Workshop Report
夏休み企画
小学生がつくる
夢の教室とは?
不定期で開催しているオンデザインの「模型づくりワークショップ」。8回目を数える今回は、とある小学校の教室が舞台。
さっそく当日の模様を取材してきました。
@大田区立矢口西小学校
参加希望者が殺到!?
東京・大田区立矢口西小学校では、毎年、夏休みになると恒例のワークショップイベント「サマーチャレンジ」を開催している。
今年の開催期間は7月25日〜28 日までの4日間。本イベントの企画と運営を手掛けるのは、「スクールサポート矢口西」と呼ばれるお母さんたち。春先から地元を中心に企業やショップ、NPOなどに積極的に参加を呼びかけ、「印刷のいろは教室」、「ANAグループ 航空教室」「アフリカの太鼓を叩こう」など、今年は例年以上のバラエティに富んだラインナップが実現した。
初参加となるオンデザインの「模型づくりワークショップ」は、イベント最終日の13時と14時の2回にわたって行われた。
「模型づくりワークショップ」のトータルディレクションをつとめるのは、オンデザインの鶴田 爽さん。また同じくオンデザインの中村 遥さんとインターンの山元隆志さんもサポートメンバーとして加わった。
じつは今回のワークショップは当初、各回10名の定員枠で募集していた。しかし、応募総数が予想以上に多かったため、急遽定員枠を15名に。オンデザインのスタッフも増員して対応することになった。
サマーチャレンジを運営するスクールサポートのお母さんのひとりは「『模型づくりワークショップ』は募集をかけてからの反響がかなりありました。きっと子どもたちも興味津々だと思います」と話してくれた。
楽しみながら準備万端!
開始まであと1時間。
静まりかえった教室内では、スクールサポートとオンデザインのスタッフが一緒になって、机の配置を変えたりしながら、着々と準備を進めていた。
今回は、3つの班に分かれて、それぞれ鶴田さん、中村さん、山元さんが、子どもたちのアドバイザーとして、模型づくりをアシスト。
「小学校でのワークショップは、私たちにとっても初めての試みなので、ちょっとテンションが上がりますね」と鶴田さんも終始楽しそうだ。
開始時刻、5分前。
「模型づくりの教室は、ここだー!」
廊下の向こうから男子生徒の元気な声が聞こえてくる、すると勢いよく教室の扉が開いた。さっきまでの静寂な場は、一気に賑やかになり、1年生から6年生までの参加者15名が続々と教室に集まってきた。男女の割合はちょうど半々くらいといった印象だ。
模型づくり、ついにスタート!
時刻は13時ちょうど。
いよいよ1回目のワークショップがスタート。
でも、その前に、鶴田さんからひとこと挨拶が。
「私たちはふだん、家やビルなどを設計する仕事をしています。今日は教室の模型を用意したので、みんなには、ここに置く机と椅子をつくってもらおうと思います!」
子どもたちは鶴田さんの話に耳を傾けながらも、すでに心ここにあらず。ソワソワしながら、模型づくりを待ちきれない様子だ。
「はい、では、はじめてください!」
鶴田さんの掛け声が教室に響きわたると、子どもたちは後方に置かれたペン、布切れ、色紙などのパーツ類を、興味津々、物色しはじめた。
「先生、ここに色を塗っても大丈夫ですか?」
「これは貼ってもいいですか?」
「先生、最初にここを切ったほうがいい?」
「先生」と呼ばれながら質問攻めに合う鶴田さん、中村さん、山元さん。子どもたちの屈託のない発言に、ときに真摯に、ときに笑いながら答える3人だった。
十人十色のクオリティ
肝心の模型のほうにも注目しよう。
この日のためにオンデザインが作成した専用の冊子には事細かに模型のつくり方が解説されている。そのマニュアルを参考に定規できちんと寸法を測りながら、黙々と作業をする子もいれば、独自の世界観へと邁進する子もいて、当たり前のことだが、つくり出すカタチや色は十人十色。
そうこうしているうちに1時間が過ぎ、ほどなくして鶴田さんから「みなさんそろそろ終了の時間ですよ〜!」というアナウンスが。すると焦ったように仕上げに取り掛かる子どもたち。「え〜、もう終わりなの⁉︎」と残念がる声が方々から聞こえてきた。
「夢の教室」ついに完成!
出来上がった椅子や机は、あらかじめオンデザインが用意した教室の模型の中に、子どもたち自身の手で置かれた。あらためて俯瞰してみると、生き生きとした個性的な作品ばかりだ。
まさに今日だけの「夢の教室」が完成! 子どもたちは、この日いちばんの笑顔を浮かべていた。
「もっとたくさんつくりたかった」
「時間が足りなかった」
そんな声は、2回目のワークショップでも多く聞かれた。
「模型づくりから、すこしでも建築に興味をもってくれたら、うれしいです」という鶴田さん。
もしかすると近い将来、「あの夏休みのワークショップがきっかけで、この仕事を……」なんて話す、若き建築家が現れるかも!?
つくった模型を大切に持ち帰る子どもたちの後ろ姿を見ながら、そんな未来がふと頭をよぎるのだった。(了)