トイレは、文化だ。
#04
トイレから見た
アジアとヨコハマ
おまけコラム
公衆トイレ「洗手亭」ができるまでを調べてみる
・中華街初の公衆トイレ。
・横浜市が街頭に建設する公衆トイレでは88カ所中、最大規模。(面積は61平方メートル)
・建設費は通常のトイレに比べて倍近い6,400万円。
地域の協力によって生まれた外観
市が同地に公衆トイレの建設を計画したのが98年。街の発展のために活動する団体「横浜中華街発展会協働組合」は、トイレのデザインについて「地元の意見を取り入れてほしい」と市に依頼しました。話は聞いてもらえたものの、なかなか実現は難しかったそうです。
組合は、設計事務所の方を訪ねて「中華街にふさわしい外観のものを」と依頼。しかし「中国建築が分からない」との返答だったので、今度は華人の建築士「羅」さんに依頼します。最終的には工事に必要な瓦やれんがを組合が用意し、寄付するということで市の理解が得られたそうです。
98年のオープニング式典では、市立元町小学校の子どもたちが獅子舞を奉納して完成を祝いました。2年後には市のデザイン賞を受賞(「第一回 横浜・人・まち・デザイン賞」)。街の個性が表現されていることと、地域の発案と協力のもとにつくられたことが評価されました。組合理事長の林兼正さんは「受賞できたのは、外観の変更を快く受け入れてくれた設計事務所と、市の担当者の柔軟な対応のおかげ」と語っています。
昨今、この公衆トイレは待ち合わせ場所としても使われ、記念撮影する人が出るほど人が集まる場所となっています。(了)
<参考資料>
・神奈川新聞2000年8月19日
・神奈川新聞1998年5月1日
・「横浜中華街 街づくりはたたかいだ」林兼正 著、発行:神奈川新聞社
・横浜市の公衆トイレMAP
>ライタープロフィール
村上恵美子 emiko murakami
大阪生まれ。福岡育ち。横浜在住。 名古屋市立大学 芸術工学部 卒業。ギャラリースタッフ、NPO法人、大学の非常勤職員、出版社勤務を経て、Beyond Architecture ライター。自称TOILET HUNTERとして、めくるめくトイレの世界を思案中の日々。
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