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トイレは、文化だ。
#02
こんなトイレが
ありますよ

text & photo & illustration : emiko murakami

さらに見てみると……

ここで、図面を見ながらおさらいしてみます。入り口はふたつに分かれており、エントランスで一体空間になり、階段を上がるときに空間は壁で分断されます。
上がりきって各部屋に向かうときには壁がなくなり、ひとつの空間に。
まるで、別れていた人が出会うような部屋。階段やトイレを利用するときは別れ、再び部屋で出会う、そんなつくりです。

階ごとに男性用と女性用のトイレが左右で入れ替わっています。

男性の場合、辿りついたトイレが女性用であれば、そのまま上がり続ければOK。まさか、いったん降りて、壁の向こう側へ行く人はいるのでしょうか。もしも、いたら相当の上級者です。

2階へ。この階段の細さはやっぱり独特です。右利きの人は手すりがついている右側を選ぶといったように、利き手に合わせて階段を選ぶのもいいのかもしれません。

トイレの中はこんな感じ。必要最低限で理解しやすいつくりです。

踊り場側から見たドア。「電気が点いていたら入らないように」との注意書きがあります。つまり1人用のトイレで、完全個室なのです。

 

こ の ト イ レ の こ こ が ポ イ ン ト 

1. 探さなくても見つかる

初めて訪れるビルでは、トイレを使いたいとき、まず場所を探します。どこにあるか知らないし、建物によって案内の仕方も違うので探し方から理解する必要があります。
ただ、こーれがなかなかストレスでして。何せこちらは「もよおして」るものですから。
悠長にはいきません。
案内が不十分であれば、建物中を歩き回ったあげく、辿りついた矢先に列が出来ていたりして……。別のトイレを探すのか、我慢して並ぶのか。選択を迫られます。
でも、教文館・聖書館ビルのトイレは違います。
着いて、まずトイレが把握できるようになっています。あまりに自然で気づきませんでしたが、かなりストレスフリーです。

2. 1人用の個室で落ち着く。

用を足している最中にノックされるのが一番困ります。原稿の〆切と一緒で、待っていられると出るものも出ない。本当に集中出来る場所。それがこのビルのトイレなのです。

3. ユニーク。リズムがある。

 階段を上がるごとに男性用・女性用のトイレが目に入る。上がっていると、「男→女→男→女と一定のリズムを成しているようです。建物は分かりやすく、不思議な魅力があります。