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あなたも建築模型、
つくってみませんか?

text:satoshi miyashita photo:ondesign 

 

すでに4回目を数えるオンデザイン主催の「模型づくりランチ」。
ゲリラガーデニング、多肉植物など、毎回、趣向を凝らしたアイディアで、
子供から大人まで楽しめるワークショプが好評だ。
今回はそのイベントの企画運営を手掛ける、オンデザインの若き新鋭に、
「模型づくりランチ」の先にある、本当に伝えたい思いを語ってもらった。

 

「模型づくりランチ」で、私たちが伝えたいこと。

 

——これまで計4回、模型づくりランチをやってきた感想を教えてください。

鶴田 一緒にやっている塩脇とは、「単に模型のつくり方を教えるワークショップというより、『自分が作りたいものをどうカタチにするか』というワークショップにしていきたい」と話しています。今回から事前に渡したシートにイメージを描いてもらうようにしたのもそんな理由からです。私たちは、それを見ながら「ここに窓をつくりたいなら、こういう素材がありますよ」とフォローできるようなスタンスです。

塩脇 いま鶴田が言ったように、イベントとしてなら楽しんでもらってオシマイでいいけど、僕らはイベント屋さんではないので(笑)。そういう意味では、僕らと参加者とのコラボのようなワークショップになれたらうれしいです。毎回、参加者のみなさんがつくった模型を見て、僕らもいろいろ新しい発見をさせてもらっています。

オンデザインの鶴田さん(右)と塩脇さん(左)。

——毎回、ユニークなテーマが立ってますよね。

鶴田 昨年11月に「関内外OPEN8」で行った「模型づくりランチ」は、「ゲリラガーデニング」(街中に緑を植えるイギリス発祥の市民活動)とのコラボだったんですが、それをきっかけに、デスクガーデンの吉田健二さんという方と出会い、3回目の「多肉植物」でコラボすることになったんです。

第2回模型づくりランチは、屋外で行われた。

第3回目模型づくりランチで、多肉植物について解説するデスクガーデンの吉田さん。

塩脇 ふだんの建築模型ではドライフラワーくらいしか使わないのに、まさか生きている多肉植物を使うなんて(笑)。模型のサイズは変わらず、植物だけ育っていくのもちょっと面白いかもと思ったんですよね。これからも、いろんなジャンルの方々とコラボしながら、毎回テーマを変えていきたいと思っています。
 今回は玄関まわりだったので、次はリビングや寝室とか、そんな感じで最終的には「ひとつの家」が完成するようなワークショップにしていければと思います。

——そもそも、なぜ「模型づくりランチ」という企画が生まれたのですか。

鶴田 私が昨年から「泰生ポーチ」の運営を任されるようになって、一階のイベントスペースで何かイベントをしたいと考えていました。いろいろ候補を上げた中で、これだと思ったのが「模型づくり」だったんですね。
 というのもオンデザインでは、プレゼン前になると、いつも助っ人として模型制作を手伝ってくれるバイトさんに来てもらいます。残念なのは、完成した模型を毎回見届ける前にバイトが終了してしちゃうんですね。なので当初はバイトさんたちに、もっとオンデザインを知ってもらえるような交流の場にするつもりで考えていました。
 でも代表の西田は「それなら模型づくりを、一般の方も含めてみんなやったらどうかな」という話しになったわけです。培ってきた素材の使い方とか、オンデザインがもっている「模型へのこだわり」は他の建築事務所にはスキルです。それを隠すのではなく、もっとみんなにシェアしてもらおうというのが西田の提案でした。
 「泰生ポーチ」がある関内でやれば、建築学生だけじゃなくて、もっと様々な方々が来てくれて、そこから模型づくりの交流も生まれるはずだと。

——西田さんの助言が後押しになったんですね。

西田 鶴田さんの話に加えると、確かに最初のきっかけは「泰生ポーチ」の1階スペースをどうよくしていこうかってことでした。ただ、僕としてはプレゼン前の模型制作というたいへんな時期に、バイトしてくれる学生が、このワークショップから見つかればいいという企みも、じつはあったんですけどね(笑)。

塩脇 だけど、やってみると意外に学生が来ないってことも分かりました(笑)。参加者は、けっこう働いている女性の方が多いんです。僕は2回目の「ゲリラガーデング」の回から運営を担当してますが、そのときも、ご夫婦の集中力がすごくて印象的でした。「この色のペンはないんですか」とか、つくることへのこだわりが垣間見えて。そういう意味では、参加者の年齢層などもしっかりリサーチして、「もっとイベントのやり方を考えたいよね」と、鶴田とはよく話しています。
 例えば、つくった模型を持って帰った時に、多少スキルが身に付いていれば、あとでリメイクしてもらえるのかもしれません。ただつくって、パッケージして、そこで終わっちゃうよりも、その先があればもっと楽しいはず。模型づくりは、何もない状態からつくりあげるので、つくった側にも「愛でる感」が芽生えると思うんです。そこは家づくりと一緒です。

鶴田 やはり前提として、モノづくりが好きな方々が集まるというのが印象ですね。

塩脇 前回の多肉植物では、システムエンジニアをされている方がいました。もともと手先が器用だったけど、今回、久しぶりに土を触ったり、カッターを握っりして、とても楽しかったという感想を語ってくれました。そう考えてみると、大人が楽しめるワークショップになっているのかなって思います。

 

家づくりのきっかけをつくっていきたい。

——模型のクオリティはいかがですか。

塩脇 シチュエーションで完成度の違いも多少ありますが、クオリティは毎回高いと思います。あまり手取り足取り教えないほうが、みなさん自分でつくっているという意識が強くなります。以前、保育園の先生をやられている女性が参加されていたんですが、彼女はワークショップが終了した後も、居残ってしばらくつくってました。そのこだわりたるやもはや建築家も顔負けです(笑)。

鶴田 「何かが違う」って自問自答しながら最終的には納得して帰っていきましたね。

——今後の展開についても教えてください。

鶴田 イベントは季節ごとに続けていきたいと思います。個人的にはオンデザインで家を建てているお施主さんにも参加してもらえたらうれしいですね。本物の設計をやっている中で、お施主さんにも家の一部の玄関やリビングをどうしたいか想像してもらって。

塩脇:そうですね。あと最終的には参加者たちが、お施主さんになってくれたらいいなと思っています。カップルで参加された方などはそういう可能性もありえますよね。オンデザインでもたまに、自分で模型をつくって、事務所に持ってくるお施主さんがいます。
 それって自分の家に対する、愛だと思うんです。お施主さん同様に僕ら設計者サイドももっと愛を持たないといけないし、そうしないと、想像をこえるようないい家って生まれないと思っています。

鶴田 大学の友人の間では、「オンデザインのやっていることって幅広いね」とよく言われます(笑)。

塩脇 確かに傍から見たら、「何やってんだ!」って意見もでると思うんですけど、お施主さんの家づくりに対するスキルアップにもなるし、大切なコミュニケーションツールにもなっているんですよね。

鶴田 私たちは、きっかけをつくっているに過ぎないのかもしれません。でもそれがすごい意味のあることなんだと感じています。

塩脇 だから、あえて参加者のターゲットを絞りたくないんですよね。いろんな人たちとコラボしているということがメインテーマなので。

鶴田 もっと子供たちから年配の方まで、いろいろな方に来てほしいと思います。

塩脇・鶴田 次回も楽しいワークショップにしますので、ぜひご期待ください!


profile
塩脇 祥 sho shiowaki

1989年、神奈川県生まれ。2015年神奈川大学院修了。2016年オンデザイン入社。

鶴田 爽 sayaka tsuruda

1992年、兵庫県生まれ。2016年京都大学院修了。同年オンデザイン入社。

○第5回「模型づくりランチ」の詳細については決定次第、このサイトにアップします!