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Book Log
#01
オンデザイン読書会
テーマ「働き方」

text:aya sakurai  photo:ondesign

オンデザイン2年目の若手4人組が、毎回設定したテーマに沿って本を選び、それを俎上にのせて多角的に語り合う企画がスタート!
第1回目のテーマは「働き方」。この秋、オフィスを移転したばかりのオンデザインにとっても旬のテーマです。
まずは、それぞれセレクトした本の紹介から、はじまりはじまり!

📚

【読書会参加メンバー】 
鶴田 爽/伊藤彩良/西田幸平/櫻井 彩
@泰生ポーチ(横浜・関内)

 

左から、鶴田さん、伊藤さん、西田さん、櫻井さん。


📖 鶴田さんが選んだ本

『計画と無計画のあいだ』
三島邦弘著(河出書房新社刊)

(内容紹介)
 出版社で働く30代男性には自分が思い描いている「本の面白さ」や「出版のかたち」があって、その理想を目指すためにまずひとりで出版社を立ち上げます。今、4、5人で運営している「ミシマ社」っていう出版社で、拠点は自由が丘(最近、京都にも小さい出版社をだした)の古民家にあるそう。原点回帰をモットーに、作り手の思いを失くさないように取り次ぎも自分たちで行っているそう。仕事場は古民家で、打ち合わせはちゃぶ台を使っていて、打ち合わせ資料は各個人で見るのではなく、1部だけ準備してみんなで囲んで見る。その理由は、各人で資料を見ていて一人ひとりの世界ができてしまうのを避けるためだそうです。
 一人ひとりの「暮らし方」とか「働き方」の感覚を本当に大事にしていて、年に数冊くらいしか出していないけど、その中でも「面白い本がある」っていうのを伝え続けている出版社の話です。

──この本を選んだ理由は?
鶴田 最近気になっている本屋さんのInstagramに上がっていて、タイトルが今回の働き方のテーマにつながるのかなと。

──読んでいて気になったところは?
鶴田 私にとってオンデザインって、「これがオンデザインだ」ってところが、良い意味でないのが良さだと思っています。つまりスタッフそれぞれの考えが重なりあって提案が生まれることをプロジェクトの価値と考えているから、メンバーによって全然できるものが違うと思うし、そういう意味で「計画と無計画のあいだ」って、オンデザインの働き方につながるのかなと。

──そこに、共感したんですね。
鶴田 もちろん建築と本とは同じではないけど、一人ひとりの個性や感覚をいかにみんなで共有して、一緒につくるかってことを大切にしている部分や、働く環境を大事にしているところは共感できたし、通ずるものがあるなと思いました。


📖 伊藤さんが選んだ本

『海馬—脳は疲れない—』
池谷裕二・糸井重里(新潮文庫刊)

(内容紹介)
 睡眠中の脳の動きを整理して脳に植え付ける作業をしているのが「海馬」なんですね。本書では、なぜ記憶に残るものと残らないものがあるかって議論を脱線しながらしていくけど、結局は、「これか!」って最後には戻ってくるんです。本をつくる時って筋道を立ててつくるけど、そうじゃなくて「誰しもが予想できなかったような、本にしたいよね」ってことでこの本はつくられていて、とてもわくわくしました。

──この本を選んだ理由は?
伊藤 違う分野から働き方を考えたいなと思っていて、ビジネスコーナーの自己啓発本はちょっと違うなと。自分が「好きだからこうやっている」ってことをもっと分かってもらうには、脳科学の文脈なら伝わるかもと考えました。もともと糸井さんのことは知っていたのでこの対談本は面白そうだなと思って決めました。

 

📖 西田さんが選んだ本

『モバイルボヘミアン—旅するように働き、生きるには—』
 本田直之・四角大輔(ライツ社刊)

(内容紹介)
 モバイルテクノロジーが、進歩している中でどういう働き方ができるか、自分なりの仕事の捉え方が書いてある。四角さんと本田さんは、2人とも最初はごく普通の会社員。本田さんは半年間をハワイ、残りの半年の半分を海外に旅しながら、残り3ヶ月くらいは日本にいる。四角さんも、釣りが好きで半年間をニュージーランドの湖のほとりで過ごし、あと半年の半分を海外で過ごしていて、残りの半分を日本で過ごしている。
 両者とも最初の5年はダメダメだったそう。日本で働くことのせせこましさを違和感と感じつつもそこで学べることを、15年先の自分の生活像を描きながら、今ここで何をやるかっていうのを考えて生活していた。今は15年かけてこの自由な働き方を手に入れた人たちの本です。

──この本を選んだ理由は?
西田 ビジネスコーナーに置かれているたくさんの本の中から決めようと思って。「モバイルボヘミアン」ってタイトルも良いですし、中には海外の写真も多く掲載されていて、「旅をするように生きるには」って言葉もいいなあと。僕自身が旅好きで学生の時も、バックパックでひとりで旅をしていたので、なんだか楽しそうな生活している人たちだって感じがしててこれに決めました。

──面白かったですか?
西田 面白かったです。日々働く中で、辛くなったりするけど自分の目的や人生の目標をしっかり持っていると全然違うなあと思った。あと、iPhoneとか使いこなそうと思った(笑)。

──それはなぜ!?
西田 iPhoneを使いこなして自由な暮らしをするってことですね。仕事もプライベートも境目はないっていう本でした。


📖 櫻井さんが選んだ本

『はたらきたい。』
糸井重里(東京糸井重里事務所刊)

(内容紹介)
 糸井重里さんと8組それぞれ職業の異なる対談相手が、普段どのように仕事を進めているかを話していくもの。結局この仕事で何を大事にしているか?ってことをひたすら問うような本です。自分の職業を通して「これを大事にしている」だったり、「これだけは忘れないようにしている」など、仕事をする上で原点に立ち戻ることができるような本になっています。

──この本を選んだ理由は?
櫻井 単純に企業に就職するのではなく、〝好きなことをそのまま仕事にしている人の働き方〟を見てみたいと思いました。私自身、仕事とプライベートの境目は曖昧だと感じつつも、ON・OFFは割り切って考えたいタイプ。仕事=ON、プライベート=OFFだとして、両方とも好きなことではあるけれど、ON・OFFでは全く関係ないことをしていたいというから、そういう意味での働き方のヒントになればいいなと思って本書を選びました。共感できるワードのひとつは「自分が社員であり社長であり」。オンデザインではどんな若手でもプロジェクトを任せられるという部分に通ずるものがあると感じました。ふたつ目は、ON・OFFに関することで「公私混同」(家族や遊びがうまくいっているから仕事もうまくいくってことに気づかないといけない)について話しているところがあって、そこはすごく共感しました。