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Book Log
#03
オンデザイン読書会
テーマ「女子的」

text:aya sakurai  photo:ondesign

オンデザインの新鋭4人組が、お題に沿った本を選び、それを俎上にのせ、多角的に議論する読書会企画!
第3回目は「女子的」をテーマにお気に入りをセレクト。
トークの先行きがまったく想像できない状態で、読書会はスタート⁉︎

📚

【読書会参加メンバー】 
鶴田 爽/伊藤彩良/西田幸平/櫻井 彩
@unico(川崎・日進町)

 

 

左から、櫻井さん、伊藤さん、鶴田さん、西田くん

 


📖 鶴田さんが選んだ本

『なぜギャルはすぐに「かわいい」というのか』
山本博通 著(幻冬舎ルネッサンス新書)

(内容紹介)
ギャルたちの「かわいい」という言葉に込められた意味を、その由来・日本文化等から読み解きつつ、現代の若者の生き方や心情を分析した若者論。日常の中で多く目にする「かわいい」と発する若者たちの心理を、日本の現状と重ね合わせながら本書は展開していきます。

──この本を選んだ理由は?
鶴田 「女子的」がテーマとなった時に、以前、工事の現場で、家具職人さんがつくった家具に対して「かわいい」という感想が増えたという 話を思い出しました。暮らしの中でもよく聞く「かわいい」という言葉を発することへの読み解きが、女子の気持ち・暮らし の中での「感じ方」などにつながってくるのではないかと思い選びました。

 


📖 西田さんが選んだ本

『関係する女 所有する男』
斎藤環 著(講談社)

(内容紹介)
精神科医である斎藤環氏が、男女の性差を精神分析の観点から説き明かす。人間には「関係」と「所有」という欲求の二大原理があり、女性は前者、男性は後者の原理をもとに行動する ”傾向にある” という。本書はジェンダーの多様化する現代社会において、性差を生物学的な二元論(オス・メス)で理解しようとするのではなく、精神分析の立場から人間が持つ二つの行動原理を分析・理解する事で、性差についてより寛容な立場を取ろうとするものである。

──この本を選んだ理由は?
西田 男である私が「女子的」というテーマについて話すには、まずは男女を比較分析している本から始めないと難しいなと感じました。多々ある男女本の中から本書を手に取ったのは、「関係する女 所有する男」というタイトルに経験的な共感を得たからです。関係と所有というキーワードから、男女の考え方・動き方の違いについて具体例をもとに明らかにしていく構成が、「女子的・男子的」というものすごく感覚的な言葉を具体化するのに向いていると考え、この本を選びました。

 


📖 伊藤さんが選んだ本

『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』
天野彬 著(宣伝会議)

(内容紹介)
SNSは私たちの情報行動、ライフスタイル、そして価値観までも一変させてしまった。そのSNS上でのコミュニュケーションが写真や動画中心になってきている。本書は、それをビジュアルコミュニケーションの実践と捉えつつ、ユーザーの情報行動がどう変わっているのか、そして「シェア」がいかに重要になってきているのかを論じる1冊である。

──この本を選んだ理由は?
伊藤 より価値の高い体験を求め若者はインスタ映えする料理を食べに行ったり、旅行に行ったり。また、プリクラで「盛る」文化は加工アプリへ進化し若者のくらしには必須のアイテムとなっています。
 その流行の先駆者であるのはいつも女子高生などの若い女性なのでは? 彼女たちの女子的な価値観を読み解いていくことで、「女子的」を再解釈できるのでは? と思いこの本を選びました。

 


📖 櫻井さんが選んだ本

『4 Unique Girls—人生の主役になるための63のルール—』
山田詠美 著(幻冬舎文庫)

(内容紹介)
押し付けられてきた調和を少しばかり乱してみたいと胸をわくわくさせているユニークガール志望の方に提案したい一冊。最大公約数の「いい女」は目指さず、自分を主人公にしたストーリーで、そこに生じる、甘さも苦さもすべてが人生の醍醐味で、その味を引き立てるお手伝いをしてくれる書だと思いました。

──この本を選んだ理由は?
櫻井 女子的につながるかどうか考えているとすごく難しかったので、ザ・女子というような本を選ぶとともに、女性が著者の本を選ぼうと思っていろんな本を手に取った中でようやく決めたのがこれでした。正直かなり選ぶのが難しかったです。
 女子というのはどこかしらで「みんな自分が主人公」というか、「主役でいたい」と思う気持ちがあるのではと、ふとこのタイトルをみて思いました。「女子的」という言葉を紐解くヒントがあると直感的に感じたのもこの本を選んだ理由です。

 

 

「女子的」の解釈

伊藤 私が選んだ本の中には、オンデザインの仕事の話にリンクすることが書いてありました。

家に帰るまでが遠足(※一部抜粋)

誰もが小中学生のときに、校長先生や担任の先生から、「家に帰るまでが遠足です」と言われたことがあるかもしれない。それに倣えば、「SNSでシェアするまでがイベントです」と言い換えられるだろう。実際に体験したことをオンライン上でもシェアし、そこに他の人からのいいね!などがつけばさらにその体験の価値は高まる。

「シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~」より抜粋

伊藤 言い換えれば、「建築を建てて、地域を動かしていくまでが建築です」というような、その先の関係性をつないでいくところまでの捉え方をしているのもすごく女子的だなと思います。

櫻井 その関係性の話に注目してみると、私が選んだ本書にはSNSのつながりよりももっとフィジカルなつながりを重要視したような一文がありました。

偽物のひとりぼっち(※一部抜粋)

私はいまだに携帯電話もスマートフォンも持った経験がないのである。
人とのコミュニケ−ションは必要な分だけ取れているし、友達だってことさら少ない方ではないと思う。常に人とつながっていなくては駄目という職種でもないしね。

「4 Unique Girls—人生の主役になるための63のルール—」より抜粋

伊藤 関係性をつなぐというのは、ビジュアライズ化されてないつながりも重要で、まちづくりで求められる関係性はまさにそういう実際的な関係性です。
 確か東浩紀の書いた『弱いつながり』(幻冬社文庫)っていう本にもあるような、そういう実際、偶然会うっていう弱いつながりこそが大事ということにもリンクしているように思います。
 何を価値と思って女子が行動しているのか。今よく自分たちが建築をつくる時に「体験価値」や「関係」「つながり」を大事にしていることが、結局「女子の流行」から「シェア」というところにつながっているっていうことが、建築にも落とせる話だと感じながら読んでいました。

ときめきを仲間と共有(※一部抜粋)

ギャルたちが数人で行動していてかわいい対象を見つけ、思わず「かわいい!」ということばを発するときには、そのときめきを仲間と共有しようとする衝動が働いている。彼女らにとって、その「かわいい」ということばこそ最も人と人の心をつなぐものである、ということが体験されている。

「なぜギャルはすぐに「かわいい」というのか」より抜粋

伊藤 この抜粋部分は、みんなの共通言語のようなことでしょうか。

鶴田  そのときめきを、女子やギャルは共有し合いたいから「可愛い(かわいい)」って言葉を発して共有しあうということなのではと思います。

女性と男性(※一部抜粋)

女性は結婚を「新しい関係のはじまり」と考える。
男性は結婚を「性愛関係のひとつの帰結」と考える。

「関係する女 所有する男」より抜粋

西田 必ずしも男性だから所有の原理が働いているとか、女性だからずっと関係性の原理で生きているというわけではなくて、それはある程度コントロールできるものではあり、自然にそう振る舞っています。
 また男性的な会話は理論を積み重ねて構築されているもので、テーマに沿って理論を積み重ねるので実利的な話しかしないのに対し、女性は話している内容というより、話し相手との関係そのものを大事にしているように思います。