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密着レポート!
高校生の職場見学
〜オンデザイン編

text & photo:akihiro tani

将来の進路や仕事について考える高校生たちが、先日、オンデザインの仕事場見学とインタビューに訪れました。建築家からはどんなことが語られ、高校生たちは何を見聞きして、感じたのか。当日の様子をレポートします。

得意なことで
身の回りの社会を
楽しく動かす

オンデザインの見学に訪れたのは、神奈川県立金沢総合高等学校の1年生6人。「働く人にインタビュー」という授業で、いろいろな質問を用意してやってきました。

出迎えた建築家・一色ヒロタカさんは、オンデザイン10年目の38歳。現在はオンデザインだけでなく、個人の設計事務所irodoriでの仕事や大学の非常勤講師も務めています。

 

模型づくりにも興味津々

高校生たちはまず建築家たちが仕事をしている様子を見学。詳細な建築模型を特に興味深そうに眺めていました。

模型づくりの様子を見学

 

インタビュー用の打ち合わせテーブルに戻ると、まずは一色さんからの簡単なプレゼンテーション。「得意なことで身の回りを、楽しく動かしたい」と思って建築家を志した経緯や、これまでに手がけてきたさまざまなプロジェクトを紹介しました。

一色さんからも高校生に、「建築の仕事って言うと、どんなことが思い浮かぶ?」と逆に尋ねる場面も。
「おじいちゃんが昔、遊園地の設計をしていて、図面を書いていた」
「ゲームの”あつまれ動物の森”で、”ここにテーブル置いたら可愛いかな”とか、考えたりするのと同じ感じかな」
などと和気あいあいと話しながら、いよいよインタビュー本編に突入です。

一色さんのプレゼンテーション

 

「小さな社会を楽しく動かしたい」

一色さんが建築家を志した理由は、今後の進路を考える高校生たちにとっても大きな興味のひとつ。プレゼンテーションの内容を掘り下げる質問に、一色さんは高校時代を振り返りながら答えます。

高校生 「いまの仕事をすることになったきっかけを教えて下さい」

一色 「ぼくは高校生のころ、『人に影響を与えて、身の回りの小さな社会を良くしたいな、楽しく動かしたいな』と思って。それで、自分が何をやりたいか、できるかを考えたら、3つ思い浮かんだんですよ。ひとつ目は、ギターが好きだったんだけど、ミュージシャンになるのはちょっとむずかしいな、と。ふたつ目は、フィリピンにボランティアツアーに行って、『困っている人の役に立ちたい』と思ったんだけど、英語が得意ではなかったと。それで、3つ目が建築で、そのころから何かものをつくるのは得意だったので、『これにしよう』って決めたんです」

一色さんは高校生のときに『建築家になる』と決めたことが、人生の大きな転機になったことも付け加えた。

一色 「実は、中学の時は不登校で。勉強も遅れてて、高校は通信制にも進んでいたんです。でも、建築っていう分野は高校では誰も学ばないし、大学からのスタートになる。だから『建築家になる』って決めてからは、大学で建築についてだけはすごく頑張りました」

 

 

話題はやがて、仕事の楽しさややりがいについて。ここでも「小さく動かす」というキーワードが出てきます。

高校生 「建築の仕事の最大の魅力はなんですか?」

一色 「やっぱりプロジェクトが完成して、人がその建築を使ってくれることかな。『身の回りを小さく動かす』ことができたことを、風景として見て実感できることは、この仕事の面白いところです。考えることが仕事なので、納得ができなかったり、夜にパッといいアイデアが思いついたりして、時間通りに仕事が終わらないこともあるけれど、そうしていいものをつくっていくことが楽しいので、全く苦ではないですね」

「身の回りの小さな社会を、楽しく動かす」と高校生たちに語りかける一色さん

 

「人と人のつながりをつくる」

そうした仕事は「日々が勉強」でもあるようです。どんな学びがあるのか、高校生が訊ねます。

高校生 「仕事を通じて学んでいることはなんですか?」

一色 「建築の仕事は、学びがない日はないです。仕事の依頼を受けたら、相手のことをちゃんと理解しないと、良い建築ができないから。たとえば、病院の設計を頼まれたときは、患者さんやお医者さんがどういう経路を通ってどこへ行くのかについて聞いたりするし、ダンススタジオをつくるためにダンスについて勉強したこともあります。新しい仕事のたびにいろいろ調べて体験し、今は大学時代よりもっと勉強していますね(笑)」

具体的に手がけたプロジェクトについても、高校生からの深掘りがありました。

高校生 「具体的な仕事内容は、どんなことですか?」

一色 「建築の仕事は、建物をつくる以外にもいろいろなことをしています。たとえば今、みなと大通りのプロジェクトで、道路をいろいろなことに使えるような空間づくりをやっています。あと、これは個人の仕事でやったのだけど、このオンデザインのすぐ前のストリートで、結婚式をプロデュースしたことがあって。道路上に楽しい祝祭の場をつくって、みんなに喜んでもらいました。建築をつくるだけじゃなくて、極論すると、人と人のつながりをつくる仕事だと思っています」

一色さんのナビゲートで、みなと大通りのプロジェクトの現場を見学する高校生

 

「得意なことから目標を立てて進路を選ぶ」

インタビューの最後には、一色さんから高校生へのメッセージが。

一色 「自分の得意なことから成し遂げたい目標を立てて、それに向かっていく、という進路の選び方がある、っていうこと。まだ高校1年生だったら、実際にどう働くのかとかはイメージしにくいかもしれないけれど、いざ進路や仕事を決める、というタイミングで悩むことがあったら思い出してほしい。僕は高校生のときに悩んだけれど、今も後悔していないから」

思いを込めながらの、受け答えになりました

 

1時間に及んだ建築家の話に、高校生たちも様々なことを感じたようでした。

高校生 「ストリートでウェディングをプロデュースした話がすごかった。建築家って、細かい図面を書くだけじゃなくて、人とのつながりをつくる仕事なんだというのが印象に残りました」

高校生 「自分はダンスが好きで、ダンスに関わるには踊ることしかないと思っていたんですが、ダンススタジオを設計した話を聞いて、好きなことにはいろいろな関わり方があるんだと気付きました」

ひとりひとり、感じたことをノートにメモしました

 

終了後には、オンデザインからほど近い「みなと大通り」のプロジェクトの現場を案内。進行中の現場の様子に、生徒たちはインタビューで聞いた言葉の実感を深め、帰路につきました。

profile
一色ヒロタカ hirotaka isshiki

1981年 千葉県生まれ。2006年、千葉工業大学大学院卒業。同年、山本理顕設計工場。2009年、ヘルム。2011年、オンデザイン。2014年、実践女子大学非常勤講師。2015年、千葉工業大学非常勤講師。2015年、studio IrodorI建築設計事務所設立。2017年、テクニカルチーフに就任。