ゲンバカンズ
#02
はじめてのゲンバ
はじめての下関
下関での新たなゲンバの日々を綴った、ゲンバカンズの奮闘記。「何かやりたい!」という思いから始まったシェアオフィス<スタートアップ拠点>プロジェクトがついに動き出します。今回は、いよいよゲンバカンズの下関での活動がスタート。新たな土地では、どんな日々が待ち受けているのでしょう。前回の佐野に続きメンバーの私、濱本がオンデザインという枠を飛び越え、ゲンバカンズとして試行錯誤した日々を振り返ります――。
(※前回の記事についての詳細は、こちらから)
ついにはじまった下関のゲンバ!!!
前回の記事、「動き始めた4人の同期たち」で、全国実施コンペにて最優秀賞をいただき
ついに4人の下関の現場が始まります。
最優秀賞を受賞して、ホッとするのも束の間、お施主様である株式会社リージョナルマネージメントの北尾洋二さんとの打ち合わせがすぐにやってきました。
北尾さんとヒアリングを重ねれば重ねるほど、お引き渡しまでの時間の無さ、やりたいことと予算の兼ね合い、百貨店の若者離れなど次々と浮き彫りになっていき、問題は山積みに……。
そこで、「現地に行って自分たちの目で確かめないことには始まらない!」「下関のことをもっと知らないと!」と思い、すぐに動けそうなメンバーを募ったところ、千代田さん、佐野くんが手を挙げてくれました。
同じメンバーの中村さんはオンデザインの仕事とブッキング。
残念ながら今回は3人で下関へ……。
当初は現地調査が目的で下関を訪れましたが、着いて早々に北尾さんが観光も兼ねて、下関の街を案内してくださいました。
北尾さんには、街のことはもちろん地域文化や食文化、そして現在、下関が抱えている問題などを丁寧に解説していただき、下関のキーマンと呼ばれる人たちもご紹介いただきました。
地元で長く親しまれている 「割烹旅館 寿美礼」の和田健資さんからは下関の文化と下関の人達の郷土愛と人柄の話。
下関市役所の林祐史さん、古賀裕二さんからは下関をどうおもしろがれる街にできるかという実験で苦戦している話。
大学生でありながら北尾さんの会社のサポートをしている山下雄司くんからは、面白いことをやりたい大学生はたくさんいるが、どうしたらいいの分からないという話。
などなど……。
北尾さんのおかげで、ここでは語り尽くせないほどたくさんの人々と出会い、下関が抱える問題点、そして北尾さんが今、何に気なっているかが見えてきました。
そんな濃密な現地調査を終えた頃には、僕たちは立派な下関の地域の一員になれたような気になりました。
ワクワクとは裏腹に…
その日、宿に戻った僕たちは、さっそく今の下関の現状や地域性をもとに、「どうすれば地元の人たちに愛されるスタートアップ拠点になれるだろうか」を考え直しました。
「街の人たちと一緒にDIYやったら楽しいんじゃないか?」
「この人にも関わってもらおう」
「外に什器を持ち出せば、街の人たちが興味をもってくれるんじゃないか?」など……、
4人それぞれがオンデザインで得た知識を最大限生かして検討を続けました。
ただ、アイディアが出れば出るほど、予算や納期については不安が募るばかりで……。
オンデザインではさまざまな経験を積んできた同期4人なのですが、今回はそれぞれがいつもとは違った「緊張感」を感じていました。
それは「オンデザインに頼らずに自分たちの力でやってみたい!」という興味とは裏腹に、企業に対して責任をとらなければならない立場という怖さのようなものであり、友達や親戚からいただいた仕事ではない、コンペという他社と比較して選んでいただいたことへのプレッシャーのようなものなのかもしれません。
そして今回あらためて自覚したことは、僕たちの気持ちの中につねにオンデザインという組織に所属している「安心感」があったということでした。
いよいよ現場確認にDAIMARUへ
「どうなるのだろう!?」という不安感とワクワク感を胸にDAIMARUの施工担当の岩倉正吾さんに現地を案内していただきました。
現場は百貨店の一角にあるため綺麗に保存されており、状態も悪くはありませんでした。
僕自身、地方出身者ということもあり、日頃から地方と都心とのデザインへの理解度の差は痛いほど感じていました。
なので今回も「はたして僕たちのような若い設計者の意見を受け入れてくれるだろうか」「地方と都心でデザインに対しての考え方が違うのではないか」……、そんな心配事をひとり抱え、不安だらけでDAIMARUの現場にやってきました。
でも、そんな僕たちの前で「ゲンバカンズの案を再現できるよう、こちらでできることは最大限サポートします」と岩倉さんは言ってくださいました。新しいことに挑戦しようとする僕たちの背中を、そのような言葉で押してくれることに、とても感動したのを覚えています。岩倉さんをはじめ、DAIMARUのみなさんはとても心優しい方々ばかりでした。
このプロジェクトは、僕たちゲンバカンズだけではない、北尾さん、岩倉さん、そしてプロジェクトに関わるすべての人たちによるひとつのチームなんだということを実感し、安堵しました。
(正直、自分の地元もこれくらいデザインに寛容な人がいるといいなぁと、すこし羨ましくもありました……)
ついに工事に向けて…!!
工事開始までのスケジュールが徐々にタイトになってきたある日。
より下関の建築事情を知るために、建築家であり、ゲストハウスのオーナーでもある沖野充和さんが営む「UZU HOUSE」に泊まらせていただくことに。
沖野さんには下関の工務店や建材事情を教えていただきました。また、UZU HOUSEのスタッフ の酒井麻帆さんにはいつも気にかけけていただき、ときにはゲストハウスのレンタル自転車をサービスで貸していただいたり……、プロジェクトメンバー以外の人たちがこんなに、僕たちに興味をもってくれたことにとても驚きました。同時に下関の人たちの温かみを感じることができました。
現地視察を終え、横浜の事務所に戻ってきた僕たちは、さっそく模型を作り直し、打ち合わせを重ねました。そして後日、工務店からあがってきた見積もりと予算額を交互ににらめっこする、そんな日々。
今回の予算でどこまでプランを再現できるか、北尾さんはもちろん、DAIMARUの協力も得られるよう岩倉さんとも打ち合わせを重ねました。
作業は、すべてオンデザインの通常業務終了後に行うので、予算の折り合いがつき、ついに工事開始が決定という時には、すでにみんなヘトヘト状態……。
それでも、ゲンバは止まりません。
もうひと頑張りだぞ!っと、心の中でメンバーたちに声を掛ける僕でした。
>>「JOIN083オフィシャルサイト」は、こちら。
次回のゲンバカンズは、「下関の人たちとのゲンバの日々」編です。お楽しみに!
ゲンバカンズ
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> genbakans@gmail.com
profile |
濱本真之 masashi hamamoto1992年兵庫県生まれ。2018年近畿大学大学院 工学部卒業後、同年オンデザイン。2020年ROOVICEに出向。家具から住宅スケールまで、暮らしに身近な建築を手がける。DIYや現場での設計による「まちに現場を開く」に取り組む。主な作品:「ヘイトアシュベリー」「みやがわエンゼルパーラー」が挙げられる。「BEYOND ARCHITECTURE」編集スタッフとしても活動中。ゲンバカンズのリーダー。 |
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佐野敦彦(さのあつひこ)
1993年新潟県生まれ。2018年法政大学大学院修了。同年オンデザイン入社。
中村遥(なかむらはるか)
1993年神奈川県生まれ。2018年東京理科大学大学院修了。同年オンデザイン入社。
千代田彩華(ちよだあやか)
1995年大阪府生まれ。2018年神奈川大学卒業。同年オンデザイン入社。