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Workshop Report
•夏休み企画•
秘密基地を
つくろう!

text:utako hiraga photo:utako hiraga, ondesign

 

これまでオンデザインが不定期に開催してきた「模型づくりワークショップ」もついに10回目を迎えます。今回は、昨年に引き続き、夏休み中の小学校が舞台。はたして子どもたちの反応は? そして、どんな顛末になったのか? 当日の模様を密着取材でお届けします。

 

@大田区立矢口西小学校(東京)
 
大人気!  夏休みの小学生向け
秘密基地づくりワークショップ

夏休みになると、小学校では子どもたちが通常授業とは違う体験ができるようにと、たくさんのワークショップが開催されている。

大田区立矢口西小学校では「スクールサポート矢口西」のコーディネーターでもある保護者たちが、今年は33ものワークショップを企画した。

サッカーやバレエなどのスポーツ教室や、しおりやアクセサリーなどをつくるワークショップ、また全日本空輸株式会社(ANA)による職業体験や印刷所による活版印刷体験など地域の企業との企画も毎年人気だという。

 
予定の定員数を超えて満席に

オンデザインは昨年に続いて、2回目の参加となった。今年のテーマは「秘密基地づくり」。

今年は、昨年よりも定員数を増やし参加者を募ったものの、あっという間に定員に達し、22名の子どもたちが参加するという盛況ぶりだ。

「たくさんの子どもたちが参加してくれて、本当にうれしいです。昨年は定員の関係で参加できなかった子どもが、今年はどうしても参加したい! と申し込んでくれました」と話すのは、ワークショップのトータルディレクションを担当したオンデザインの鶴田 爽さんと中村 遥さん。今回はオンデザインに入社したての渡邉莉奈さんもサポート役に加えて、計3名で進めることに。

「今年はワークショップの構成を変更しました。昨年は1時間のワークショップを2回開催しましたが、しっかりとつくる時間を確保したいという子どもたちの声があり、2時間のワークショップを1回行うことにしたんです」という鶴田さん。子どもたちが寄せる期待の高さや、ワークショップの人気を物語っている。

 

教室という日常と、
夏休みのワークショップという特別感

ワークショップ当日の準備は、開催の1時間前からはじまった。6つずつ机を合わせてグループをつくり、各机の上には子どもたちが使う道具が並べられる。教室の前方には、色画用紙やビーズ、植物やミニチュア家具などの素材がいっぱいに並べられた。

開始15分前になると、子どもたちが集まりはじめた。「こんにちは!」と教室に入ってくると、出欠を確認してから、それぞれに好きな席に座る。

席に着いた子どもたちは友だちを見つけると、「なんだか久しぶりな気がする!」「今日は、何時に家出てきた?」などと話していた。ワークショップが行われた7月23日の数日前から夏休みに入っていたが、子どもたちはいつもの学校という場所でリラックスしながらも、夏休みらしい特別感を感じているようだった。

 

参加した理由はさまざま

全学年を対象にしたワークショプのため、子どもたち全員が知り合いというわけではない。顔見知りの友だちと話している子もいれば、静かに待っている子もいた。

子どもたちに参加した理由を聞くと、「おもしろそうだと思ったから」「お母さんに勧められたから」「去年も参加して楽しかったから」など、理由はさまざまだった。

 

ワークショップがはじまる

教室に参加者の子どもたち全員が揃うと、「みなさん、こんにちは」と鶴田さんが話しかけた。視線が鶴田さんに集まるなか、「今日は、自分だけの秘密基地をつくりたいと思います」と説明をはじめた。そして……

1)机の上の道具を使って、家の模型をつくること

2)教室の前方に並べられている各種素材は、自由に使ってよいこと

3)つくった秘密基地は、教室の後方の棚に飾って完成させること

この3つが短く確認された。

鶴田さんは、「わからないことがあったら、先生に聞いてくださいね」と子どもに伝えたが、「先生」と自分のことを呼ぶのは少し照れくさそうだった。

左より、中村さん、鶴田さん、渡邊さん。

 
模型は学年ごとに特徴がある?

「それでは、はじめましょう」という鶴田さんの言葉を待っていたかのように、子どもたちは一斉につくりはじめた。よく見ると、その取り組み方もさまざまだ。

低学年の子どもたちは、保護者と一緒に参加し、「何をつくる?」と相談しながら。
机の上の木材や材料を手にとって組み合わせてみるのは、中学年の子どもたちに多いようだ。まずは形にしようという意欲が感じられる。

説明書を確認するのは、高学年の子どもたち。全体をざっと読んでから手順にそって組み立てはじめる。

中村さんは「つくり方も、できあがる作品も、それぞれに個性が出ていてよかったと思う」と振り返った。

 
子どもたちのペースに合わせて、
一緒につくる

子どもたちは「先生、この板って、どんな形に貼ってもいいのですか?」「どうやって組み立てるのですか?」「色を塗ってもいいですか?」などと、次々に質問する。オンデザインスタッフの3人は、それぞれの質問に笑顔で丁寧に応えていた。

なかには「どうしようかなぁ」と考え込む子どももいるが、あせらずに様子を見ながら子どものペースに合わせて寄り添っていた。

 
カラフルに、それぞれの形に

塗る色や組み立てる形には、子どもたちの感性が発揮される。

迷いなく大きな星模様を描きはじめた子は、「なんかこの模様がいいと思って」と話してくれた。

色を選んで塗ったあとに、集中して細かな作業を続けている子どももいる。

色を塗る前にしっかり組み立てようとしていた子どもは、2階建の家をつくっていた。カッターやピンセットを使いながら、思い描く形に近づけようと真剣だ。

 

家を飾りつける
素材選びも楽しい

「ビーズかわいい!」「机とか椅子もあるんだね」などと話しながら、子どもたちは素材が置かれる机の前で夢中になって選んでいた。

素材の種類も数も多く、豊富に揃えられている。「ふだん仕事で使用している模型用の素材と同じものを持ってきました。子どもたちがつくりたい秘密基地を、形にできればと思って」と鶴田さんは説明してくれた。

子どもたちは「丸い窓がたくさんある家にするの」「星のビーズをつけようかな」などと、友だちと話しながら進めていた。

 
豊かな感性で
形になってくる

組み立てられた家に、椅子や机や植物などが配置されると、子どもたちのつくりたい形が具体的に見えてきた。

「海の家にしたい!」と、水色に塗った板を丁寧に組み立てている子どももいれば……

こちらでは、くつろげるテラスや屋上など、遊び心のある家をつくっているようだ。