update

トレンド研究部
#02
「道路活用@かんないテラス」

 

コロナ禍での影響は、新たな生活様式、ニューノーマルを加速させ、

私たちの生活にも大きな変化をもたらしています。

 

そこで、「トレンド研究部」では、

オンデザインの若手メンバーが、いま気になっている“トレンド”をピックアップ。

 

実際に体験した実感値を、対話形式で深掘りすることで、

建築・まちづくり・空間特性へと活かせる新たな言語(キーワード)を見出していくのがこの企画の目的です。

 

第二回目のトレンドワードは・・・

「道路活用@かんないテラス」です!!

 

 

「“かんないテラス”って・・・?!」

かんないテラスは、神奈川県関内をフィールドに、コロナ渦の影響を受ける関内の飲食店支援と同時に、屋外空間の利用価値を探っていくことを目的にスタートした活動です。かんないテラスは「オンデザイン+関内まちづくり振興会」によって活動をスタートさせ、計3回の活動を行ってきました。活動ではこれまでに、路上飲食のための造作テラスの製作、様々なイベントとのコラボを通して、たくさんの方に参加していただき、関内の街を盛り上げてきました。コロナ時代を面白がるための、どこか楽しい街の風景が日常に定着することを目標に今後も活動を進めていきます!!

▽かんないテラスのこれまでの活動をまとめた記事はこちら

https://www.hamakei.com/headline/10951/引用元:ヨコハマ経済新聞

https://ideasforgood.jp/2020/07/31/kannai-terrace/引用元:IDEAS FOR GOOD(社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン)

 

今回は、かんないテラスを立ち上げ、活動を行ってきたメンバーがこれまでの活動を振り返ると同時に、かんないテラスの魅力を語り合います。

今回の参加メンバー

高橋慧一(オンデザイン1年目)/水野愛子(同)/松井勇介(同)

メンバーそれぞれが印象に残ったマイベスト写真を選び、おもしろポイントをプレゼンし合う中で、そこから得られる「気づき」を、かんないテラスの魅力、道路活用の可能性へと発展させていきます!!

 

高橋くんのマイベスト“かんないテラス”

高橋

僕は、第二回かんないテラスの活動の中からトークイベントを行なっているシーンを選んでみたよ! この写真では、街が背景になっているからか、通りすがりの歩行者も参加者のように感じたんだよね!!どこまでがトークイベントの会場なのか、誰までが参加者なのかいい意味でわからない、境界がゆるくなってる感じがいいんだよねー!

 

松井
街でイベントをするってこういう背景とか向きも大事なのかもね!

高橋
イベントを行なっている場所と、歩道の距離感もいいよね。柵などの境界を示すものもないし、グラデーション的に活動が展開されているように見えるな!!

水野
そういえばこの時、興味を持って立ち止まってくれる歩行者がたくさんいたよね! 歩行者が立ち止まった瞬間に、その方も参加者になってしまうような感覚があったな・・・。

松井
それ面白いね。第三者目線の歩行者からしたら、不意に立ち止まって参加した人も、ずっと聞いている人も、みんなが参加者に見えるもんね! 歩行の延長でグラデーショナルにイベントに参加してしまっている感覚というか。 
松井
自分は、このイベントの即興感もいいと思うんだよね。場を作り込み過ぎてないというか。場の作り込みのゆるさがあるから、自然と街に溶け込んで、境界までも緩くしている要因のように思うなー!

水野
たしかに、手前の赤い椅子は街の止まれの標識とマッチしてるね!そう考えると、色や形など街を構成している微細な要素も、イベントを催すデザインには大切なのかもね!

松井
いいね! こんな感じでどんどん写真を振り返りながら、かんないテラスの魅力を深堀していこうー!!

 

水野さんのマイベスト“かんないテラス”

水野
私は第三回かんないテラスの中からこの写真を選んだよ!! 歩道と道路を俯瞰的に見ているシーンなんだけど、写真でもわかるように中央の動線を区切りに、上の活動と下の活動の性質が違うように感じるんだよね。

高橋
真ん中の道路に新しい歩行動線を作ったんだよね!!

水野
下の活動はひとつの団体が楽しく和気あいあいとしているけど、上の活動はふたつの団体がいるにも関わらず、どこかまとまりがあって、楽しさが伝わってくるよね!!

松井
たしかに! それってなんでなんだろう?

水野
私は、既存の植栽帯や、柵がふたつの団体をゆるく区切るツールとして機能しているように感じるな。歩道と道路を分けるものというイメージがあった植栽帯や柵が、道路活用によって、活動を緩く仕切るためのものに働いているんだと思うなー!

松井
街のネガティブな面が活動によって、ポジティブなものに変化するのは、面白いよね!

 

松井くんのマイベスト“かんないテラス”
松井
僕は第3回かんないテラスからこの写真を選びました!! この写真、かんないテラスのワンシーンなんだけど、どこか公園みたいに見えない??道路なのに、みんな当然のように芝生の上で談笑しているよね。

高橋
たしかに!! 道なのに公園に見えてきたww不思議だね!! 

松井
道は公園のように計画できるんだね!!道の特徴なのかな?

水野
道の連なりが公園的一体感を作りつつ、テラスの程よい距離感で居場所をシェアしているように感じるな。かんないテラスは公園とテラスのいいとこどりをしてるのかな⁉︎

松井
同じ一枚の写真でも、ただ歩く人(=日常)、テラスや芝生でご飯を食べる人(=日常の中の珍しい体験)、イベントに参加する人(=非日常)といった多様な過ごし方が展開されているね。

高橋
道路活用(道を使った活動)は、そういった多様な過ごし方を許容するような寛容さが魅力なのかもね!! 

松井
写真を元に、これまでの活動を振り返ってきたけど、いろんな気づきがあったね。

水野
社会実験は実験だからこそ、気づきを次に活かせるのもいいよね。次のかんないテラスは今日の気づきを生かしてもっといろいろなテーマで実践していきたいね!!

 

 

アフターコラム

“社会実験が日常となる日”

コロナ渦の影響は、私たちの何気ない暮らしに多くの気づきを与えてくれています。

かんないテラスもその一つ。外でご飯を食べる楽しさ、はじめましてを共有できる体験、街を知るきっかけ、、、

コロナによって加速している社会実験の動きは、暮らしの楽しみ方の可能性を教えてくれているように感じます。

このような動きが、社会実験という暫定的な利用の形ではなく、私たちの日常の風景として定着していくことに期待しています。

 

 


profile

松井勇介(まついゆうすけ
1996年石川県生まれ。2020年金沢工業大学大学院修了。同年オンデザイン入社。かんないテラス初期メンバー。

高橋慧一(たかはしけいいち)
1995年島根県生まれ。2020年岡山理科大学大学院修了。同年オンデザイン入社。かんないテラス初期メンバー。

水野愛子(みずのちかこ)
1997年大阪府生まれ。2020年大阪工業大学卒業。同年オンデザイン入社。かんないテラス初期メンバー。