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スタジアム×都市
#12
整理した事例と
手法をひらく

スタジアムは、都市において、
どんな役割を果たし得るのか?
そんな問いから事例を集めて
整理した表を公開する。

内容や手法・考え方が、
これからのスタジアムや、
まちづくりそのものを考える
ヒントになればいいと思う。

 

連載のベースになった表を公開する

スタジアムは、都市において、どのような役割を果たし得るのか?

「都市を科学する〜スタジアム編」は、そんな問いを、既存の事例を紐解きながら考察した。Webなどから情報を集め、「都市に対する役割」という視点から意味付けをし、表に整理した。それを元に、問に対する解として記事化したのが、#02~#10の連載だ。

その表を、公開してみたい。

「都市を科学する〜スタジアム編」の情報整理(クリックでgoogleスプレッドシートが開きます)

 

まだ参考にすべき事例はあるだろうし、意味付けや整理も含め、表が「完成」することはないだろう(だから、この表は必要に応じて随時更新していく)。

それでもこの表を、「事例集」として、あるいは応用できる「手法・考え方」として、眺めてもらえたらと思う。

 

内容を見れば事例集として

それぞれのセルの内容は、事例集として見ることができる。

さまざまな視点からのスタジアムの役割が、1枚のシートに事例とともに盛り込まれている。眺めるだけでも何か発見があるかもしれないし、文末の(カッコ数字)から抜粋した元の記事を参照することもできる。元になっているのは、スポーツ庁と経済産業省による「スタジアム・アリーナ改革ガイドブック」をはじめとするさまざまな資料だ。

連載#10に書いたように、これからのスタジアムのみならず、スタジアムに共通する部分がある「都市の大型複合施設」のこれからを考えるヒントにもなれば良いと思う。


さまざまな資料から事例を集める

 

表のつくり方を「手法・考え方」として

また、表のつくり方を見れば、いろいろなことに応用が可能な「手法・考え方」が浮かび上がってくる。

表をつくるプロセスは大まかに言うと、事例集め、意味付け、整理。たくさんの「事例」を集め、それぞれを「都市において果たしている役割はなにか?」という問いの解になるように「意味付け」し、意味が似ている事例を集めて「整理」した。

それを踏まえれば、表を見ながら、挙がっている事例の解釈を変えたり、ほかの事例を探したりして、「意味付け」をし直すことができる。スタジアムの新設や更新、ユニークな企画やイベントによって増え続けていく事例から、今は思いもよらない「スタジアムの役割」が見い出だせるようになることもあるはずだ。

もっと広く考えるならば、「●●は、都市において、どのような役割を果たし得るのか?」という問いの、「●●」にスタジアム以外の何かを入れて「都市」との関係を紐解くこともできる。それは、これからのまちづくりのヒントを見つけるひとつの方法になるのではないかと思うのだ。


イラストは集めて整理した事例がベースになっている

 

まちづくりの創造性を高める可能性を示したい

アーバン・サイエンス・ラボによる「都市を科学する」シリーズの連載は、「まちづくりの創造性を高めたい」「今まであることを教科書通りにやるだけでなく、これから起こるべき事象を研究していく領域に踏み込みたい」「いろいろな立場の人たちと議論したい」という思いからスタートした。

第1弾のスタジアム編の連載と、表の公開によって、その可能性を少しでも示すことができていれば良いと思う。
(了)

<文:谷明洋、イラスト:Yuki>

 
「都市を科学する」は、横浜市の建築設計事務所「オンデザイン」内にある「アーバン・サイエンス・ラボ」によるWeb連載記事です。テーマごとに、事例を集め、意味付け、体系化、見える化していきます。「科学」は「さぐる・分かる」こと。それが都市の未来を「つくる」こと、つまり「工学」につながり、また新たな「さぐる」対象となる。 そんな「科学」と「工学」のような関係を、思い描いています。
アーバン・サイエンス・ラボ記事一覧
「スタジアム編」では、「スタジアムは、都市において、どんな役割を果たすのだろう?」という問いを立て、さまざまな事例を調査、意味付け、整理して紹介しています。
「都市を科学する〜スタジアム編〜」記事一覧