Book Log
#01
オンデザイン読書会
テーマ「働き方」
——それぞれ挙げていただいた本の中で、心に残った言葉はありますか?
仕事とプライベートの垣根をなくす(※一部抜粋)
社会で生きるための基礎となる「ベーシックスキル」をしっかり身につけたうえで、実績を生み出すための「専門スキル」をてにすることだ。
それらに、ぼくたちの「独創性=好きで夢中になって続けていたこと」が掛け合わさった結果が、今のぼくたちの生き方を支えている。
働き方と生き方はイコールになるし、どこからが仕事で、どこからが休みかといった明確な区切りもなくなってくる。「趣味を仕事にしよう」とか「好きなことを仕事にしたい」とは違う。そうではなく、「垣根をなくす」という考え方が重要なのだ。
「モバイルボヘミアン—旅するように働き、生きるには—」より抜粋
西田 ON・OFFに関係する話で、自分が仕事以外にも好きで本当に夢中になれること、それが例えば櫻井さんだったら「バレーボール」とか、伊藤さんだったら「映画」とか、自分が好きで突き詰めて仕事とは別でやっていくものがあると、専門スキルが身についたあとに、それを掛け合わせられるときがくる。そして、それが仕事としてできるようになったら、自分の専門スキルも高まるし、自分の好きなことにも変わらず夢中になれる。その自分自身にしかないできないコンテンツみたいなものをいくつか蓄えていくことが必要だと感じました。休みがない中でも、1日に30分は読書するとか、映画を半分まで観るとか、自分が好きなことをする時間をつくって、それを積み重ねていくこと。10年後その専門スキルと掛け合わせて、自分でしかつくれないオリジナルのコンテンツで仕事ができるようになるといいのかなと。
つながりを発見する(※一部抜粋)
人は、「脳が疲れる」とかよく言うけど、あれを池尻さんはどう思いますか。
脳がとまってしまったら、体肢も五臓六胕もぜんぶ動きがストップします。寝ているあいだも脳は動き続けて、夢をつくったり体温を調節したりしています。一生使い続けても、疲れないですね。疲れるとしたら、目なんですよ。
30歳を過ぎると、つながりを発見する能力が非常に伸びるんです。
つまり、前に学習したことを生かせる能力というか・・・・・。
一見関係のないものとものとのあいだに、以前自分が発見したのもに近いつながりを感じる能力は、30歳を超えると飛躍的に伸びるのです。「海馬—脳は疲れない—」より抜粋
伊藤 言い方は違うけど『海馬』にも同じようなことが書いてあって、今みんなそれぞれ別々の本を持ち寄って話し合っているときに共通点を見つけたりすることって、つながりの発見をしていることになると。毎日ちょっとでも映画を観るとか、その「ちょっと」の積み重ねを続けていくとどこかで、〝あがる〟ところにくるから、今、私は経験のひき出しを増やしたいとつねに思っています。
櫻井 自分が気になることに関して、とにかく……
伊藤 視点を増やしていく時期!!
野生の感覚を大事にする(※一部抜粋)
一対一で面と向き合ったとき自分の意見を述べ、他者の意見に耳を傾け、共感しあえる関係を築けるかどうかは、生身の感覚次第であろう。
人間である以上、生き物である以上、本質的に「面白いもの」は、人間の奥底に眠る動物的感覚を必ず揺さぶるはずだ。
一人の人間のもつ感覚を信じたうえで、「この面白さをどうぞ」「この本のたたずまいがもつ良さをどうぞ」とお届けする。
「計画と無計画のあいだ」より抜粋
鶴田 それを聞いて自分でも最近、インプットの仕方が変わったなと思います。先日、パンフェスに行ったときに、そこに来ている人たちの数だけ集まり方があるなと感じたり、ワゴンのデザイン自体も面白いなと感じたり。そこで得た感覚が、いつか自分のプロジェクトに経験として活かされると思ったら、暮らしや働くという中でインプットすることって大事だなって。そのインプットが個性をつくっていく価値なんだと改めて感じました。
副業ではなく「複業」(※一部抜粋)
副業は、単純に小遣いを稼ぐような意味での「副」ではなく、複数の「複」業になっていくだろう。
ぼくの仕事の中には、2つだけどうしても場所の制約を受ける仕事がある。
制約があってもこれら2つの仕事を続ける理由はシンプル。
「どうしてもやりたいから」である。これも、モバイルボヘミアンの仕事哲学だ。「モバイルボヘミアン—旅するように働き、生きるには—」より抜粋
西田 オンデザインの仕事は多様で、僕自身、今日みたいに『BEYOND ARCHITECTURE』の取材もあるし、『新建築』の月評(文章)も書くし、イベントを企画して受付もやって、「なんだろうこれ?」って思うときが結構あるけど、先を考えるとこれって大事だなあと。遅くとも10年後、15年後には自分で仕事をつくって行かなきゃいけなくなるから、そうすると一般的な建築設計事務所として、設計だけをやっていくのか、もっと自分の好きなことに素直になるのか。以前、月評を担当していたときも、文章を書く能力を磨くのではなく、自分の考えを整理する能力を磨くって捉えると能動的に仕事を進められる気がしました。どうしても忙しいと受動的になりがちで、「これで良いのか」「自分はこれが好きなのか」っていう部分をいったん置きざりにして、ただこなすだけに思考が向かうことが結構あって、それってすごくもったいないことなんだなって思うんですよね。
伊藤 この前ウエブマガジン『CINRA.NET』を運営している会社がフリー出社制度(好きな場所で好きな時間に出社して良い制度)を試験導入しているという記事を読んだけど、それって「旅するように働く」ってことに近いのかも。この制度をその会社では「オーナーシップ制」って呼んでいて、これによって自分で仕事を動かしている感覚を持つことできるらしいんです。自分でいつどこでどの仕事をするか、すべて自分で判断する。その環境って大事だなと思いました。
モバイルスピリット
だれもが「モバイルスピリット」、すなわち「精神的な独立性」を持って生きていくことがマストになる。
たとえ会社員であってもフリーランスのような覚悟を持って仕事をすること、独力で生きるために必要な、どこでも通用するスキルを身につけようと意識しながら働くことが重要になってくるのだ。
「モバイルボヘミアン—旅するように働き、生きるには—」より抜粋
西田 例えば僕ら若手はまだなにも分からないけど、「自分で仕事をまわしていくためのスキルを磨く」くらいに思って仕事をするのもありかなって思う。この著者(『モバイルボヘミアン』)のふたりは、いわゆるノマドワーカーの先駆者で、当初ノマドって言葉は、今使われているような「オフィスとは別の場所で仕事をする」という意味ではなく、ふたりが言う「モバイルボヘミアン」としての意味合いに近かったと思います。ノマドって「遊牧民」って意味だから、移動しながら暮らす人たちのこと。本来そういう人たちを指していたけど、気づいたら別の意味になっていたんだよね。