ワークスタイル再考
#04
理想の仕事場って
何ですか?
いろんなものが好きだという意識
西田 今のお話を聞いていて、僕も、伊藤さんの考え方には共感するんですけど、その話をしているときにいつも感じるのは「儲かりそうにないな」ってことです(笑)。つまり、チャレンジングである分、マンパワーも掛かるし組織としては柔軟でないとできない。いろんな状況がともなわないとできないにも関わらず、いわゆる対価が見えづらいというか。
ここ数年のPARTYはすごい勢いで成長されてますけど、そういう部分でバランスを保つための秘訣みたいなものはあるんですか。
伊藤 僕は建築もアートも植物もテクノロジーもみんな好きなんですよね。好きなものや愛するものがたくさんあるからこそ「広告といえば伊藤直樹だ」ってそういうふうにはやっぱりなりたくないんです。なんだろう、愛するものが、ひとつだけだとどうしても自己承認欲求が出てきちゃうような気がして。
伊藤 つまり、何をやるにしても、つねに「いろんなものが好きだという意識」を持っていたいというか。昨年、ミッドタウンで「でじべじ」のイベントをやった時も、ある種、植物好きな自分とアート好きな自分とが合わさった結果、「ビニールハウスで植物を育てる」っていうインスタレーションになったわけです。
西田 なるほど。秘訣というよりは姿勢みたいな。
伊藤 そうですね。PARTYには結構そういうスタッフが多いかもしれません。“それだけ”っていう人より、趣味が多様な人が多い。そういう意味では情報のリテラシーも高い人たちなので、お互いのバイブスになってるところがあります。「あのニュースはどうだった」とか「あのアートがどうだ」とか「あのプロダクトはデザインがあんまりだよね」とか、話題をふられても「何それ?」っていう浦島太郎状態にはならないというか。
西田 世の中で、今、何が表現され、ニュースとして何がトップであるとか。
伊藤 そうですね。プラス、僕はさらにマニアックな世界が好きだったりするので、一緒に山歩いたりして、みんなを植物の世界に引き込もうとしてますけど(笑)。「植物もいいぞ」なんて言いながら。