味な記録帳
#03 生活景に溶け込むごはん空間
〜台湾編〜
味な記録帳
日々私たちが触れている「味」は
お店 / 人 / 文化 / まち / 建築などが
混ざり合いできています。
味な記録帳は、そんな「味」を
取り巻くものごとを切り口に、
まち・建築好きの私が
記録するカルチャーミックス帳です。
私のprofile : 髙橋真由
オンデザイン入社4年目。日々の設計活動に励みながら、休日や休み時間、現場帰りにまちを歩いては、美味しいご飯を探し続けています。
本日は、日本を飛び出して海外編! 研修旅行で台湾に来ています。
どこの国に行っても楽しみにしているのが、空港に着いときに空気を一気に吸いこむこと。
その地域の温度や湿度、まちに根付く“食”からなのか、その国らしさが感じられる瞬間です。
冬(1月)の台湾の空気はまだまだ冷たく、発酵物の香ばしい匂いがします。
今回の旅は、台北空港から台南ー宜蘭(研修旅行本編)ー台北へと北上する
6日間の台湾横断旅! 台北から約2時間高速鉄道に乗って着いたのは、台南。
台南は、約140年前の首都として栄えてきたまちということで
昔ながらのレトロな風景が残っています。
日本よりも少し彩度が上がったまちなみは、一気にアジアに来たぞ〜!という気分にさせてくれます。
そして足元に目を向けると台湾タイルが!
カラフルだけど、くすみカラーなタイルは
まちにも馴染んでいて絵柄も様々。
それぞれの建物から外に向かって並ぶ窓には、
個性的な鉄窓花(日本でいう面格子)や型ガラスが取り付けられています。
風景や光を一緒につくるようで印象的。
台湾の朝ごはんといえば、台湾粥!
「虱目魚」(サバヒー)という台湾名物の
白身魚のお粥と、エビチャーハン、揚げパンをいただきます。
虱目魚は、かなり蛋白なお味でお粥の出汁の味がより感じられます。
店内には地元の人たちがひっきりなしに訪れ
お会計係のお母さんと話した後に
各自のお気に入り(?)の席へと座っていきます。
きっと、このお母さんに会いに来ているんだろうな。
朝のバイクの音の中に聞き慣れない言語の会話が混ざる朝ごはんの風景です。
朝ごはんを食べてお腹いっぱいになったところで台南の市街地を歩きます。
どこも歩道が広くとってあるからか、オーニングや植栽が歩道まで飛び出してきます。
そうしてつくられた緩やかな境界、台湾のお店は半屋外〜屋外スペースが多いです。
道路へはみ出すこともしばしば。暖かい地域ならではの風景ですね。
昔ながらのまちなみに、ポッと現代建築が現れます。
こちらは台湾フード、「牛肉湯」(ニョウロウタン)のお店。
台南の名物で、生の牛肉(!)に野菜や牛の骨などを煮込んだスープを注いだ食べ物です。
屋台に立つフレンドリーなお兄さんが、ニコニコで迎え入れてくれます。
道路に飛び出した飲食スペースで、まだ寒さの残るこの時期(1月)の気候を感じながらいただきます。
旅で疲れた体にしみる〜…この出汁を感じるあっさりさも落ち着きます。
観光地にあるお店ではないので、周りは地元の方ばかり。
観光客は珍しいからか、みんなが「美味しい?」と尋ねてくれます。笑
“公”と“私”が、やわらかく溶け合うまちの風景に、ぽつりぽつりと現れるごはんの場所。
まちと生活とが密接な距離感だからこそ、遠くの人の笑い声までもが耳に入り
まるで「台湾の風景」を現しているような、そんなおおらかな時間が流れていました。
ごちそうさまでした!
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髙橋 真由
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