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トイレは、文化だ。
#01
Introduction &
わたしのトイレ考

text & illustration : emiko murakami

 

 

Introduction

 

食べて、出す。

人は生きるために食べ物を食べ、消化し、吸収し、捨てる。
大統領であろうが、スーパーモデルだろうが関係ない。
誰もが、毎日欠かさず「トイレ」という空間で過ごしている。

・・・用を足すだけがトイレだろうか。 考え事をしたり、
頭の中を空っぽにしたり
時には何かをひらめいたりしながら
独自のトイレ時間を過ごすこともあるんじゃないだろうか。

トイレの中は完全なプライベート。
忙しい人にとっては
一人静かに物思いにふける希少なひとときだろうし
パーティで長話につかまった人が、
その場を逃げるための「ちょっとトイレ」なのかもしれない。

かくいう私も、高校生の頃
トイレの壁に英単語のフセンを貼りまくり
家族から非難の嵐を受けた。

お気に入りのポスターを貼る人もいる。
おもちゃのコレクションをディスプレイする人も。
鏡に映る顔を見て、自らを問う人もいるかもしれない。

人の、最も生々しい個性が前面に出てくる。
そんな物事が、トイレにはあるに違いない。

トイレの向こうにあなたが見える。

「トイレは、文化だ。」始まります。

 


profile
村上恵美子 emiko murakami
大阪生まれ。福岡育ち。横浜在住。
名古屋市立大学 芸術工学部 卒業。ギャラリースタッフ、NPO法人、大学の非常勤職員、出版社勤務を経て、Beyond Architecture ライター。
自称TOILET HUNTERとして、めくるめくトイレの世界を思案中の日々。