ヨ コ ハ マ の ま ち を 彷 徨 う 文 筆 家 ・ 佐 伯   誠 に よ る  シ ョ ー ト ス ト ー リ ー 。

 

好きな映画を、上映してくれる映画館があるというのは、

なんとありがたいことだろう。

好みが合ってるから、セレクトショップでの買い物の気分だ。

ある日の午後、伊勢崎町のシネマリンで、マイルスの評伝映画を観た。

とにかくマイルスのカッコよさに溢れていて、

とびきりcoolだった。

出てくる女性たちがみんなウットリとしてマイルスのことを語っている。

中でもジュリエット・グレコの回想は、それだけでシャソンの恋唄そのもの。

成就しなかったからこそ、胸をしめつける。

帰りに野毛の「ちぐさ」に寄って、マイルスを聴いた。

リクエストしないのに、さりげなくかけてくれたのが、うれしかった。

ウイスキーのコーヒー割を二杯。

今日は、この街が、年増女のようにやさしくしてくれた。

ところで、マイルスの口癖だったのは……

I have to change. It’s like a curse.

 

 

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profile
佐伯 誠　makoto saeki
walker+cyclist+文筆家。音楽、映画、文学、アートの分野に造詣が深く、雑誌、ウエブ、広告など、多様な媒体で執筆を行う。「よそ者として無遠慮にヨコハマをうろつくのは、occupied japanの残り香を嗅ぎたいから。この街には、東京が隠蔽してしまったものが残されているから」

松本祥孝　yoshitaka matsumoto
photographer +横浜関内にてmatsumoto coffee roasters 主宰。料理写真、街歩き写真が得意分野。コーヒー焙煎と白黒暗室の奇妙な関係を探索中。コーヒーの出前屋台や出前授業なども行う。横浜野毛ジャズ喫茶ちぐさで日替りマスター隔週金曜日担当中。