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Book Log
#02
オンデザイン読書会
テーマ「居場所」

text:aya sakurai  photo:ondesign

オンデザインの若手4人組が、毎回お題に沿って本を選び、それを俎上にのせ、多角的に議論する読書会企画!
第2回目のテーマは「居場所」。オンデザインでも使用頻度が高いキーワードをがっつりと議論します。まずは、それぞれセレクトした本の紹介から!

📚

【読書会参加メンバー】 
鶴田 爽/伊藤彩良/西田幸平/櫻井 彩
@BAYS(横浜・関内)

 

 

左から、伊藤さん、西田さん、鶴田さん、櫻井さん

 


📖 伊藤さんが選んだ本

『スナック研究序説—日本の夜の公共圏—』
谷口功一・スナック研究会(白水社刊)

(内容紹介)
 夜の巷にネオンの灯をともす「スナック」についての研究書である。スナックでは不思議と話がはずむ。酒を出す店ならほかにもある。やはり他に代えがたい魅力があるのだ。その数や全国で10万軒に及ぶというスナックについて10人の学者が「やわらかい公共圏」として研究し本書が生まれた。どんなひなびた町にもあるのに、ジャンル細分化の進むグルメ本にも無視されたままのスナックは、人と人とがゆるくつながる場なのではないか。地域共同体の最後の砦であるスナックに地方創生のヒントも隠れているのかもしれない。

──この本を選んだ理由は?
伊藤 「居場所と感じる場所」と聞いて単純に思いついたのが家や学校、職場でした。家には家族がいて、学校には友達がいて、職場には同僚がいる。居場所と感じた理由は話し相手がいたからでは……? そう思った時に、じゃあ街の中で話し相手がいる場所ってどこだろう、そう考えて到達したのが、ママのいるスナックでした。私自身スナックという業態を詳しくは知らなかったけれども、どんな田舎の街でも看板だけは見たことがありました。チェーン店が増えていく中でスナックは残り続け、聞くところによるとコンビニよりも多いとか。それからスナックについてもっと知りたくなって、この本に出会いました。

 


📖 鶴田さんが選んだ本

『日本の居酒屋文化—赤提灯の魅力を探る—』
マイク・モラスキー著(光文社刊)

(内容紹介)
 日本の居酒屋のもつ文化を、食事や価格だけではなく五感をもって満喫する交流の場所として、街・店舗の内外・人間という多様な文脈から読み解かれている。地元に根付き、常連さんに愛される場所として存在する日本の居酒屋が、私たちに何を提供しているのか、日本各地の居酒屋紹介・著者のエピソードとともに、本当の魅力を突き止めていく内容。

──この本を選んだ理由は?
鶴田 京都に住んでいた時に、ふらっと立ち寄る商店で感じた居心地の良さ、居座っていたくなる空気感が、街の居場所のひとつとして生まれていると感じていました。その居場所の生まれ方をもう少し言語化できたらいいなと思い、日本がもつ文化として居酒屋がつくり出す魅力を様々な視点から読み解いているこの本を選びました。

 


📖 櫻井さんが選んだ本

『日々が大切』
大橋歩(集英社刊)

(内容紹介)
 ルームシューズや手さげ袋への愛着、身近な不用品の形をいかしてクマの人形作り、草笛など懐かしい遊び……、日常の中で著者が大切にしている生活雑貨や和の楽しみについて、イラストと素敵な言葉で綴る。相手の好みがわからず悩むことの多い、お祝いの品や手土産など、贈り物アイディアも満載。家事も仕事も、犬の散歩にも、日々のすべてにひと工夫と愛を惜しまない暮らしぶりが伝わるエッセイ。

──この本を選んだ理由は?
櫻井 小さく些細なことから居場所という言葉を考えてみようと思いました。何気ない日常生活の中で服や物は自分に一番身近で、着ていることが当たり前、持っているのが当たり前。その自分が選んで着たり、持ったりしていること自体がそもそも自分の居場所になっているのではと感じています。自分の身近なところから、居場所っていう言葉を紐解けたらと思ったのがこの本を選んだきっかけです。

 


📖 西田さんが選んだ本

『人間の居る場所』
 三浦展(而立書房刊)

(内容紹介)
 三浦展氏と都市研究家、建築家、映画監督など様々なプロフェッショナルとの対談を通して、近代都市計画によってつくられた空間の中に、いかにして人間の居る場所を獲得していくのかということについて多角的なアプローチを見せてくれる本。都市計画によって作られた空間から、いかにはみ出していくのか、その先にある自由な生活について様々な実例をもとに具体化していく。

──この本を選んだ理由は?
西田 「居場所」という言葉が持つ意味の多様さ、あいまいさを自分の中でもう少し具体的に捉えるために、居場所について語られることが多い都市計画に関する本を読むことで、居場所に紐づくキーワードを拾い上げることから始めようと考えました。その中でも、ひとりの著者が執筆した本ではなく、様々な業種の方との対談形式をとることで、より多角的に居場所について語られている本書を選びました。