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Work Log
#05
建築,DIY,拠点運営…
幅広く仕事中です!

text:koichi yoshikawa(ondesign) photo:ondesign

 

オンデザインで働くスタッフの日常を追う連載シリーズ。5回目となる今回は在職7年の小泉さん。建築からカルチャーまで、オンデザインが誇るオールラウンダーは、幅広いジャンルに好奇心旺盛。そんな彼の一週間に密着します!

 

最近の関心は、現地で活動されている人たちに直接会って
地元のコミュニティの中にちょっとずつ入っていき、
リアルな街のイメージを描くこと。
小泉瑛一(32歳)

 
 
月曜日
拠点運営メンバーで打ち合わせ@オンデザイン 

Q 小泉さんは設計以外にもいろんな活動に携わっているので、今回はその一部分でも紹介できたらと思います。この打ち合わせではどんなことを話しているのですか?

A オンデザインでは、「FUTURE PUB’LICヨコハマニシグチ」や、横浜DeNAベイスターズのオフィスがある「THE BAYS クリエイティブスポーツラボ」など、いくつかの拠点で運営をしています。
 この4月からはそうした拠点が増えたのに伴ってオンデザインのメンバーも増員。月に一度、情報共有のミーティングを持つようになりました。担当していない拠点のことは意外とわからないし、ほかの拠点で得た知見を自分の担当物件にフィードバックできるのでいい機会になっています。

 
火曜日
DIY@オンデザイン

Q 工具の扱いに慣れてますね! 今回は何を作っているのでしょう?  

A 事務所のメンバーが一気に4月から6人増えたので、彼らが使う机づくりを手伝っています。オンデザインの事務所の什器などはDIYで作ったものも多く、こういうときはよく駆り出されます。工具の使い方は石巻にいた時に、「石巻工房」の仕事を手伝わせてもらったので基本的なことはそこで覚えることができました。
 そういえば石巻では、オンデザインOBの勝さんと一緒にクマガイサイクルという自転車屋さんをほとんどDIYで設計施工したこともあるんですよ。

 

 

水曜日
高校生とまちづくりワークショップ@FUTURE PUB’LICヨコハマニシグチ

Q 高校生と一緒に何かプロジェクトをすることもあるのですか?

A 一般社団法人横浜西口エリアマネジメントのまちづくり拠点、「FUTURE PUB’LICヨコハマニシグチ」(去年から運営チームに入っているプロジェクト)では地元の高校生と一緒に横浜西口について考えるというワークショップをやっています。今年から新しく1年生も入ってくれたので、オンデザインの谷さんと一緒に高校生が考えるプロジェクトを通して、どうやったら西口エリアを良くしていけるかを考えています。
 横浜駅周辺はやっぱり若い人たちが多いので、その世代がお客さんになるだけじゃなくて、主体的に街の未来を考えられるようになると良いなと思って、平沼高校の生徒さんたちを巻き込んでいます。世代が違う若者と一緒にディスカッションするのは難しさもあるけど、自分にとってもいい機会になっていますね。

 

木曜日
空き地活用を検討中@某工事現場

Q ふだんの建築の仕事とは違って、設計の対象は建物以外にも広がっているんですね!

A まちづくりや拠点運営の成果が知られてきたからか、建築を建てる以前の仕事も増えてきました。これはある大規模開発の工事現場の中に、公園のような広場を期間限定でつくるプロジェクトです。
 住居だけで1300戸を超える大規模なマンションで、ただ販売促進するだけじゃなく、竣工前から地域と連携してコミュニケーションができる広場をつくりたいというお話をいただいたんです。そこで、パブリックスペースの活用に大きな知見を持っている人たちを巻き込んで、什器やしつらえのデザイン、運営企画などを設計しています。

 

金曜日
ペチャクチャナイトで世界へ発信@渋谷・金王八幡宮

Q すごい人! しかも外国の方ばかり……。これは何の講演会?

A 東京発、世界1000都市以上で開催されている「ペチャクチャナイト」という、20秒×20枚のスライドで語るプレゼンテーションのイベントで、世界各地のオーガナイザーが東京に集まる「ペチャクチャPOW WOW」という会議に参加してきました。
 じつはオンデザインは「ペチャクチャナイト横浜」のオーガナイザーとして参加していて、これまでに10回開催しています。この日は各国のオーガナイザーに混じって、ペチャクチャ横浜についてプレゼンテーションさせてもらいました。僕たちは横浜の街の中で毎回違う場所を開拓して、いろいろな分野のゲストにプレゼンしてもらっています。ペチャクチャナイトは街の新しい場所の使い方を幅広い人たちに知ってもらうにはとてもいい手段なんですよ。

©Brian Scott Peterson

©Brian Scott Peterson

 

土曜日
ポタリング@石巻

Q オンデザインは石巻でも活動していますよね。

A 建築家の千葉学先生、石巻にも拠点があるIT企業のYahoo!さんと一緒に「ポタリング牡鹿」という自転車ツーリズムのイベントを毎年主催しています。僕は東日本大震災のあと、3年半「ISHINOMAKI 2.0」のスタッフとして石巻に住んでいましたが、その中で石巻の自然の中をサイクリングする楽しさに目覚めました(笑)。
 Yahoo! が「ツール・ド・東北」というロングライドのイベントを通してサイクルツーリズムを普及させようとがんばっているのですが、それに呼応して、牡鹿半島を自転車で巡るツアーを5年くらい前からやっています。
 牡鹿半島は震災後に建築家が関わったプロジェクトやReborn Art Festivalの作品も多く、距離やアップダウンも自転車で走るのに最高なんです。車だと目的地までの道は何気なく通りすぎてしまうけど、自転車なら景色や風を全身で感じられます。とくに漁村集落は毎年復興事業で風景が変わっているのでそういうところも見て欲しいと思っています。
 千葉先生は自転車好きとしても知られていて、最初から一緒にやらせていただいていますが、年々企画がバージョンアップしていて、野老朝雄さんにロゴのデザインを頼んだり、建築家の萬代基介さんに自作の「おしか番屋」を解説してもらいながら漁師さんの朝ごはんを食べるなど、こちらも楽しんでやっています。
 今年は9月1、2日で開催予定です。

©Akiho Sato

 
-OFF TIME-
日曜日
まちづくりの可能性を探る@群馬

Q 小泉さんの興味は、DIYから都市計画まで幅広いですよね。今日、群馬まで来たのはなぜでしょう?

A 群馬県の桐生に父親の実家があるのですが、去年から誰も住んでいなくて空き家なんですよ。壊したり売ったりするのはもったいないと思って、何か活用できないかと考えているところです。桐生はここ数年アウトドアやクラフトといった切り口の面白いお店が増えていて、注目されているみたいです。昔は祖父母の家とお墓参りにしか来ていなかったので、そんなことになっているのは全然気づかなかったんですけど(笑)。
 僕の関心としては、そういう実際に現地で活動されている人たちに直接会って地元のコミュニティの中にちょっとずつ入っていき、リアルな街のイメージを描くこと。
 空き家をリフォームすることはたぶんすぐにでもできるけど、僕の家族だけがたまに使うような場所にはあまりしたくないなと思っています。「実家2.0」というか、桐生に関わる人たちの家みたいな場所にできるといいですね。

 


【小泉さんへの深掘りQ&A】

Q オンデザインを選んだ理由
A  学生の頃から何度かバイトでオンデザインには来ていましたが、石巻での活動を始めたことがきっかけで気がついたら入社していたパターンです。

Q  好きなこと/趣味
A  趣味はサイクリング、料理、旅行。いろいろな街に行くことが好きです。

Q  苦手なことは?もしくは苦手だったことは?
A  計画を立ててきちんと実行すること。これはちゃんとできるようにしたいです。

Q  最近読んだ本で良かったもの(本でなくても映画/音楽でも可)
A  高城剛「50mm」と「分断した世界」長年高城剛ウォッチャーなのですが、常に世界中を移動し続ける筆者は、独自の視点とネットワークで、ニュースでは流れることのない世界の裏側をレポートしてくれるので興味深く読んでいます。本当は自分自身の目で世界中を見れるといいのですけれど。

Q  最近うれしかったこと
A  ウェグナーのソファーを買ったこと。ずっと探していて、前橋の北欧家具のお店で買いました。安くない買い物でしたが(新居を整えるということを言い訳にして)家具デザインの傑作を家の中に迎えることができて生活が豊かになりました。

Q  最近たいへんだったこと
A  痛風と蜂窩織炎で両足が腫れたこと。ゾンビのような歩き方になってました。

Q  好きな建築
A  『Casa da Musica』(OMA)
街の新しいシンボルでありながら最初から最後まで無料で入っていける自由さと、スケートパークのように使われているランドスケープが印象に残っています。あと単純にかっこいい。

Q  座右の銘など
A  「Life is short, play more.人生は短い、だからもっと遊ぼう」
昔のX boxのCMのコピーですが、全くX boxのゲーム機本体が映らないCM映像も面白いのでぜひ見てほしいですね(笑)。

Q  実際にオンデザインで働いてみて
A  「実際に」というか気づいたらすでに7年も働いてました……。プロジェクトをより良くしていくのはもちろんですが、オンデザインという組織を良くしていくことにも関心があります。


過去の記事
Work Log #01 「秋元俊介」
Work Log #02 「鶴田 爽」
Work Log #03 「湯浅友絵」
WorkLog #04  「田中比呂夢」   
profile
小泉瑛一 yoichi koizumi

1985年、群馬県生まれ愛知県育ち。2010年、横浜国立大学卒業。11年、オンデザイン入社。15-16年、首都大学東京特任助教。