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Workshop Report
•夏休み企画•
秘密基地を
つくろう!

text:utako hiraga photo:utako hiraga, ondesign

 

思いおもいの場所に飾る

子どもたちの秘密基地が完成に近づいてくると、中村さんは教室の後ろの棚の上に、サンプルでつくった家の模型を置いていた。子どもたちが、置く場所をイメージしやすいようにという配慮だ。

ほどなく、子どもたちは、それぞれに気に入った場所に秘密基地を配置していく。

本を高く積んだり、大胆に移動させたりして、場所をつくっていく子どもたち。「絵本が斜めになって、囲まれているのがよかった」と場所を決めた子どもは、何度も自分の席にある作品と棚の間を行き来しながら調整をしていた。

その一方で、迷わずに場所を決めて、こっそりと秘密基地を置いていく子どもも。

 
それぞれの物語がある

子どもたちに、できあがった秘密基地について説明してもらうと、それぞれの物語を話してくれた。

「流れ星を見るための家。家の屋根には星があって、階段に座って星を見ている。家の前には話しながら流れ星を見ている人がいるの」

「海の家にしたかった。家は水色にして、植物もたくさんあって、外で食事ができるようにした」

「本を読む家にした。家の屋根の上に、本が置いてある。庭には、ブランコや川にかかる橋があって、ゆっくりと本を読めるように椅子も置いた」

「秘密基地だから、植物で見えないように家を隠して、壁にもいろいろな物を付けた。そうそう、外で料理ができるんだ」

子どもたちの秘密基地で、棚は個性的で雰囲気のある空間になっていった。それぞれの空間の捉え方も面白い。

 

 

「つくりたい!」という
気持ちを形にする楽しさ

ワークショップが終わってから、オンデザインの鶴田さんと中村さんに、お話をうかがった。

左より、渡邉さん、鶴田さん、中村さん

鶴田さんも中村さんも「どのようにしたら子どもたちに楽しんでもらえるのかを、よく考えた」という。
「オンデザインがワークショップをするなら、建物の模型づくりを通して、こんな家をつくりたいという気持ちを形にする楽しさを味わってほしいと考えました」と鶴田さん。そして「今年は、一人ひとりが自分でつくることを楽しめるように〈秘密基地をつくる〉という約束だけをしたことで、子どもたちの個性豊かな作品になったと思います。工作途中で、子どもたちが自分でつくりたいものを伝えてくれたこともうれしかったです」と振り返った。

「最後に棚に自分の作品を置いていったのは、実際にやってみると建設予定地を決めていく過程に似ているように感じられました。子どもたちが楽しみながら場所を選んでいて、自分の空間をつくり上げていたのが素敵でした」と中村さん。

「建築は、クライアントの希望を丁寧にお聞きしながらも、『こうしたらもっと素敵な空間になるのではないか』と担当者が考えて提案します。テーマに添いつつも、自分がよいと思う空間をつくり上げていくのは、建築の仕事の中でもやりがいのある部分です。ワークショップを通して、子どもたちにその楽しさを味わってもらえたのなら、とてもうれしいです」というふたりの言葉からは、企画者の思いがあふれていた。(了)

 

 


DATA
「サマーチャレンジ2019」
場所:大田区立矢口西小学校
期間:7月23日〜27日
イベント企画・運営:スクールサポート矢口西、PTA
スクールサポート矢口西のブログにも、「模型づくりワークショップ」の模様がアップされています。

「模型づくりワークショップ」
プロデュース:オンデザイン

ワークショップ終了時には、参加した子どもたちが、一言コメントを書き、そのまましおりにして担当者に渡される。「子どもたちのコメントにクスっと笑ったり、感動させられたり、今年も癒されました」(鶴田さん、中村さん)。