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空間再編の新前提
#05
オンラインを
活かす空間性

 

「空間」の持つ意味を、簡単に切り替えられるオンライン。「どことつなげるか」だけでなく、「どんな空間でつなげるか」を設計することで、オンラインの可能性はどう広がるでしょうか。

いろいろ考えて、結局、
「やってみる」ことにしました。

 

コロナ禍でオンライン化が進み、パソコンの画面を通じて別の機能や空間とつながることは、多くの人にとって「既知」のものとなった。

オンライン診療を受ける
自宅から、タッチペンで回答しながら授業を受ける
資料を画面で共有しながら会議する

これらを経験した人、あるいは経験していなくとも現実的なものとしてイメージできる人は、コロナ以前と比べて何倍にも増えたことだろう。

ただ、多くの場合それは、パソコンやタブレット、スマートフォンなどを通じてのこと。

言ってみれば、自分はどこかの空間に存在していて、別の空間とつながる“窓”が手元ひとつあるような状況だ。

 

では、この“窓”のつくりかたを工夫すると、どんなことが起こるだろうか。

つなぐ空間との「連続性」のようなものを高めると、その空間が現実に目の前にあるように感じられるようになったり、暮らしの中にあるオンラインがもっと面白くなったりするのだろうか。

オンデザインの建築家たちを交え、オンラインを実装する「空間のデザイン」を考えてみた。

 

映像のスケールや解像度で「臨場感」を高める

描写する映像の「スケール感」や「解像度」を高めるのは、「臨場感」を高める一つの方法として考えられた。

小さなパソコンの画面ではなく、等身大スケールの映像を壁に投影する。

解像度が高いカメラを利用したり、奥行きがリアリティをもって伝えられる技術を活用するのも面白そうだ。

臨場感のある映像が、リアルタイムで双方向性を伴って見えるとすると、どんな感じがするのだろうか。

単につながっている①PCのZOOMから、②スケール感、③解像度などを高めることで、どんな変化を感じるようになるだろうか

 

空間デザインに「つながり」を持たせる

もうひとつ考えられるのは、空間のデザインやしつらえに、つながる先との関連性を持たせることだ。

たとえばスポーツのテレビ観戦で、「無機質な書斎より応援グッズを並べた部屋の方がアガる」のと同じ考え方。

オンラインでどこかと頻繁につながることが前提になっているのなら、その接続先と同じような空間をしつらえることで、「接続先と、地続きになっているような雰囲気」を高めることはできないだろうか。

 

「単に機能がつながる」オンラインの、その先へ

このように、「単に機能がつながる」だけでなく、「空間に連続性を持たせる」ことで、どんな世界が広がるだろうか。

たとえば、別の場所にある空間を、互いの壁にリアリティを持って投影することで、次のような感覚を得ることもできるかもしれない。

物理的には離れているマンションと一戸建て、ライブハウスが、あたかもつながっているように感じられることはあるだろうか

 

リビングの片方の壁の向こうに、遠方で単身赴任や学生生活を送る家族のマンションがつながり、もう一方の壁を眺めればライブハウスにいるような感覚になる。

単に「つながっている」のではなく、「そこにある」ように感じられるのだ。

 

オンデザインで、小さくやってみます

さて、そんなことが実際に可能なのか、そのためにはどんな具体的にどんな設計をすれば良いのか。

オンデザインの建築家たちとそんなことを考えたら、あらたな問が浮かんできた。

そういう空間は、そもそも本当に楽しいのか?
臨場感が増すことで、どんな実感を抱くのか?
「ポジティブ」なだけでなく「ネガティブ」な要素も感じるのか?

いずれも「実感」に対する興味。

理屈や考察だけでは、答えが得られないものだ。

 

シン・ジクウの連載は、コロナ禍で実践したオンライン化の取り組みを第3回までで整理した上で、第4回からは未来の空間を想像してきた。

それには言わば、「想像しながら仮説を立てて、検証するポイントを整理する」ような意味合いがあった。

この先、それがどんな価値を生み出すのかを語るためには、小さくても良いからやってみて、実感を得ることが大切だ。

実践から、実感を得て、応用していく–。

オンデザインの建築家たちと、そのプロセスに進んでいきたい。

(完)

文:谷明洋、イラスト:オンデザイン