トイレは、文化だ。
#03
どうやって生まれた?
トイレマーク
全世界に広がっていったピクトグラム
製作したピクトグラムについて、勝見氏は「社会に還元すべき」と考えていました。
そして、すべてのピクトグラムの著作権は放棄され、全世界で使用されていきました。
若手デザイナー達は進んで著作権放棄の署名を行ったそうです。
生みの作業は決して楽なものではなかったはずです。交通費は出されず、1回の会にお弁当がひとつ付いただけの待遇でした。仕事をしながらの活動で多いときに週3回集まったそうです。
今日、ピクトグラムは日本だけでなく、全世界で使われるようになりました。
このような歴史からか、オリンピックのピクトグラムは「絵文字の国際リレー」とも呼ばれるようになったそうです。
機能がふえて、図もふえて
さて、ときは2019年。あれから50年以上が経過しました。
北九州の製造メーカー「TOTO」を筆頭にトイレ環境はめざましい進歩を遂げ、おしりは洗ってくれるわ、蓋は開けてくれるわ、便座はあたたかいわで、至れり尽くせりな多機能トイレが生活に浸透しています。
2010年に公開された映画「トイレット」(荻上直子監督作品)に出てくる主人公レイは、こう語っています。
「肌にあたる部分はあたたかく
用が終わればおしりを洗ってくれる
これぞ、日本の誇れる技術、ウォシュレットだ」と。
映画「トイレット」予告編
ところが、近年日本を訪れる外国人観光客の方々からは、操作方法がわかりにくいとの声も上がっています。
操作に関するピクトグラムはメーカーによって様々なので、新しいトイレに遭遇する度に使い方を学ばなければなりません。
そこで2017年1月に、標準的なピクトグラムが生まれました。
今後さらに増えることが予想される訪日外国人。
誰でも不自由なく使用できるよう、安心して使えるトイレ環境を目指して一般社団法人日本レストルーム工業会が策定し発表しました。
トイレ操作の主要な8項目が選ばれ、デザインされています。
・流す(大、小)
・フタの上げ下げ
・便座の上げ下げ
・洗う(おしり、ビデ)
・乾燥
・止
これらのピクトグラムを国際標準化しようという動きが生まれ、業界を挙げて取り組まれた結果、2019年2月26日に国際標準化機構(ISO)の国際規格に登録されました。
2020年は、日本で2度目のオリンピックが開催されます。ますます進化していくトイレの案内表示。
はたして今後はどうなっていくのか、その未来は誰にも予測できないだけに期待はふくらむばかりです!