万博を歩く
#04 
“ベース”のデザイン
        
        
10月13日に大盛況のうちに幕を閉じた「大阪・関西万博 EXPO2025」。大屋根リングをはじめ著名建築家によるパビリオンが話題となり、結果的には連日多くの来場者で賑わう盛況ぶりとなりました。編集部員による見て聞いて感じた万博レポートは、そんな会場の余韻に浸りながらもう少し続きます! 今回のテーマは、「”ベース”のデザイン」です。
| 案内人 profile | 西大條晶子 akiko nishioedaオンデザインでは、主に地域拠点や施設の計画段階から運営に至る業務を担当。 1983年 宮城県生まれ  | 
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パビリオンの周辺で、見て感じたこと

筆者が訪れた、6月下旬の大屋根リングの様子
圧倒的だった大屋根リング。
リング下の柱部分には周囲のパビリオンへのサインが記されている。
リングに沿って歩けば自然と各国のパビリオンに出合え、いつのまにか会場の概要をなんとなくではあるがつかめる。
会場全体の中でくつろげる場として
また、真夏に必須の日差しをさけるシェルターとしても相当に機能していた。
そして、後述する万博の芯の部分をダイレクトに体感させる役割も果たしている。 
大屋根リングのその在りようは本当に圧倒的だった。

o+hによる休憩所。迷路のアトラクションのようにも感じられる内部
コンペで選ばれた若手建築家の設計案を実現したという、トイレや休憩スペース。
万博に限らず外出した際、トイレや休憩に使う時間はできる限りコンパクトにおさめたい(できれば時間を割きたくない)と思うだろう。
しかしコンペの選定案ともなるとたちまち「訪れたくなる」場所に変身するのは、建築関係に身を置く私たちだけだろうか。
万博会場で過ごすすべての時間が有意義なものになるよう施された工夫のすばらしさは
会場の歩き疲れを感じる中だからこそ実感させられた。

o+hによる休憩所。平面構成

来場中に気持ちが不安になったり、パニックになってしまった時に落ち着けるよう用意されたスペース
「カームダウン・クールダウンスペース」という場をはじめて知った。
さすが万博、ケアの場も最前線で、やさしい。

会場内に点在するベンチ
座る場所と給水スポットが各パビリオンの合間にたくさんあった。
人々で混雑していても、探せば座れる程度にベンチも用意されている。
多くの人にとって万博に来る目的といえば、パビリオンなのだろうが、
それ以外の場所に対しても周到な用意と配慮がされていた。
ユニバーサルデザインということなんだろう、
大屋根リングの大きな庇もトイレも、なんだかやさしく感じた。
万博を訪れる人にとって大事なことがきちんとなされていて、
実際に車いすの方を多く見かけたように思う。

会場を見渡せる大屋根リングの上でドローンショーを体験
パビリオンや大屋根リングなど、それまでバラバラに楽しんでいた人たちが、
ドローンショーに関しては同じ出来事を、同じ瞬間に楽しんでいた。
万博という世界各国のパビリオンを巡る1日の締めくくりに、このショーを体験できたことはとてもよかった。
会場を見渡せる大屋根リングの上にいたからこそ、みんなが一緒に観賞している感覚をより強く感じられたのだろう。
ショーが終わり帰路につく人々を横目に、今日の充実感を胸に刻んで帰れることが心地よかった。

ドローンショーが終わり、会場の出口へと向かう人々
歩いてみて
はじめて訪れた万博を一言であらわすなら、
It’s a small world.
ディズニーランドの有名なアトラクションだが
この言葉を改めて調べてみたら
もともとは、1964年のニューヨーク万博のためにつくられたパビリオンとのこと。
そうだったのか……。その言葉が自然と思い起こされたのは、
求心的な大屋根リングでの体験と
「図と地」で言えば、きっと地になるのだろうか、
会場内でも名のない空間で
人々の存在となにげないやさしさを感じながら
様々な国に触れることができたからだと思う。同行していたオンデザインのSくんは会場でもしっかりポケモン愛を発揮していました・笑












