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高校生×都市
#01
高校生と都市の
共創関係を考える

 

高校生が都市と関わることは、どのような価値を生み出すだろうか?

「都市を科学する」の第5弾は高校生。10代の若者が、学校の枠を超え、都市を舞台に活動する価値を考えてみたい。高校生と都市の両方にとって良い関係性とはどのようなものか。その関係は、どのようにつくっていくことができるのか。事例をもとに考えていく。

 

 

高校生と都市の、素敵な相互関係を考えます。

 

 

「楽しかった」以上の、イベントの価値は?

横浜駅からほど近い商業施設前の広場で2019年4月、地元高校生が企画した「ヨコハマTEENS PARTY」が開かれた。

複数の高校の有志が集まり、企画から運営まで手がけた“合同文化祭”。バンド演奏やダンス公演のほか、ゲームコーナーや写真展示、アトラクションなどを行い、老若男女約1200人を動員した。

横浜駅近くの広場で開かれた「TEENS PARTY」は、晴天にも恵まれて賑わった

 

興味深かったのは、企画や出演で関わった高校生や、当日会場を訪れた大人の反応だ。

今まで通学路でしかなかった街を、ホームだと思えるようになってきた(高校生)

 

学校以外での演奏は初めて。部活の引退前に、最高の思い出になった(高校生)

 

街の治安が悪いイメージを、変えようとしているのかな(通りがかりの大人)

 

若い世代が街に親しみを覚えたり、街が爽やかなイメージを発する要素になったり。

単に「楽しかった」という以上の、何か生産的な価値があるように感じられる。

高校生が学校の枠にとどまらず、都市を舞台に活動するからこそ生まれるのは、何だろうか?

「高校生にとって」と「都市にとって」の双方の視点から、言語化してみたい。

 

いろいろな事例を、比較する

ほかの地域へ目を向けてみても、高校生への教育を核とした「地域づくり」に取り組んでいる事例が増えつつある。学校だけでなくまちのいろいろな場を、「学びの機会」として高校生に提供することで、地域の魅力を高め、定住人口や賑わいを高めていく取り組みだ。

都市の規模などが違っても、高校生が都市と関わる構図や価値に、共通点はあるのだろうか?

島根県津和野町の古い武家屋敷の活用を考える取り組み。地元高校生の協力も受けながら、リサーチやイベントを行っている。

 

高校生と都市は、どんな相乗効果を生み出せるのか?

「都市を科学する 高校生編」は、高校生をはじめとする10代の若者が、都市を舞台に活動することで生まれる価値を考察し、その価値を高めるために重要なことを整理していきたい。先に紹介した「ヨコハマ TEENS PARTY」をはじめ、オンデザインが関わっている事例などを取り上げ、関係者の実感や現場の声も交えながら進めていく。

高校生と都市の「共創」関係をつくるヒントをさぐることは、「教育」「人の成長」「若いエネルギー」「都市の魅力」などを、相乗効果で高めていくことに繋がると思うのだ。
(了)

<文、写真:谷明洋>

 

【都市科学メモ】
(問い)
高校生が、都市と関わることには、どのような価値があるだろうか?
├高校生にとっての価値は?
└都市にとっての価値は?
それらを最大化していくには、どんなことが重要になるだろうか?

 

「都市を科学する」は、横浜市の建築設計事務所「オンデザイン」内にある「アーバン・サイエンス・ラボ」によるWeb連載記事です。テーマごとに、事例を集め、意味付け、体系化、見える化していきます。「科学」は「さぐる・分かる」こと。それが都市の未来を「つくる」こと、つまり「工学」につながり、また新たな「さぐる」対象となる。 そんな「科学」と「工学」のような関係を、思い描いています。
アーバン・サイエンス・ラボ記事一覧

「高校生編」では、「高校生が都市と関わることは、どのような価値を生み出すだろうか?」という問いを立て、「高校生」と「都市」の双方にとっての価値を整理しながら、「共創関係」を生み出すヒントをさぐっていきます。
「都市を科学する〜高校生編〜」記事一覧

 

谷 明洋(Akihiro Tani)
アーバン・サイエンス・ラボ主任研究員/科学コミュニケーター/宇宙と星空の案内人
1980年静岡市生まれ。天文少年→農学部→新聞記者→科学コミュニケーター(日本科学未来館)を経て、2018年からオンデザイン内の「アーバン・サイエンス・ラボ」主任研究員。「科学」して「伝える」活動を、「都市」をテーマに実践してます。新たな「問い」や「視点」との出合いが楽しみ。個人活動で「宇宙と星空の案内人」「私たちと地球のお話(出前授業)」などもやっています。