万博を歩く
#06
万博と空
昨秋、国内外含め2,500万人の来場者を記録し大盛況のうちに閉幕した「大阪・関西万博 EXPO2025」。会場を訪れた編集部員が見て、聞いて、感じたことをそれぞれの切り口でアウトプットするリレー企画。今回のテーマは、「万博と空」です。
reporter profile
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フン チョク テイ fung cheuk ting街でも小さな家でもすべては細かい単位から構成されると思います。一つ一つのパーツに対して心を込めて、ストーリーを作るように世界を創り出します。常に空間の新しい価値を探究し、発信していきます。 1997年 香港生まれ |
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見上げた先に感じたこと
カメラを片手にまちに出かけることが多い。撮った写真を見返したら、なんとなく人をよけて、建築ばかりを撮っていることに気がついた。
万博は、開園からほぼ人の流れが止まらない。人が写らないようにパビリオンのファサードを撮るのは至難の業だ。そこで、視線を少し上に向けてみた。
ただただ建築と空だけをタイムラインで切り取りながら、大阪・関西万博を歩いてみた。
11:30am
電力館の「凹」と大屋根リングの「凸」。
太陽高度が最も高くなる時間帯だからこそ、いましか見えない陰影の落ち方。
@電力館
11:35am
エレベーターと大屋根リングの取り合い。
何度見ても不思議な組み合わせ。
無機質と有機質の素材の融合、そしてあえてリング内に収めようとしない意匠。
人をどんどん空へ運ぶように。

11:45am
極細の柱が支える雲のようなキャノピー。
構造体を極限まで細くすることで、屋根そのものの存在感が薄れ、空との境界が曖昧になる。
日差しを和らげながら、視覚的にも軽やかで涼しい。
@Better Co-Being
12:00pm
上から水が流れ落ちるファサード。
真っ黒な塊に、霧のような膜がつく。
水が地面に触れた瞬間、白い靄が立ち上がり、建築の外皮が、こどもの遊び場になる。
@いのちの未来
12:05pm
木造のらせん構造。
スパイラル状に空へ伸びていく形は、歩く速度と気分を自然と引き上げてくれる。
@オーストリア館
12:10pm
風に揺れる紐。
紐だけで構成された屋外空間は、仮設建築だからこそ実現できる、許される軽さと実験性。
紐に囲まれて聴く演奏は、空気の動く音まで心地よかった。
@ポルトガル館
2:00pm
来館者の感情をリアルタイムで解析し、表情を変えるファサード。
@NTTパビリオン
2:20pm
薄い膜を重ねたような繊細な外装で、空の光がそのまま建築の表情になる。
@ウーマンズパビリオン
2:30pm
金色の皿で、空をすくい上げるような建築。
@EXPOホール
3:00pm
暗めの木材で表現された、北欧の森林。
@北欧館
3:30pm
ボヘミアンクリスタルのパネルと、らせん状の動線。
光と移動が重なり、歩くたびに視界が変わる。
@チェコ館
3:45pm
鏡面の空気膜。音の振動に反応し、空の風景がつねに揺れ動く。
@null²
3:50pm
曲面の屋根と地面が連続する構成。
建築とランドスケープの境界が溶け合う。
@いのち動的平衡館
4:45pm
三角形で構成された屋根空間。
強い日差しによって構造体が彫刻のように、力強く浮かび上がる。
@ウズベキスタン館
4:50pm
ベージュの外壁が描き出す砂漠の風景。
植栽はまるで砂漠の中に現れたオアシスのようだ。
@サウジアラビア館
4:55pm
夕日を反射する鏡面。
フラットなはずの外壁が、どこまでも立体的に見える。
空の色が、そのまま建築の表情になる。
@タイパビリオン
6:10pm
コンクリートの冷たい質感と、空に浮かぶ月。
素材の重さと、空の軽さの対比。
@いのちめぐる冒険
6:30pm
船のような造形。
建築というより、巨大な彫刻作品のようだ。
@バーレーン館
6:55pm
薄暗くなる空に対して、浮かび上がる大屋根リングの照明。
昼間は風景だった建築が、夜になると都市の輪郭になる。
@大屋根リング
7:00pm
屋根の下で灯る光。
一日の終わりを告げるサインのようで、どこか「さよなら」と言われている気がした。
@東ゲート
編集後記
昔から、まちで迷ったときの自分なりのポーズがある。
それは、まず空を見上げること。地元・香港は高層ビルが多く、遠くを見るよりも、見上げたほうが必ずどこかにランドマークが見つかる。空を通して、自分の位置を知るための身体的な習慣。
その感覚が、いまの自分にも影響しているのかもしれない。 無意識のうちに空を見ている。 そして、その空と関係を結ぶ建築を見ている。
まちなかの建築と違って、万博のパビリオンには繰り返しや多角形といった明確な造形ルールが多く見られる。それらは、空をまるでキャンバスのように扱い、建築の輪郭をそこに描き出しているようにも思えた。











