オンデザインの屋外空間活用!
2021年の春のシーンを紹介
オンデザインは、まちの屋外空間を活用するさまざまなイベントや企画に取り組んでいます。 屋外空間の活用は、長引くコロナ禍における「まちの賑わいのあり方」を探求することでもあります。 安全にも十分に配慮しながらの取り組みを、2021年春のシーンを中心に紹介いたします。
まちの楽しみ方を、屋外空間から広げたい!
オフィス街の道路が“ピクニック空間”に
横浜市中区の関内地区では、「関内フェスタ・さくらまつり」の一環として、「かんないテラス」をサポート(主催:関内まちづくり振興会)。公共空間である道路にピクニックができるような場を設え、周辺の飲食店のテイクアウト利用を促進しました。
「かんないテラス」自体は、コロナ禍における飲食店支援措置として道路占用の許可基準が緩和されたことを受けて2020年7月にスタートし、4回目。ソーシャルディスタンスを保つために人工芝に起伏を設けたり、滞在時間が長くなりすぎないような簡易的な仕掛けを用意するなどの工夫をしました。
関連記事:まちの道路をテラス席に。コロナ禍の飲食店を救う横浜のまちづくり「かんないテラス」(2020年7月,IDEAS FOR GOOD)
テイクアウト促進で、飲食店を支援
横浜駅西口の周辺でも、飲食物のテイクアウトを推進する「西口イートテラス」を定期的に開催しています。(主催:一般社団法人横浜西口エリアマネジメント)
飲食物を安心して楽しめる屋外の「イートインスペース」のほか、屋外空間活用で問題となりやすい「街ゴミ」の対策として、ゴミを分別回収する「エコステーション」も設置。また、地元商店会の方に協力いただき、楽しみながらSDGsに触れられるようなワークショップを企画・運営しています。
こちらも昨年からの継続が実を結び、地元からサポートやアイデアを出していただけることが増えてきました。その場限りのイベントとして終わらせるのではなく、主体的に関わってくれる方々を増やし、地元の文化として根付いていくような運営を心がけたいと思っています。
まちのスタジアムでも
オンデザインが企画運営をサポートする横浜DeNAベイスターズの「CREATIVE SPORTS LAB」では、「スタジアム」という屋外空間をさまざまな形で活用しています。
野球・スタジアムを題材に子ども達の創造性・自主性を育てる「キッズ・クリエイティブ・アカデミー」では、横浜スタジアムを見学し、野球のあるまち「ボールパーク」を創造・工作したり、「こんなスタジアムがあったらいいな」をプレゼンテーションしたりするワークショップを実施しました。
スタジアムとまちをめぐるツアー開発にも取り組み、「YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL 2021」に合わせ、スタジアムでヨガと練習特別見学を楽しむ女性向けデイツアーも開催しました。
コロナ禍で観客動員に制限がある中だからこそ、試合以外の時間のスタジアムを、より付加価値のある体験の提供につなげ、「野球・スタジアム」がまちに生み出す価値を高めていきたいと考えています。
関連サイト:CREATIVE SPORTS LAB | THE BAYS | 横浜DeNAベイスターズ
医院の中庭で、まちの健康コミュニティづくり
最後にもうひとつ、少しユニークな事例として、まちの医院の中庭を拠点とした、健康づくりの地域コミュニティを形成するプロジェクトを紹介します。
ご依頼主は、静岡市で代々続く大石内科の医師・大石悠太さん。地域のさまざまな患者さんと触れ合う中で「地元の人たちが楽しく社会的に交流できる場を設ければ、みんなの心が健康になって、医学とは別のアプローチで、地域の健康づくりに貢献できるのではないか」と、2年ほど前にご相談をいただき、オンデザインがサポートすることになりました。
大石さんのこの思いは、中庭の桜の木にちなんだ「サクラノキテラス プロジェクト」としてスタートしました。小さな「健康屋台 大石喫茶」から始まった活動が少しずつ発展し、この春には満開の桜の下で、念願の「サクラノキテラス」をオープン。まちの人々の「やってみたいこと」が並ぶ日替わりマルシェや、サクラノキテラス文庫が中庭に並び、訪れた人たちは喫茶をしながら雑談したり、ついでに、ちょっと気になっている健康のことを相談したりして、のんびり過ごしています。
地元の人々が自分の健康のことを少し考えてみたり、人とつながったり、新たな挑戦をしたりする、その“きっかけの場所”をつくれるように。「住んでいるだけで健康になれるまち」という目標に向け、オンデザインは大石さんと一緒に小さな実験を行なっています。
はじめましての人へ。サクラノキテラス プロジェクトについて|大石悠太(サクラノキテラス 管理人/大石循環器内科医師)|note
屋外空間から、まちの楽しみ方を広げたい
オンデザインが大切にしているのは、まちに入り込み、まちのいろいろな人たちと一緒に「こんな場所があったら良いな」「こんな時間が過ごせたら良いな」を実現すること。
屋外空間の活用は、コロナ禍が長引く中、あるいはアフターコロナを考えても、そんな「あったら良いな」を叶える大きなカギとなるはずです。
もちろん、「屋外なら何をしても大丈夫」ではなく、新型コロナウィルスの感染拡大や、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置などの状況に合わせた柔軟な対応も求められます。
さらに、ゴミなどの新たな問題や、「道路」「庭」などの空間が本来果たすべき機能や役割を損なわない工夫も考えなくてはなりません。
でも屋外空間活用は「考えなくてはいけないこと」がたくさんある分だけ、「まちを楽しくできる可能性」も大きい、と強く感じています。
「設計事務所」として、その大きな可能性を形にしていきたいと思っています。