小屋×都市
#14
可能性を
追求する小屋
丸かったり、尖っていたり、浮いていたり。
通常の建物とは形が異なる小屋がある。
人の居場所となる「機能」だけでなく、
「楽しさ」「個性」を探求しているような、
小屋の事例を眺めてみたい。
ユニークな形の小屋たち
小屋はしばし、建物としてあまり見かけない形になる。
幾何学模様にこだわってみたり、
球になったり、
生物を模してみたり。
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繭の形のツリーハウス「Cocoon」
via: Dezeen
何を求めて、こんな形に?
こうしたユニークな形の小屋は、なぜつくられるのだろう?
与えられた条件の中で、機能を追求した「結果」ということはあるだろう。
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低予算スモールハウス「Trailer」。トレーラーの上で組み立てるには、五角形が理にかなっていた。
via: http://www.architecturetoday.co.uk/
でも明らかに、その範疇を超える小屋もある。
「機能」とともに、「楽しさ」「美しさ」なんかを探求しているようだ。
加工技術や素材の進歩が、小屋の可能性を高める
ユニークな小屋ができる背景には、テクノロジーにより加工の自由度が上がったことがあるだろう。
レーザーカッターや3Dプリンタなどのデジタル工作機械によって、ものづくりの環境は大きく変わっている。
素材の選択肢も、増えている。
ダンボールだって、素材にできるようだ。
これはさすがに少し、“攻めすぎ”な気もするけれど。
可能性を追求する小屋
人は、可能性を追求したい生き物なのかもしれない。
建築家なら、建築が生み出す価値を高めたい。
アートとしての表現を追求したかったり、
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思い出と未来の建築アート。アルゼンチンの燃料タンクのシェルター
via: martinmarro.blogspot.com © Martín Marro
思いついた“遊び心”を実現してみたかったりすることはあるだろう。
人の居場所という「機能」を備えつつも、DIYで手が届き、自由度が高い小屋。
試しにつくって何かの「可能性を追求する」のに、ちょうどよいのかもしれない。
(了)
<文:谷明洋、イラスト:千代田彩華>
【都市科学メモ】 | |
小屋の魅力 |
いろいろな可能性を追求できる |
生きる特性 |
DIYで手が届く規模感、素材や加工の高い自由度、物理的な制約 |
結果(得られるもの) |
楽しさ、美しさ、遊び心の発揮場所、個性、発信力、建築の可能性 |
手段、方法、プロセスなど |
おもしろい追求を考える |
実現方法を考える |
|
いろいろな小屋を見て楽しむ |
「都市を科学する」の「小屋編」は、横浜市の建築設計事務所「オンデザイン」内で都市を科学する「アーバン・サイエンス・ラボ」と、「住」の視点から新たな豊かさを考え、実践し、発信するメディア「YADOKARI」の共同企画。人や社会が「どんな」小屋を「なぜ」求めているのか、調査・分析・考察しながら連載します。
【Theory and Feeling(研究後記)】 |
長野県南部の松川町で2019年ゴールデン・ウィークから営業を始める「ツリードーム」があり、縁あって見学させてもらうことができました。「建っている」のではなく、吊られて宙に「浮いている」光景は、実際に見るとなかなかのインパクト。ドームからは、森の見え方なんかもずいぶんと変わるんだろうなぁ、と想像したら楽しくなりました。(たに) |