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ボクたちの
“ライフ”と“ワーク”は
どうなるのか?#02

text:satoshi miyashita photo:akemi kurosaka illustration:awako hori 

 
場所の価値という地域性

ウエスギ) 今はたまたま東京で仕事があるから住んでいるみたいに、仕事優先で住む場所を選んでいる人って多いと思うんです。それよりも(#01編で)西田さんが話されていたように、自然豊かな場所とか、海の見える場所など自分の好きなロケーションや暮らしたいと思える場所で働くほうがいいいし、今後はインターネットの普及で働き方がさらに多様化してくと思います。僕らはもともとIT系の出身なので、前職の会社のスタッフの中にはニュージーランドに住みながら日本の仕事している人もいます。宮古島に行っちゃって現地の方と結婚したスタッフもいるし、IT業界では、10年くらい前からそういう働き方は当たり前でしたが、今はほかの業界にも広がっていて、リクルートホールディングスが出社義務をなくしたり、ソフトバンクも7、8月の1ヶ月間は出社義務がないとか。なんだかすごく多様化していますよね。

さわだ) あと、これからは移動コストもどんどん安くなっていくと思うんです。現状の課題でいえば、地方に住んでもいいけど、打ち合わせは膝を突き合わせてやらないと、「熱」みたいなものまで伝わりにくい。例えばオンラインのチャットでその「熱」が感じられるような、そういう技術もそのうち開発されるだろうから、そうなれば別に遠距離で仕事をしていても、お互いに同じ感覚で話しができるような気がします。

西田) 僕は今、横浜にオフィスがあるじゃないですか。そうした場合に、仕事で横浜に来てもらうにはどうしたらいいだろうってことをいつも考えます。東京から見れば、やっぱり横浜ってちょっと遠い。でも例えば、「一緒に中華街で美味しいランチ、どうですか」ってなると、横浜へ来てもいいかなって気持ちになるんですよ。

ウエスギ・さわだ そうですね(笑)。

さわだいっせいさん

ウエスギセイタさん

西田) 「中華街のお店、予約しとくんで」とか、「野毛にいいお店があるんで」とか。つまり、それって、イコールそのエリアの価値ですよね。打ち合わせに行くっていうことを、その場所に行くっていうことに捉え直せば、例えば鎌倉で働いている人に、「夜、ビーチで飲みながら打ち合わせするのもいいよね」みたいになった瞬間、そのエリアに行くことが目的化される。さっきの膝を付き合わせるという、いわゆるフィジカルなコミュニケーションが理由じゃなくて、そのエリアとか場所とかそこにしかない価値や文化を目的化にするのは、けっこう共感を得られることじゃないかなと思っています。

ウエスギ) そういう観点だと例えば「コワーキング」って、最近いろんな場所に乱立しているけど、そういったことと抱き合わせで紹介してもいいかもしれないですね。

さわだ) 地域資源として。

ウエスギ) そういうのが目的化されると、働くことと一緒に、そこにいる時間を体験することも価値になるってことですね。

さわだ) 僕は家が逗子なんですが、仕事で来てもらうとだいたい「やっぱ海の家で打ち合わせしよう」ってなるんですよ。

西田) いや〜逗子とかいいですよね。この場所(BETTARA STAND日本橋)もちょっと海の家っぽい(笑)。そういうのって理由になり得るんじゃないかと思っていて。もちろんインターネットだと顔を見ながら、時間と場所が離れていても仕事ができるっていう利点はあるけど、一方で、「場所の価値」っていう地域性みたいなところは、新たな面白みになると思います。

さわだ) 僕らが東京にいるんじゃなくて、例えば地方のほうへ僕らが出ていけば、けっこういろんなところに行けて面白いかもしれないですね。

西田) 取引先があれば、そこに行かなきゃいけなくて、逗子の次は新潟へって(笑)。

ウエスギ) 「打ち合わせしましょう」じゃなくて、「美味しい干物があるんで、一緒にあそこでランチがてら行きましょう」とか。

西田) 加えて日本って四季があるから、それを掛け合わせたらすごくいいですよね。「この時期に富山でホタルイカ食べないと」とか、「この時期の富士山の景色がやばいんですよ」みたいな。結果的に、働く行為自体も特別なものに感じられるのでは。

ウエスギ) それは新しいですね。殺風景なオフィスでミーティングをするよりも、ひとつの体験として心に残る仕事になるでしょうし。

さわだ) そうだ、「タイニーハウスキャラバン・オフィス」みたいなのをつくって、今日はここにいるのでよろしくみたいな(笑)。

西田 司さん