update

スタジアム×都市
番外編
「恋するまち学」@仙台で
ボールパークを語り合う

オンデザインで都市を科学する「アーバン・サイエンス・ラボ」の西田司さんと谷明洋さんが10月25日、仙台市で開かれた「恋するまち学」に登壇しました。「まちに ひらいた ボールパークの作り方」をテーマに、仙台のみなさんと語り合ったイベントの様子をレポートします。

 

10月25日、JR仙台駅前の「EKITUZI」で、「WE SCHOOL2018 秋学期 恋するまち学 仙台駅東口編」の第4回講座が開かれました。

 

「恋するまち学」は、まちの現状や情報発信などを知り、今の仙台駅東口にフィットするコンテンツをみんなで考えていく、全6回の連続講座。舞台となっている仙台駅東口エリアには、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地「楽天生命パーク宮城」があります。建築に興味があるという高校生の方から、まちづくりやボールパークに興味のある方、仕事や個人活動でまちづくり取り組んでいる方など20人以上が集まりました。

第4回のテーマは「西田さん、街に開いたボールパークの作り方を教えてください」。オンデザイン代表の西田さんに、「アーバン・サイエンス・ラボ」で「都市を科学する〜スタジアム編」の連載を進める谷さんも講師として加わりました。

 

前半では谷さんが「都市を科学する」の連載の背景にある考え方と、その中で見えてきた「ボールパークが都市に対して果たしうる役割」を紹介しました。

谷さんは「都市を科学する」の連載で、既存のボールパークのさまざまな事例を「収集」「整理・グループ化」「意味付け」して紹介しています。講演では、そのプロセスによって「野球の楽しみ方を多様化する」「野球がなくても人が集まる場になる」「周辺のまちに賑わいを波及させる」「新しいビジネスの拠点になる」などといった役割が見えてきたことを伝え、「どんな役割を果たすとまちが喜ぶのか。それを考えることが、ボールパークを『ひらく』ことにつながるのではないか」とまとめました。

 

谷さんから参加者に、楽天生命パーク宮城について、「印象」や「どんな役割を果たしていると思うか」を尋ねる場面も。
「ひとりの選手やひとつのチームを、みんなで応援している一体感が好き」
「応援団がとても楽しそうなので、野球を見る以外の楽しみがある」
「プロ野球が来てから、スタジアムがどんどん変わっていくのを感じている」
といった声が来場者から上がり、「野球をやる・見る」にとどまらない価値が、実際に膨らみつつあることを感じさせました。

 

後半では西田さんが、「まちの誰もが訪れたくなるスタジアムを目指す」という考え方と、横浜スタジアム周辺での具体的な取り組みを紹介しました。

横浜スタジアムでは、プレゼンテーション大会やテント泊キャンプのイベントなどで、さまざまな形でグラウンドを活用しています。また、周辺の公園にキャッチボールができるスペースがイベントで設けられたり、「日常に野球を+する」というコンセプトで雑貨や洋服などを扱うブランドが立ち上がったりと、スタジアムの周辺部でも変化が起こっています。

「スポーツがスタジアムからはみ出ていくと、まちとのシナジーが生まれる」と西田さん。そこに至るまでの試行錯誤も振り返りながら、「頭で考えるだけでなく、いろんな人の『やってみよう』『こういうのいいよね』から始まる」と実践の重要さを説き、「建築もまちも経験的に、もっと言えば実験的につくっていく時代」と強調しました。

 

参加者は、西田さんと谷さんの話に興味津々で、続くディスカッションも白熱しました。

行政との関係づくりについての議論で西田さんは、横浜でまちづくりのシンボルとして「I☆(LOVE)YOKOHAMA」というロゴやフラッグを活用していることを挙げました。公平性を大切にする行政に対し、「ベイスターズという一企業ではなく、まちやエリア全体を応援しましょう、という形をつくることが大切」と手法を説明。球場周辺の公園にいろいろな方法で人を集めようとした経緯を振り返りながら、「人が集まることが価値だと感じてもらえれば、行政は応援してくれるようになる。怒られることがあっても、やり続けていくことがクリエイティブ」と話しました。

横浜スタジアムに掲げられた「I☆YOKOHAMA」のフラッグ

ボールパークという大きなものを扱う中の、具体的なターゲット層についても、西田さんが「小さいコミュニティがたくさん集まった状態が、豊かな公共につながる」と、身の回りの扱いやすいスケールから公共をつくっていく考え方を紹介しました。

 

参加者からは、「ボールパークだけを考えるのではなく、まちとの関係を見ていくというスケールが新鮮だった」「ビジネスのイノベーションにまで話がつながっていくのが興味深かった」などの感想が上がりました。

イベントを終えた谷さんに感想を尋ねると、「アーバン・サイエンス・ラボとして初めての講演だったけれど、興味深く聞いてもらえたのではないか」と手応えを感じた様子。「連載を単なる事例学習ではなく、理屈っぽく進めているからこそ逆に、現場での実践や試行錯誤のヒントになる部分があるかもしれない」と、可能性を感じたようでした。

 

西田さんと谷さんはイベントの前に、楽天生命パーク宮城も訪ねました。

東北楽天ゴールデンイーグルス誕生からの変遷などを聞きながら、BOX席やラウンジ席、観覧車があるレフトスタンド後方の「グリコパーク」などを興味津々で見学。アーバン・サイエンス・ラボの今後の活動に向けても、学びの多い一日となったようです。
(了)

【関連サイト】
都市を科学する〜スタジアム編 記事一覧
恋するまち学(仙台駅東口) | WE PROJECT SENDAI –