オンデザイン、海外へ!
#03
ベトナム仕事場探訪
ミライハウス編
オンデザインの海外プロジェクトをレポートする連載シリーズ。3回目は前回紹介したベトナム・ダナンのプロジェクトで協働した「ミライハウス」さんのオフィスを訪ねます。ここ数年、めざましい成長をとげるベトナム経済。街の至るところでビルや住宅が建ち並び、まさに建設ラッシュの様相を呈しています。ミライハウス代表のレ・フォン・グエンさんは、以前日本の建設会社で働いていた経験をいかし、5年前、ダナンで起業。今回は日本とベトナム、両方の建築事情を熟知するグエンさんとともに語り合います。
@Mirai House〜Vietnam Danang
【過去記事】
オンデザイン、海外へ!#01
オンデザイン、海外へ!#02
ミライハウスのオフィスへ
グエン:さっそくスタッフたちがいるオフィスに案内しますね。
田邉:ありがとうございます! 現在、社員は何人ぐらいいらっしゃるんですか?
グエン:25人です。僕は10年前からベトナムの大学で授業をもっているので、そこの教え子たちもスタッフとして働いています。その中で設計士が今12人います。ほとんどが大学の建築学科出身なので、構造計算もインハウスです。もちろん住宅以外の大きなプロジェクトは外注するケースもありますが、基本は自分たちでやります。(画面の3Dをすこし見せながら)今は、とある日本企業の工場を設計しています。
田邉:おー、すごいですね。
グエン:私たちが使っているソフトは、RevitとBIM。あとSketchupです。
田邉:デジタル環境は日本よりベトナムのほうが進んでますよね。とくに私たちは模型にこだわって設計しているので、模型をつくってベクターで2Dの図面をつくるという流れが主流です。ほかの設計事務所も、3Dを使わないところが結構あると思います。
グエン:ベトナムの設計事務所では、2Dからすぐに3D化できる作業環境が一般的です。
田邉:いいですねぇ。そもそもグエンさんが以前、日本に来られたたのは仕事で、ですか?
グエン:いいえ、奨学金で首都大学東京(現・東京都立大学)に入学したのがきっかけでした。
田邉:そうすると日本にはトータル何年ぐらいいらっしゃったんですか?
グエン:19歳の頃からなので、14年間くらいですね。
ミライハウスの仕事
グエン:ここにはミライハウスの設立当時の作品がパネルで展示されています。こちらは今から5年前の住宅ですね。
田邉:ベトナムではこういう細長い家が一般的なんですか?
グエン:はい。これまでのベトナムの住空間はいわゆる玄関スペースがなく、玄関の戸を開けるとすぐにリビングでした。でもミライハウスでは、必ず玄関スペースを設けています。それと日本のように洗面所とお風呂場を分けているのも特徴です。細長い間取りなので、太陽の光を採り入れるのは前側と奥側だけで、途中に換気を考えて中庭を配置しています。
田邉:ベトナムの住宅街を歩いていると、細長い家の1階部分がとてもひらけている印象でした……。
グエン:それが従来のベトナムの住宅なんです。ここ数年はいわゆるLDKという概念が流行っていて、いわゆる玄関から入るとキッチンがあり、その先にリビングがあるという考え方。ベトナムで最初にその住宅を手掛けたのが私たちミライハウスでした。
田邉 そうすると、これまでのベトナムの住宅だと、キッチンはどこにあったのですか?
グエン:家のいちばん奥側です。昔の家は来客が多かったので、リビングを玄関側に配置してキッチンは奥にあるんです。でも最近の若い世代はお客さんをあまり家に通さないので、以前とは風習や考え方が変わってきてます。ミライハウスは、そうした時代の変化にあわせた家づくりを心掛けています。
ミライハウスHPより
田邉:ベトナムのお客さんがミライハウスの作品を見たときに、「日本っぽい」って思うのでしょうか? それとも単純に「新しいスタイルの住宅」だと思うのでしょうか?。
クエン:「新しいスタイルの住宅」だと受け止められていますね。
クエン:私たちは「人にも環境にもやさしい家づくり」をコンセプトに2017年にミライハウスを設立しました。本格的に業務をはじめたのは2018年4月で、現在は住宅設計、施工、建材、販売という4つの事業を手掛けています。日本には14年暮らしていたので、日本人の仕事仲間もいっぱいます。今後は日本で得た経験をベトナムに還元できるように貢献していくのが僕の人生の大きな目標であり役割だと思っています。
現在のミライハウスの仕事は8割が住宅設計です。日本式の家づくりを参考にして建材も日本の石材や網戸を使ったりしています。最近は日本の設計事務所からもVRや3Dのの作成依頼も増えました。
私たちは設計から施工までを一貫してやらないといいものができないと考えています。なので今回、オンデザインという日本の設計事務所からの仕事は僕らにとってはとてもチャレンジングなことでした。
田邉:手掛けている建物の構造はRCが多いのですか?
グエン:ほとんどがRCです。一部、鉄骨造もありますが、木造はゼロです。
田邉:そうなんですか!? でも日本で仕事されていた時は、ほとんどが木造だったのでは?
グエン:そうですね。なのでRCのことは当時働いていた建築会社で勉強しました。じつは大学時代に取得した博士号は都市計画なので、勤務内容とは全然違ったんです。建築自体は好きでしたが……。
田邉 えっ、都市計画だったんですか!
グエン:(再び、展示作品を眺めながら)これは、1年前に竣工した500平米くらいの住宅です。最近はプールとサウナ付き、クルマも2台以上駐車可能という事例が多いです。ほかの設計事務所だと色や素材を多用しますが、私たちの特徴は空間がとてもシンプルで壁や床も白系を多く使うようにしていること。その理由は「家はお客さんのもの」という考え方がベースにはあるからです。住みながら時間を掛けて、オリジナルの家にしていくことがいいと思っていて、いつも設計する側の主張が出過ぎないように心掛けています。
グエン:ちなみにこちら工事費7000万円、設備費を入れておよそ1億くらいです。
田邉:この広さで? 日本の感覚だと安く感じますが、ベトナムでは高いほうですか?
グエン:そうですね。3階建ての西向きで、太陽の日差しが強いため壁にルーバーを使っています。住宅はインテリア、施工、販売までミライハウスが手掛けています。
田邉:この贅沢な住宅が1億……。
グエン:はい。3階部分には個人のカジノルーム、あとクライアントは漫画好きなので専用部屋があります。
田邉:滑り台付きのプールまでありますね(笑)。スケールがすごい。こちらはミライハウスの作品の中でも高級なほうですか?
グエン:もちろん高級ですが、それほど珍しくはありません。
田邉:ハイエンドな住宅が多いのはダナン周辺だからですか? ホーチミンやハノイのほうはどうなんでしょう?
グエン:ホーチミンやハノイにはもっとあります。
田邉:やっぱりベトナムには夢があるなぁ(笑)。
グエン:これはクアンナム省ですが、延べ床300平米くらいの家です。お施主さんは日本好きの方で、「伝統的なベトナムと日本の禅的な雰囲気にしてほしい」というリクエストでした。屋根が特徴的で、最近はこういうフラットなものが流行っていますね。あと最近、別荘の受注も増えていて、そのほとんどがアメリカやオーストラリアのお客さんです。
ミライハウスの現在
グエン:こんな感じで、いろいろがんばっています(笑)。
田邉:ありがとうございます。ところで「ミライハウス」の会社名の由来を聞いてませんでしたね。
グエン:由来は「ベトナムの次の世代に向けて家をつくりたい」という気持ちを込めて名付けました。日本の住宅の良い部分を取り入れながらベトナムの伝統的な住環境を少しづつ変えていき、新たなスタイルを未来の子どもたちへとつなげていきたいですね。
ベトナムの住環境はまだまだこれからです。一例としてベトナムの人が家を建てたいと思ったら、まず設計事務所に依頼して、設計図を作成してもらいます。そこから施工会社へ……という感じなので、お金も手間も掛かります。一般のベトナム人だとなかなか自分の家は買えませんよ。何か根本的なところで変わらないとベトナムの住環境に“未来”はないと思っています。
田邉:なるほど。
グエン:ミライハウスには「設計施工」と「住宅販売」というふたつの大きな事業があります。設計施工の事業については富裕層に向けて従来と変わらずやっていきます。住宅販売の事業は、まだ開発研究の段階です。「より早く、より安い工法で誰にでも買える」、そんな住宅を考えています。例えば4人家族が暮らせる住宅を建てるのに、今は完成までに約6ヶ月掛かります。それを3ヶ月とか4ヶ月でできるようにしていきたい。
日本にはRCや鉄骨といった既存の工法ではなくて、いわゆるハウスメーカー独自の工法があるじゃないですか。僕らもこれからはオリジナルの部材を使った工法を開発していかないと何も変わらないと思っています。
田邉:着工してから6ヶ月は日本のハウスメーカーと比べると長いかもしれません。私たちのような設計事務所がこだわって建てる住宅の工期が、だいたい最低6ヶ月くらいですから。
クエン:はい。ベトナムの雨季と重なるともっと長くなります。
田邉:日本のハウスメーカーが建てる住宅だと、早いもので2ヶ月くらいで建つこともありますからね。
グエン:あっという間ですよね。あとベトナムは工事に掛かる人手が平均15人から20人。だから時間だけじゃかくて人件費も掛かります。
田邉:雨季もそうですが地震や気候など日本とは自然環境が違うので、当然住宅の工法や特性も変わってきますよね。
グエン:そうですね。ベトナムは地震があまりないので耐震性という面では壁とか柱の工法も日本と違います。あと断熱材を使いません。また、ベトナム北部のハノイと南部のホーチミンとでは湿度が全然違うため、工法も使われる建材も変わってきます。ある意味、日本よりもベトナムのほうが自然環境から受ける影響は大きいのかもしれません。
田邉:そうなんですね。
グエン:とくに雨風の影響が大きいので、日本よりも強度のある建材がたくさん揃っています。
編集部:ただ日本のハウスメーカーの住宅はプラモデルのようにあっという間に建ってしまうので、「家は一生に一度の高い買い物」と言うわりにはちょっと味気ない気もします。せっかくなら建築家(設計士)と一緒に空間をカスタムしながらつくるほうが楽しいんじゃないか。そういう意味でも、ミライハウスがこれまでの5年間で培ってきた設計ノウハウの蓄積を今後どう生かしていくかが楽しみですね。
グエン:はい。私たちはそこにこそ“未来”があると思っています。
田邉:今後は日本のハウスメーカーのようなスタイルを取り入れて、一からやろうとしているわけですね。
グエン:そうです。それが私たちの夢です。
田邉:素敵ですね。
グエン:そのためにも、まずは設計から地道にやっています。やっぱり設計に実力がないと商品開発もできないじゃないですか? そこから材料の研究、工法、構造の研究、全部を取り入れないと最終的な商品にはならないです。そう考えると道は長い(苦笑)。でも、お陰様で日本の工務店やユニットハウスの企業からもいろいろな技術的サポートをいただいています。
ミライハウスHPより
田邉:今後の事業計画としてどのくらいのスパンで考えられているんですか?
グエン:会社設立時は「8年後に自分たちの夢を実現する」という計画で考えていました。
田邉:じゃあ、あと3年。
グエン:でもこれまでの5年である程度見えてきましたから、今後は実験とか挑戦をしていく段階です。
田邉:3年後には、いわゆるパッケージ化された住宅ができて、ベトナムの街に安価でクオリティの高い住宅が続々と建っていると?
グエン:そういうイメージです。ベトナムでゼロから新しい住宅を建てるには時間とお金が掛かるし、そういう家づくりは今後敬遠されるようになると思います。無印良品の「MUJIハウス」ってあるじゃないですか? あそこまでいかなくても、日本にはもともとハウスメーカーの規格住宅がたくさんあります。積水ハウスとかパナハウスとか。ミライハウスの考え方はそういうところに似ています。
田邉:そうしたグエンさんのアイディアは日本にいた14年間で練られたものなんですか?
グエン:日本にいた当時は、そういう考えは思いつかなかったです(笑)。
田邉:だとすると日本にいた頃のグエンさんの夢は?
グエン:当時は大学で博士号を取るために仕事以外はほとんど勉強漬けでした。「ベトナムに帰ってから具体的には何をやろうか?」ということまで考える余裕がありませんでした。大学では都市計画の研究をし、勤務先の工務店ではアルバイトをしながら木造の構造計算から申請までを5、6年やっていました。なので、今も日本の木造住宅の構造計算はだいたい理解してますよ(笑)。
田邉 すごい(笑)。
グエン:僕は日本の住宅の意匠とか構造、設備などをトータルで経験してきたので、詳細まで理解しています。ベトナムに帰国してから家を買いたいのに買えない状態を見て、これは解決しないといけないと思いました。長い間、日本で暮らしていたからこそ自分の国のいろいろな問題点が見えてくるんですね。「あー、これは違うな」「こうすればもっとよくできるな」って。ずっとベトナムに暮らしていたら感じられなかったことなのかもしれません。
オンデザインとミライハウスの関係
編集部:今回、オンデザインと一緒に仕事をして印象に残ったことはありましたか?
グエン:僕はもともと日本で暮らしていたので、あまりびっくりするようなことはないですけど(笑)。現場担当のマインさんはどうですか?
マイン:そうですね。やってみて感じたのはお互い異なるソフトを使っていたのでそこは難しかったなと。同じならもっと仕事がスムーズにできたかもしれません。でも、オンデザインさんはPDFを一緒に送ってくれるから、2Dの図面でもRevitでほぼ対応はできたけれど、最初は分からなかったこともありましたね。
田邉:オンデザインのように小さな事務所は模型でスタートして、そこからいきなり2Dの図面を描いて、そのPDFを工務店に渡し、現場の職人さんは基本、そのPDFの図面しか見ないんですよね。
グエン:はい。
田邉:それでも木造でできてしまうから、日本の建築業界全体が3Dに移管するってなかなか難しいのかなと思っています。もちろん、大きなプロジェクトは3DやBIMをベースに進めていることも多いと思いますが。
グエン:そうそう。
田邉:だから私は今回ミライハウスさんとお仕事をご一緒して、そこにベトナムの未来を感じたんです。3Dでできちゃうんだって(笑)
グエン:そういうことも、次また一緒にやれば自然に分かりあえることだですよね。今回はまだ理解していないところもあったけど、次回はたぶん大丈夫だと思います(笑)。
田邉:私はちょっとだけアメリカで働いていたことがあるんですが、アメリカの設計事務所は完全にBIMですね。事務所やプロジェクトの規模にもよりますが、その事務所は手書きだけやるとかベクターだけでやるとかはほぼありえなくて。こちらが3Dで検討したら、工務店とかゼネコンも3Dで共有できるから細部を一緒に検討するのが一般的だと、その当時の同僚からも聞きました。
日本でも住宅とか内装でRevitやBIMを使っていいはずなのに、いまだに3Dが浸透しないのはなぜなのかなぁと思っていました。たぶん、日本の職人さんってとても優秀で、3Dを見るよりも2Dの図面のほうが理解が早いんですよ。つまり日本の職人さんは図面がすごく読めちゃうから。
グエン:そう、すごい読めますよね。
田邉:だから必要ないんですよね。彼らに3D は(笑)。私たちが2Dで想像しきれなかった細部の工法まで、工務店さんや職人さんは想像できているんですよね。こちらが3Dでしっかり細部まで考えないといけないなと反省する面もあります。
グエン:オンデザインもこれまで国内の仕事を中心にやってきたので、そこまで3Dが必要じゃなかったんですよね。たぶん将来的にはBIMが主流になっていくと思います。
田邉:そうですね。
グエン:今後、海外の仕事を拡大していきたいのなら、ソフトの問題は考えないといけないですよね。僕たちはこれまで日本の設計事務所と何度かお仕事していますが、海外向けに仕事をしている設計事務所はみなさんその問題をクリアしています。ただ、これは日本の特徴でもあって、日本国内で開発されたソフトを日本国内で使うのは当然だから、僕も学生時代からべクターを使ってました。今はAutoCADが世界的に使われているけど、日本ではほとんど使わないですよね。もちろん国内の仕事だけならそれでもいいけど、国際的な仕事だと世界標準のソフトが使えるほうがいいと思いますね。
田邉:世界へ拡大したいのであれば、そのようなデジタルツールへの慣れは大きな課題ですね。
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ミライハウスのこれから
田邉:今後、ミライハウスはどのような計画で事業拡大していく予定ですか?
グエン:大量にスタッフを増員したりして、一気に事業拡大しようとかは考えていません。いろんなリスクを考えるとむしろパートーナー企業を増やしていくほうがいいのかなと思います。もちろん将来的には会社を大きくすることも考えていますが、少なくとも今後5年間はそこまで大規模な拡大はしないと思います。
田邉:私自身、今回、ミライハウスさんとお仕事をする中で、ベトナム独自の素材を使えたことはとても興味深い経験でした。石材とかテラゾーとかレンガとか、「これ本当に使えるんだ!」って(笑)。日本だとメーカーの規格品の中から、サイズとかも決まっていてそれに合わせて設計することが多いんです。でも今回はこちらの設計にどんな素材が合うかを現場で相談しながら施工していくので、それは日本ではできない体験でした。すごくおもしろかったです。
グエン:ベトナムでは規格品を使わないので、どんな設計でも施工できるんですよ(笑)。
田邉:それって本当にすごいことです(笑)。
マイン:今回のレンガ素材の壁も職人さんは現場で2回やり直したそうです(笑)。
グエン:今回は設計がオンデザインで、私たちは施工のチームでしたが、ミライハウスではふだん設計と施工の両方をしていて、これまで納得のいかない仕事はしてこなかったので、そこは施工だけでもいつもどおりやろうと思ってました。
田邉:日本だど設計の企画段階でこの素材は規格品がないから、このデザインは現実的ではないってあきらめてしまうことがありました。でもベトナムだとがんばれば実現できるんですよね。日本は規格品の市場が大きすぎて自由度がなくなっているけど、ベトナムからしたら、むしろ自由度がありすぎて時間が掛かる。だから逆に規格品をもう少し取り入れたい、と。うーん、お互いがちょうどいいところを折り合えたらいいんですけどね。
グエン:富裕層のお客さんは、どんなにお金と時間を掛けてもいいものをつくりたいんです。でも一般のお客さんはそこまでのクオリティはいらないわけで、考え方が違うんですよね。だから今回ご一緒したオフィスの改修も、ふつうはそこまでお金を掛けてやらないですよ。クライアントがとてもデザイン志向が高かったんだと思います。
マイン:ミライハウスのスタッフは全員建築設計出身なので、施工だけをやっていても、どこかで設計側の気持ちになってしまうんです。「ここはこうおさめたほうが美しい」とか。
田邉:設計を分かってくれているのは、こちらとしてはとてもありがたかったですね。やっていてすごく有意義でした。ベトナムにはほかにも設計だけをやられている事務所はあるんですか?
グエン:はい、多いですよ。日本人の設計事務所も何社かベトナムに拠点を構えてます。
田邉:そういう意味では建築の市場はまだまだ広がっていきそうですね。
グエン そう思います。コロナ禍以降のベトナム経済にはすごいエネルギーを感じますね。
田邉:それは感じました。ベトナムに来るたびにダナンの海沿いのビーチリゾートにはホテルが続々建っています。日本とは真逆で勢いしか感じない(笑)。その中でミライハウスさんも事業拡大しているというのは、とてもポテンシャルを感じます。
グエン:じつはコロナの前は年に2回くらい日本に行ってました。最近は年に1回くらいです。これからは日本はもとより世界にも積極的発信していきたいと思います。
田邉:今回、ミライハウスさんとはクライアント経由での仕事でしたが、次回からは直接お仕事をしたいですね。
グエン:そうですね。これからはウインウインの関係で多くのビジネスのパートナーが必要になってくる時代です。どこかの企業が市場を独占するなビジネスは続かないと思います。でも同時に商品をどんどん開発していかなきゃって生き残れないというプレッシャーも感じます。僕の会社の平均年齢は28歳ですから。僕がいちばん年寄りなんです(笑)。今回の 『ONE Tech Stop ダナン支社』 のクライアントであるOTSベトナムさんも平均年齢が20代ですしね。がんばらないとですね。
田邉:日本へもぜひそのエネルギーを輸入していただきたいです。(了)
ミライハウスの詳細はこちらよりご覧いただけます。
profile |
レ・フォン・グエン le phong nguyen1984年生まれ、ダナン育ち、2003年、19歳から日本に留学。 静岡で2年間日本語を学んだ後、建築を専攻して学部、修士、博士課程の勉強を続けました。 東京都立大学で都市計画をテーマに博士号を取得。 日本滞在中は複数の建築設計会社でも働いた。 2017年に帰国後、住宅問題の解決と住宅の品質向上を目的として、ダナンに設計・施工を事業とするミライハウスを設立。 日本で学んだ知識と経験を活かして、ベトナムの人々に多くの高品質な住宅製品をお届けしたいと考えています。” |
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profile |
田邉優里子 yuriko tanabe1995年横浜生まれ、横浜育ち。アメリカの設計事務所を経て、現職はオンデザインパートナーズ。建築設計者として軽井沢の別荘、海外オフィスの内装デザインを手掛ける一方、Placemaking Japanのメンバーとしても活動。まちづくりコンサルプロジェクトや、住民参加型ワークショップの研究開発、普及啓発を目的としたイベント・レクチャーの企画運営に携わる。 |
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