Another City
#05
変わっちゃった。
文 筆 家 ・ 佐 伯 誠 の
|
街で、あいつにバッタリ出会ったら、妙によそよそしかった。
モンクストラップの靴を履いているのも、めずらしかったけど、
髪型がクルーカットになってた。
立ち話して、右と左に別れた。
何があったんだ? どうしちゃったんだ?
カフェで休もうと思ったら、シャッターが降りていて、
「長い間ありがとうございました」という一行。
エ? やめちゃったのか。
すっかり、風景が変わってしまった。
あれから、何ヶ月経ったのか考えてみた。
街が見違えるんだから、あいつだって、昨日の彼ならずだ。
ヒトの細胞って、6、7年で入れ替わるっていうから、仕方ないかもしれない。
帰り道、公園を入ると、工事中だった建物がすっかり仕上がっている。
あれ、木をずいぶん伐っちゃったんだなあ。
これじゃ、妖精が住めなくなっちゃうじゃないか。
願い事をひとつ、そのまま叶えてくれる妖精が、誰にも存在しているというのに。
you might as well live.
5月から全5回にわたり連載してきたコロナ禍の特別編「Another City」も今回が最終回。次回から再びレギュラー連載の「Oneday Yokohama」をお送りいたします。お楽しみに!
profile
佐伯 誠 makoto saeki
walker+cyclist+文筆家。いやおうなしに、これからは恢復期を過ごすことになるだろうと思う。深さはそれぞれだけれど、無傷ではいられない。それが、お互いへのやさしさとなってくれることを願う。また、ヨコハマで!
松本祥孝 yoshitaka matsumoto
photographer +横浜関内にてmatsumoto coffee roasters 主宰。料理写真、街歩き写真が得意分野。コーヒー焙煎と白黒暗室の奇妙な関係を探索中。コーヒーの出前屋台や出前授業なども行う。横浜野毛ジャズ喫茶ちぐさで日替りマスター隔週金曜日担当中。