小屋×都市
#10
空間を
細分化する小屋
小屋は屋外のものとは限らない。
家やオフィスなどの日常空間に、
一段階小さな空間をつくることができる。
空きビルや倉庫などの大型空間を、
適度に細分化することもできる。
空間を階層化していくことで生まれる、
「小さな居場所」を考えてみた。
家の中の小さな居場所
空間の中につくりたいのは、どんな空間だろうか?
子どもがワクワクする遊び場だったり、
自分だけの空間だったり、
ちょっと隠れられそうな、居場所だったり。
「箱以上、部屋未満」くらいの、小さな居場所が求められているようだ。
(厳密な意味で「小屋」と言えるものかは怪しいけれど)
みんなで使う外側の空間と、付かず離れず絶妙につながっている。
オフィスの中でも
そんな、境目が曖昧な別世界を、家ではなくてオフィスにつくってみたらどうだろう。
メリハリがつき、気分転換や創造力アップにつながるかもしれない。
個人で集中しつつ、仲間と接することもできる空間をつくることもできる。
デスクを少し工夫するくらいでも、同じような効果が期待できる。
小さな落ち着く居場所は、オフィスだけでなく本屋のようなところにあっても嬉しい。
ちょっとした別世界は、空間におけるアクセントだ。
大きすぎる空間を最適化
そのままでは大きすぎて使いづらい空間を、小屋で最適化することもできる。
たとえば、空きビルの大きな部屋にコンテナ型のキャビンを並べれば、カプセルホテルに早変わり。
大型倉庫が、コンテナの活用で巨大オフィスに様変わりした事例もある。
「ひとつの大きなスペース」を、「ちょうどよいサイズのスペース群」に変えることで、活用の幅は大きく広がる。
「集団」と絶妙な加減でつながる「個人」のスペース
「 社会」の中には、家族や会社といった「集団」があり、「個人」が属している。
今回取り上げた事例は(一部を除くと)、集団と絶妙につながりながら、個人でもいられる空間をつくっていると言えるかもしれない。
空間の中にもう一段階、境目がちょっと曖昧な居場所をつくってみるのは面白そうだ。
(了)
<文:谷明洋、イラスト:千代田彩華>
【都市科学メモ】 | |
小屋の魅力 | 空間の中に、居場所や別世界をつくることができる |
生きる特性 | 小ささ、境界の曖昧さ |
結果(得られるもの) |
外側と絶妙につながった居場所、空間の階層化、廃墟や大型スペースの再活用 |
手段、方法、プロセスなど |
自由度を高く考える |
外側との“つながり度合い”を考える |
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とりあえず市販品を買ってみる |
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専門家に相談する |
「都市を科学する」の「小屋編」は、横浜市の建築設計事務所「オンデザイン」内で都市を科学する「アーバン・サイエンス・ラボ」と、「住」の視点から新たな豊かさを考え、実践し、発信するメディア「YADOKARI」の共同企画。人や社会が「どんな」小屋を「なぜ」求めているのか、調査・分析・考察しながら連載します。
「都市を科学する〜小屋編〜」記事一覧
【Theory and Feeling(研究後記)】 |
「室内でテントを張ると、寒い冬でも暖かい」。むかし読んだ椎名誠の本に、そんなことが書いてあったことを思い出しました。 テントが発揮している機能は、空間の階層化とか居場所云々とかではなくて、単純な保温力なんでしょうけれど、意外と快適なんじゃないかと。こんど、試してみようかな。(たに) |