update

Work Log
#06
三田 修平
(移動式本屋 BOOK TRUCK店主)

text:koichi yoshikawa & akiko nishioeda (ondesign) photo:yuji tanno

 

オンデザインで働くスタッフのオンとオフに密着取材してきた連載シリーズが今回からは内容を一新! オフィスを飛び出し、今、もっとも気になるワークスタイルを実践している方々を訪ね、これまでにない働き方や新しい職業の可能性を探っていきます。

 

🚚***

 リニューアル1回目の訪問先は「BOOK TRUCK」店主の三田修平さん。
 「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」や「Shibuya Publishing & Booksellers」など、時代の最先端をゆく本屋で経験を積み、2012年に独立。現在は移動式本屋を営む日々。最近は、オンデザインが設計した「フタマタ・リバー・ライブラリー」に置かれる本のセレクトや、本をテーマにしたトークイベント「ザ・3ブックス」でのMCなど、活躍の場を広げつつある。
ちなみに、「ザ・3ブックス」は、昨年9月よりスタートしたイベントで、月1のペースで全5回開催。毎回ゲストを招き、「人生を変えた本」を紹介してもらいながら、働き方や生き方を深掘りしていく内容だった。
 三田さんには、ゲストが紹介した本の解説や、その本と相性のいい本を選んでもらうなど、聞いている僕らもどんどん本の魅力に引き込まれ、気付けばその場で紹介された本をググってポチることもしばしば。(あっ、もちろん本屋で買うこともしばしば……)
 三田さんの話を聞いていたら、きっとこの人の働き方自体、面白いはず! そう考えて今回オファーしてみると、三田さんは快く取材に応じてくれたのだった。


現在 |work style

 BOOK TRUCKの業務形態は移動式本屋。つまり、クルマに乗って、出向いた先々で本を売る、それ自体は容易に想像できる。でも実際、その売り場になかなか遭遇できないのも事実。だから、そこに行くには、まずはBOOK TRUCKの居場所を、ネット(twitterfacebookなど)で調べなければならない。

 「めちゃめちゃ非効率です」、そう言って三田さんは苦笑いを浮かべた。それでも「せっかくリアル店舗をやるのなら、買い物をしている時間自体を楽しいものにしたい」という、BOOK TRUCKの理念を熱く語ってくれた。すべてDIYでつくられたという本屋の車体は、その重量に耐えるために年に1回の車検が必須なのだという。それでも最初の1台目は故障してしまい、写真は2台目。
 聞けば聞くほど、手間もお金もかかる働き方だ。ますます、三田さんがどんな気持ちで毎日を送っているのが気になってきた!

 三田さんの仕事場に密着! 

 講演やブックセレクトのお仕事など、日によってスケジュールはまちまちだけど、一例として、イベント出店の1日の動きを教えてもらった。

    8:30 イベント用にセレクトした本を車に積み込み、出発

    9:30 会場入り、準備/陳列

    11:00 イベントスタート

    ↓
    ↓

    17:00 イベント終了

    18:00 出庫

    19:00 帰宅

 「本の準備(仕入れ)」から「並べる(陳列)」までが本屋としての仕事の流れ。つまり、お店自体はオープンしてしまえば、わりと自由。
 ご自身、お客さんの立場で書店にいる際、スタッフの方に声を掛けられるのが得意ではないという。なので、三田さんは自分からも決して道ゆく人に声をかけたりしない。ひたすら興味を持ってくれるお客さんをじっと待つのだという。
 取材当日は、東京・青山で開催されたワイン生産者とインポーターによる試飲イベントの日だった。店先には来場者の好みやこの日の主催内容に合わせた選書&配置がされていた。

 選書の内容は、この日のイベントを引き立てるため、ワインを題材にした本が中心。もちろんお客さんの多くはワイン目当てだが、BOOK TRUCKが出店していたことで、その場の雰囲気はより一層華やかな印象になるから不思議だ。

 真冬のイベントでも三田さんはつねに外に出っぱなし。防寒対策を万全にして、いつもと変わらずお客さんをじっと待つのだった。

 そして、ふらっと立ち寄ったお客さんが心ゆくまで本選びを楽しめるよう、三田さんはひっそりと見守っている。

 ちなみに三田さんの座っている机の下は、クルマから電源を引き、コタツ仕様になっている。冬でも、露店販売スタイルを続けられる理由には、そんな工夫が隠されていた。