきりとしたプランにりました。

庭持て余している。。早く木を植えたいので樹木の勉強中!

現在の内部の様子。施工は藤沢の工務店、山幸建設さんにお願いをしています

庭に面した窓枠の出隅はアールにして内外の境をぼやかしてみます

子供との会話で、まさかここまで話が広がるとは思ってもみなかったけれど、なんとなく、家族との対話の中で見えてきた計画なのかなと、振り返るとそんな気がします。

まんちゃんの「B面」も家族との生活やコミュニケーションの中から出てきたキーワードだと思いますが、家族とはどんな対話をしながら具体的な設計を進めていきましたか? プライベートにやや立ち入りますが、お伺いできるとうれしいです!

我が家は2月末の引き渡しに向けて急ピッチで内装工事をしていただいています。まんちゃんの家も着工とのこと、できあがっていくのが楽しみですね!!

それでは~!

 

 次回は、2月28日の投函を予定しています。 📪

profile
梁井理恵 rie yanai

1983年生まれ。神奈川県出身。2002年、恵泉女学園高等学校卒業。2009年、首都大学東京修了。同年、オンデザイン所属。これまで、「FIKA」「軒下と小屋裏の家」などを担当。